<福島民報ニュースより>
「果たしてない」6割 県内59市町村長アンケート 首相の「責任果たす」発言
東京電力福島第一原発の汚染水問題をめぐり、安倍晋三首相が五輪招致で「責任を完全に果たす」と発言してから一カ月余が過ぎたことを受け、福島民報社は県内全59市町村長に、現状に対する見解などをアンケートした。発言後の対応について「責任を果たしていない」と回答したのは35人で6割を占めた。「責任を果たしている」は3人にとどまった。発言後も汚染水漏れや作業ミスなどが相次ぎ、「東電に任せきり」「国の姿が見えない」などの声が目立った。ただ、今後の国の対応に対しては23人が「期待できる」と答えた。
アンケートは8日から19日にかけて実施した。「安倍首相の『責任を完全に果たす』との発言をどのように受け止めるか」の質問に対する回答は【表上】の通り。「責任を果たしていない」が35人(59%)で最も多かった。「分からない」が17人(29%)、その他4人(7%)、「責任を果たしている」が3人(5%)だった。
責任を果たしていないと回答した浪江町の馬場有町長は、安倍首相の発言以降も東電福島第一原発で、港湾外の海水から放射性物質が検出されたことを踏まえ、「東電任せで国の責任、リーダーシップが具体的に見えない」と国の姿勢を批判。飯舘村の菅野典雄村長は「予算措置だけではなく、現場に常駐し万全を図るべき」と国による人的支援の必要性を指摘した。
果たしているとした古殿町の岡部光徳町長は「政府主導で汚染水対策を始めた」ことを理由に挙げた。
「分からない」と回答した相馬市の立谷秀清市長らは「情報不足により判断できない」とし、国による詳細な情報提供を求めた。
「国の今後の対応に期待できるか」との質問に対する回答は【表下】の通り。「期待できる」と「分からない」が同数の23人(39%)、「その他」が7人(12%)、「期待できない」が6人(10%)だった。
期待できると回答した北塩原村の小椋敏一村長は、平成32年の東京五輪開催が決まり、同原発に対する国際的関心が高まっていることを背景に「海外から懸念されないように対策を講じると思う」とした。大玉村の押山利一村長は「期待できるできないではなく、やってもらわないといけない」と国が積極的に問題解決に取り組むよう求めた。
期待できないと回答した大熊町の渡辺利綱町長は「(汚染水対策の)組織だけ大きく複雑化されたが、同じ大臣らが兼務しているだけ」とし、実効性のある対応を求めた。只見町の目黒吉久町長は、東電の社員の心身疲労を課題に挙げた上で「国が先頭に立ち、内外の英知とマンパワーを結集して対応すべき」と提言した。
安倍首相は9月7日、国際オリンピック委員会総会での東京五輪誘致のプレゼンテーションと質疑応答で「(福島第一原発について)状況はコントロールされている。全く問題ない。(福島の子どもたちや選手に対し)責任を完全に果たす」などと発言した。
( 2013/10/31 07:56カテゴリー:主要 )
*「安倍首相の『責任を完全に果たす』との発言をどのように受け止めるか」の質問に、責任を果たしていないと回答した馬場町長と私も同感で、「東電任せで国の責任は果たしていない」と思います。
また、「国の今後の対応に期待できるか」との質問では、只見町の目黒吉久町長は、東電の社員の心身疲労を課題に挙げた上で「国が先頭に立ち、内外の英知とマンパワーを結集して対応すべき」と指摘していますが、目黒町長の指摘通り、プレゼン後、速やかに対応すべきで、今からでも遅くはありません、具体的な国の対応を示して欲しいものです。