この見慣れない奇妙なタイトルの小説を読んだ。奥書を読むと、第Ⅰ部は「カドブンノベル」(2020年12月号)に掲載され、第Ⅱ部以降は書下ろしによる作品。2021年2月に単行本が刊行された。
本書は、2021年上半期の第165回直木賞受賞作品。また2021年の第34回山本周五郎賞受賞作品である。
この奇妙なタイトル名称、本書を読み始めて知ったのだが、アステカ神話に登場する神の名だった。かつての古代文明の一つ、アステカ王国は現在のメキシコの地で栄えていたという。単行本の表紙には、テスカトリポカの仮面の部分図が装丁に使われている。
これは大英博物館に所蔵される「テスカトリポカの仮面」をウィキペディアから引用した。(資料1)
第Ⅰ部「顔と心臓」の第10セクションに、アステカの暦は祭祀暦260日と太陽暦365日が組み合わされ、52周期の暦が社会生活の基盤になっていること。その新しい52年の開始を祝うにあたり、テスカトリポカという「見ることも、触れることもできない恐ろしい存在に、いけにえの心臓と腕がささげられ」るという。そして、末尾に次の文が記されている。「われらは彼の奴隷。夜と嵐、双方の敵、どれも同じ神を指していた。永遠の若さを生き、すべての闇を映しだして支配する、煙を吐く鏡(テスカトリポカ)」(p98)と。
人々はテスカトリポカという本当の名は胸にしまい込み、別名でこの神を敬うという。
本作は、メキシコから始まり、インドネシアを経由して、日本が舞台となる。スケールが大きく、おぞましい闇社会を取り扱ったクライム小説。麻薬密売人の闇世界と人体臓器売買の闇世界を組み合わせた裏社会でのビジネス形成とその破綻プロセスが描かれていく。この小説、怖いもの見たさ/読みたさに突き動かされていく。ストーリー展開が実に巧みである。
ストーリーはフィクションだが、世界に麻薬密売の組織が存在し活動していることは時折報道されている。人体臓器の売買市場が存在するというドキュメンタリー本も存在する。以前にスコット・カーニー著『レッド・マーケット 人体部品産業の真実』(講談社)という一書を読んだ。読後印象記を拙「遊心逍遥紀」の方に載せている。恐ろしい市場が存在するのも事実である。時折、臓器売買に絡む報道事例もある。
つまり、単なる絵空事ではないリアリティを滲ませる側面が、読者を惹きつける。
読後印象として、本作に出てくるキーワードを列挙してみよう。
アステカ神話。儀式。家族。裏切り。復讐。麻薬密売人。麻薬と覚醒剤。
麻薬資本主義(Drug Capitalism)。心臓。臓器。闇医師。無戸籍児童。
血の資本主義(Blood Capitalism)。
このストーリーから「同床異夢」という語句を想起した。壮絶な破綻と崩壊。
本作はアステカ帝国とアステカ神話がバックボーンになっている。主な登場人物の一人であるパルミロ・カサソラが、子供の頃に祖母のリベルタに、アステカ王国のこととアステカの神々について、体験的に刷り込まれる。パルミロは、アステカ神を信仰している。死んだ父親に倣い、4人兄弟でロス・カサソラスという麻薬カルテルを運営していた。最重要指名手配犯の一人として、メキシコ、アメリカの官憲に追われる人物。ドゴ・カルテルと敵対抗争を繰り広げた果てに、家族・兄弟を皆殺しにされ、生き残ったパルミロはメキシコを脱出する。いずれドゴ・カルテルを殲滅して、復讐を遂げ、メキシコに帰り咲くことを己の使命とする。勿論、パルミロは逃亡時点以降、様々な偽名を使いつつ、己を「調理人」と自称する。インドネシアに滞在し、世界の闇市場の情報を収集しつつ、己の使命のために、資金の蓄積とネットワーク造りに邁進する。
麻薬密売を介して、知り合うのが田中(本名:末永充嗣)と名乗る日本人。彼は元医師。インドネシアでは、臓器密売コーディネーターをしている。
日本には、元麻酔医で闇医師に転落し、末永と緊密な関係を維持する野村健二が居る。
調理師と末永とは親しくなり、末永は調理師の力量を評価したうえで、闇社会での一つのビジネス・モデルの構想を打ち明ける。それが契機となり、調理師と末永はチームを組む。それ以前から末永が愛称として呼ばれていた蜘蛛が末永の呼び名となる。このビジネスには、勿論野村も関わっていく。野村は奇人と称される。
彼らの拠点は日本に移る。
さらに、少なくともあと3人を主な登場人物に挙げておかねばならない。
