小町通り、すごい人出でした。
土曜日は近づかないようにしているのですが、用があって・・・、横切れないような状態でした。
立ち止まっていた目の前に、お好み焼き屋さんの看板が。初冬の匂いがした。
お好み焼きには苦い思い出がある。
中学時代のクラスに、ちょっと気になる男子がいた。その彼とは挨拶を交わすぐらいの「関係」で、卒業して連絡をとるなんてことも勿論なかった。
彼は成績も優秀で、スポ-ツも万能で、クラスの中で噂されていた女子もいた。私なんて・・・、そんな存在だった。
20歳を少し過ぎたころ、その彼と、新橋でばったり会った。「久しぶり!」と、どちらからともなく言葉を交わした。会社帰りの彼と自宅に帰るだけの
私は、しばらく立ち話をした後、軽く夕食を食べようということになった。
初めて目にしたスーツ姿は新鮮だった。近くのお好み焼き屋さんに入った。
彼は広告代理店に就職していて、頼んだビ-ルを一気に干して、仕事がきついとネクタイを緩めた。
私も飲んだのかどうか記憶にないのだが、結構緊張していた。
お好み焼きのお椀が来て、店員さんが焼き方をレクチャ-してくれた。が、よく聞いていなかった。
当然私が焼くものだと思い、丁寧にこねて、鉄板の上に流し入れた。やけに広がって、ちょっとまずいと思った。
ぷつぷつと焼けていくのがわかった、隣の席では、威勢のいいお姉さんが,コテで一気にお好み焼きをひっくり返していた。
私は2、3度コテをお好み焼きの下に入れタイミングを計った。もうこれ以上は、焦げちゃう!エイや-とひっくり返した。お好み焼きは見事に半分に割れ、それはそれは無残な形になった。笑ってごまかし、分け合って食べた。
二枚目は彼に焼いてもらった。とてもきれいなお好み焼きだった。
ここ一番で、いつもしくじるのが私だった。
その彼とはそれだけで、その後、会うこともなかったがお好み焼きには、こんな苦い思い出がある。元気でいるのかな-、もう街でばったり会っても判らないと思うのですが・・・。