<福島民報論説より>
【東電の賠償支援】国は責任を果たせ(7月8日)
東京電力福島第一原発事故に伴う東電の賠償で、国の支援金が限度額に近づいた。迅速で十分な賠償は被災者の生活再建に不可欠となる。国は速やかに支援金を上積みすべきだ。血税を新たに投入する際は、東電の経営見直しはもちろん、資金の貸し手や株主の責任も問うべきだ。
経済産業省は6月、東電と原子力損害賠償支援機構が申請した総合特別事業計画の一部変更を認めた。賠償資金確保の追加支援は約6662億円となり、支援総額は約3兆7893億円に増えた。国が機構に割り当てた現金化できる交付国債の発行枠は最大5兆円で、残りは約1兆2千億円だけとなる。
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は、財物賠償指針を見直し賠償額を上積みする方針だ。浪江町民による、精神的賠償増額を求める原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)は参加が1万5千人超となる。大玉村に避難の富岡町民も申し立てる。避難住民の損害賠償訴訟や訴訟準備は全国で進む。結果次第で、賠償総額は大幅に増える。
東電の負担は賠償だけではない。原発事故の収束に膨大なお金がかかる。県が求める県内の原発全廃炉には、東電の積立金だけでは1242億円も足りない。
東電は、柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機の再稼働に向けた安全審査を、原子力規制委員会に申請する。平成25年3月期連結決算で純損失6852億円と3年連続赤字であり、柏崎刈羽の早期再稼働は死活問題だ。しかし、泉田裕彦新潟県知事は、東電が地元説明をせずに審査申請を決めたと批判、地元との溝は深まっている。
原発を再稼働できないと、東電の経営は厳しさを増す。賠償に影響する。同社は24、25年度中期経営計画で賠償、除染などの費用が総額10兆円を突破するとして、国に新たな支援を求めた。政府は追加支援に前向きな姿勢だが、具体化していない。
安倍晋三首相は4日、福島市で参院選の第一声を上げ、「福島の復興なくして日本の再生はない」と語った。国による賠償への追加支援は本県復興の大前提となる。
追加支援は国民に負担を強いる。東電に融資する金融機関への債権放棄の要請、株主責任が問われた日本航空のような再生方式も検討してはどうか。東電を超長期の債務を背負う「事故処理専業法人」とするか、公的資金を再度注入し「電力公社」とするか。将来の、あらゆる可能性を論議する時期だ。(小池 公祐)
( 2013/07/08 10:12カテゴリー:論説 )
*最近、民報の記者の論説と考えが一致することが多い。私も記者のように考えをスラスラ文章に出来ればいいのですが、文才というか、文章力というか乏しいもので・・・。
やはり、国は、「原発事故収束宣言」を撤回し、その上で論説のように東電の支援を速やかにすべきだと思います。