一人は、第Ⅰ部第03セクションに登場する土方コシモ少年。父親は暴力団幹部でクラブを経営。母親はメキシコ人。結果的にコシモは相模原少年院に入所することに。読み進めている途中で、コシモがどういう形でストーリーの本流に登場してくるのか、どのような役回りを担うことになるのかが、私には興味津々となった。
もう一人は、第Ⅲ部第29セクションから登場する清勇・パブロ・ロブレド・座波。沖縄県那覇市で育ち、父親がペルー人、母親が日本人の長男。彼は一品物を作るナイフメーカーになりたかった。その技術を認められ、調理師に雇われる。そこは調理師、蜘蛛、奇人が共同経営のオーナーとなっているアクセサリー工房である。パブロはここで創作品や特注品を作りつづける。この工房でパブロは、ナイフの他にも、銀の指輪やペンダントなども作る。調理師は、インカ帝国のデザインを取り込めと指示する。雇用主の調理師との関りが続くにつれて、パブロは調理師の正体を凡そ感じ取るようになっていく。
やがて、パブロは調理師から指示されてコシモと工房での関係が生まれる。パブロはコシモに技術指導をする。一方、コシモに何を知らせ、何を知らせるべきでないかに、悩み始める。
この後、コシモは調理師に家族の一員として扱われるようになるのだが、パブロはあくまで工房でのナイフメーカーとして、被雇用者として扱われる。
3人目は、第Ⅱ部第22セクションから登場する宇野矢鈴。彼女は保育士。ある認可保育園に勤めていたが、他の保育士の問題提起から始まった待遇問題がこじれて騒動の渦中の一人となる。矢鈴は麻薬に手を染めていく。静脈注射の後に頭痛を感じるようになったことが原因で、闇医師野村の診断を受けるようになる。これが契機で、野村に目をつけられ、NPO法人<かがやくこども>という児童養護団体を紹介される。矢鈴はここの職員に転職。このNPO法人は、野村の周囲で動きつつあった巨大なビジネスの一環に組み込まれていた。矢鈴はそのことを全く知らずに、NPO法人の建前の目的に賛同して、指示された活動に活発に取り組み始めて行く。課題通りの仕事をこなしていくのだが、それは建前部分だけ知らされての活動だった。知らないままに、闇社会のビジネスに深く足を突っ込んでいくことになる。
最後に、全体の構成を目次として示す。
Ⅰ 顔と心臓
Ⅱ 麻薬密売人と医師
Ⅲ 断頭台
Ⅳ 夜と嵐
暦にない日
第Ⅳ部の末尾の文章がいい。アステカ王国の滅びた日とこのストーリーの結末の日との関りに触れられているのだから。
そして、このストーリーで、救われる思いを抱けるのは、「暦にない日」に記された後日譚である。
このストーリー、最後は祖母リベルタが4人の孫たちに語りかける断ぺ園的なアステカの物語の列挙で終わる。調理師・パルミロの頭に最後に走馬灯のように思い浮かんだことが、ここに取り上げられたのだろうか。
この語りの手前には、次の一文が黒地に白抜き文字で記されている。
サボテンにとまった鷲が
蛇を食らっている、
そこがおまえたちの榮える地だ。
ケツァルコアトルとテスカトリポカ (資料1)
ご一読ありがとうございます。本作の展開をお楽しみください。
参照資料
1) テスカトリポカ :ウィキペディア
補遺
アステカ :ウィキペディア
特別展「古代メキシコ ―マヤ・アステカ・テオティワカン」 小澤佳憲:「buncul」
謎多き国家アステカ 同盟帝国だったから滅亡した? :「日本経済新聞」
アステカ神話 :ウィキペディア
メキシコ麻薬戦争 :ウィキペディア
黄金の三角地帯 :ウィキペディア
メキシコカルテルの大ボス・麻薬王の“壮絶な最期”とは :「現代ビジネス」
パブロ・エスコバル :ウィキペディア
コロンビアにおける違法コカ栽培と政府の対策 千代勇一 :「IDE」
コロンビアー2024年麻薬密輸報告書:「JAPAN P&I CLUB 日本船主責任相互保険組合」
レッド・マーケット。ようこそ「臓器」の闇市へ :「WIRED]
臓器移植大国巣くう闇市場、中国 2024/3/24 :「富山新聞」
人身取引で子どもの臓器が売買されている実態と海外や日本の支援、わたしたちにできること :「A good thing, Start here, gooddo」
再開された臓器売買をめぐる論争 黒瀬勉 :「大阪大学医学系研究科」
クローズアップ現代 闇を追う ”臓器あっせん事件” :「NHK」
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"a href="https://blog.goo.ne.jp/kachikachika/e/c1a6922d79207a3aa27161bb648ba72a">『レッド・マーケット 人体部品産業の真実』 スコット・カーニー 講談社
