お店のドアに「迷子犬」の写真が。
可哀想に、ご家族の方はどんな気持ちでいらっしゃることか。
20年ほど前、鎌倉の自宅から横浜の実家にセキセイインコを連れて行ったことがあった。
二、三泊するだけだったのに、娘がどうしても連れていくときかなかった。
その横浜の実家でインコは「迷い鳥」に・・・、
ほんの一瞬のことだった、手のりで、よく馴れていたので油断をした。
「こんにちわ・・・」と、隣の奥さんが玄関のドアを開けた瞬間に飛び出してしまった。
娘の落胆はそれは大きく、でも泣く様子はなかった。
「絵をかくの、それでいっぱい貼る」と素早く行動に移したのには驚いた。
いつか町で、いなくなったワンちゃんのポスターをじっと見つめていたことがあった。
「どうしたの?」
「ワンちゃんがね、いなくなっちゃったの。それでお家の人が、こんな子見かけませんでしたかって」
「帰ってくるといいね」
そんなやり取りをしたはずだ、娘4歳、幼稚園に入って初めての夏休みだった。
それから、実家に行くたびに二人で空を見た。
公園の梢にそれらしい姿を見たような気がしたが、夏の日の幻か。
その娘も24歳になり、来年、母となる。