本書は、2021年上半期の第165回直木賞受賞作品。また2021年の第34回山本周五郎賞受賞作品である。
この奇妙なタイトル名称、本書を読み始めて知ったのだが、アステカ神話に登場する神の名だった。かつての古代文明の一つ、アステカ王国は現在のメキシコの地で栄えていたという。単行本の表紙には、テスカトリポカの仮面の部分図が装丁に使われている。
これは大英博物館に所蔵される「テスカトリポカの仮面」をウィキペディアから引用した。(資料1)
第Ⅰ部「顔と心臓」の第10セクションに、アステカの暦は祭祀暦260日と太陽暦365日が組み合わされ、52周期の暦が社会生活の基盤になっていること。その新しい52年の開始を祝うにあたり、テスカトリポカという「見ることも、触れることもできない恐ろしい存在に、いけにえの心臓と腕がささげられ」るという。そして、末尾に次の文が記されている。「われらは彼の奴隷。夜と嵐、双方の敵、どれも同じ神を指していた。永遠の若さを生き、すべての闇を映しだして支配する、煙を吐く鏡(テスカトリポカ)」(p98)と。
人々はテスカトリポカという本当の名は胸にしまい込み、別名でこの神を敬うという。
本作は、メキシコから始まり、インドネシアを経由して、日本が舞台となる。スケールが大きく、おぞましい闇社会を取り扱ったクライム小説。麻薬密売人の闇世界と人体臓器売買の闇世界を組み合わせた裏社会でのビジネス形成とその破綻プロセスが描かれていく。この小説、怖いもの見たさ/読みたさに突き動かされていく。ストーリー展開が実に巧みである。
ストーリーはフィクションだが、世界に麻薬密売の組織が存在し活動していることは時折報道されている。人体臓器の売買市場が存在するというドキュメンタリー本も存在する。以前にスコット・カーニー著『レッド・マーケット 人体部品産業の真実』(講談社)という一書を読んだ。読後印象記を拙「遊心逍遥紀」の方に載せている。恐ろしい市場が存在するのも事実である。時折、臓器売買に絡む報道事例もある。
つまり、単なる絵空事ではないリアリティを滲ませる側面が、読者を惹きつける。
読後印象として、本作に出てくるキーワードを列挙してみよう。
アステカ神話。儀式。家族。裏切り。復讐。麻薬密売人。麻薬と覚醒剤。
麻薬資本主義(Drug Capitalism)。心臓。臓器。闇医師。無戸籍児童。
血の資本主義(Blood Capitalism)。
このストーリーから「同床異夢」という語句を想起した。壮絶な破綻と崩壊。
本作はアステカ帝国とアステカ神話がバックボーンになっている。主な登場人物の一人であるパルミロ・カサソラが、子供の頃に祖母のリベルタに、アステカ王国のこととアステカの神々について、体験的に刷り込まれる。パルミロは、アステカ神を信仰している。死んだ父親に倣い、4人兄弟でロス・カサソラスという麻薬カルテルを運営していた。最重要指名手配犯の一人として、メキシコ、アメリカの官憲に追われる人物。ドゴ・カルテルと敵対抗争を繰り広げた果てに、家族・兄弟を皆殺しにされ、生き残ったパルミロはメキシコを脱出する。いずれドゴ・カルテルを殲滅して、復讐を遂げ、メキシコに帰り咲くことを己の使命とする。勿論、パルミロは逃亡時点以降、様々な偽名を使いつつ、己を「調理人」と自称する。インドネシアに滞在し、世界の闇市場の情報を収集しつつ、己の使命のために、資金の蓄積とネットワーク造りに邁進する。
麻薬密売を介して、知り合うのが田中(本名:末永充嗣)と名乗る日本人。彼は元医師。インドネシアでは、臓器密売コーディネーターをしている。
日本には、元麻酔医で闇医師に転落し、末永と緊密な関係を維持する野村健二が居る。
調理師と末永とは親しくなり、末永は調理師の力量を評価したうえで、闇社会での一つのビジネス・モデルの構想を打ち明ける。それが契機となり、調理師と末永はチームを組む。それ以前から末永が愛称として呼ばれていた蜘蛛が末永の呼び名となる。このビジネスには、勿論野村も関わっていく。野村は奇人と称される。
彼らの拠点は日本に移る。
さらに、少なくともあと3人を主な登場人物に挙げておかねばならない。
一人は、第Ⅰ部第03セクションに登場する土方コシモ少年。父親は暴力団幹部でクラブを経営。母親はメキシコ人。結果的にコシモは相模原少年院に入所することに。読み進めている途中で、コシモがどういう形でストーリーの本流に登場してくるのか、どのような役回りを担うことになるのかが、私には興味津々となった。
もう一人は、第Ⅲ部第29セクションから登場する清勇・パブロ・ロブレド・座波。沖縄県那覇市で育ち、父親がペルー人、母親が日本人の長男。彼は一品物を作るナイフメーカーになりたかった。その技術を認められ、調理師に雇われる。そこは調理師、蜘蛛、奇人が共同経営のオーナーとなっているアクセサリー工房である。パブロはここで創作品や特注品を作りつづける。この工房でパブロは、ナイフの他にも、銀の指輪やペンダントなども作る。調理師は、インカ帝国のデザインを取り込めと指示する。雇用主の調理師との関りが続くにつれて、パブロは調理師の正体を凡そ感じ取るようになっていく。
やがて、パブロは調理師から指示されてコシモと工房での関係が生まれる。パブロはコシモに技術指導をする。一方、コシモに何を知らせ、何を知らせるべきでないかに、悩み始める。
この後、コシモは調理師に家族の一員として扱われるようになるのだが、パブロはあくまで工房でのナイフメーカーとして、被雇用者として扱われる。
3人目は、第Ⅱ部第22セクションから登場する宇野矢鈴。彼女は保育士。ある認可保育園に勤めていたが、他の保育士の問題提起から始まった待遇問題がこじれて騒動の渦中の一人となる。矢鈴は麻薬に手を染めていく。静脈注射の後に頭痛を感じるようになったことが原因で、闇医師野村の診断を受けるようになる。これが契機で、野村に目をつけられ、NPO法人<かがやくこども>という児童養護団体を紹介される。矢鈴はここの職員に転職。このNPO法人は、野村の周囲で動きつつあった巨大なビジネスの一環に組み込まれていた。矢鈴はそのことを全く知らずに、NPO法人の建前の目的に賛同して、指示された活動に活発に取り組み始めて行く。課題通りの仕事をこなしていくのだが、それは建前部分だけ知らされての活動だった。知らないままに、闇社会のビジネスに深く足を突っ込んでいくことになる。
最後に、全体の構成を目次として示す。
Ⅰ 顔と心臓
Ⅱ 麻薬密売人と医師
Ⅲ 断頭台
Ⅳ 夜と嵐
暦にない日
第Ⅳ部の末尾の文章がいい。アステカ王国の滅びた日とこのストーリーの結末の日との関りに触れられているのだから。
そして、このストーリーで、救われる思いを抱けるのは、「暦にない日」に記された後日譚である。
このストーリー、最後は祖母リベルタが4人の孫たちに語りかける断ぺ園的なアステカの物語の列挙で終わる。調理師・パルミロの頭に最後に走馬灯のように思い浮かんだことが、ここに取り上げられたのだろうか。
この語りの手前には、次の一文が黒地に白抜き文字で記されている。
サボテンにとまった鷲が
蛇を食らっている、
そこがおまえたちの榮える地だ。
ケツァルコアトルとテスカトリポカ (資料1)
ご一読ありがとうございます。本作の展開をお楽しみください。
参照資料
1) テスカトリポカ :ウィキペディア
補遺
アステカ :ウィキペディア
特別展「古代メキシコ ―マヤ・アステカ・テオティワカン」 小澤佳憲:「buncul」
謎多き国家アステカ 同盟帝国だったから滅亡した? :「日本経済新聞」
アステカ神話 :ウィキペディア
メキシコ麻薬戦争 :ウィキペディア
黄金の三角地帯 :ウィキペディア
メキシコカルテルの大ボス・麻薬王の“壮絶な最期”とは :「現代ビジネス」
パブロ・エスコバル :ウィキペディア
コロンビアにおける違法コカ栽培と政府の対策 千代勇一 :「IDE」
コロンビアー2024年麻薬密輸報告書:「JAPAN P&I CLUB 日本船主責任相互保険組合」
レッド・マーケット。ようこそ「臓器」の闇市へ :「WIRED]
臓器移植大国巣くう闇市場、中国 2024/3/24 :「富山新聞」
人身取引で子どもの臓器が売買されている実態と海外や日本の支援、わたしたちにできること :「A good thing, Start here, gooddo」
再開された臓器売買をめぐる論争 黒瀬勉 :「大阪大学医学系研究科」
クローズアップ現代 闇を追う ”臓器あっせん事件” :「NHK」
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"a href="https://blog.goo.ne.jp/kachikachika/e/c1a6922d79207a3aa27161bb648ba72a">『レッド・マーケット 人体部品産業の真実』 スコット・カーニー 講談社