てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

わげもん~長崎通訳異聞~第3話:苦い秘密2

2022年01月28日 | わげもん~長崎通訳異聞~

出島の夜

オランダ商館から男たちの歌声が聞こえる。
それを聞きながら、通詞と書かれた提灯を提げてオランダ語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 が戻るところだ。
どうやら歌っていたのは、カピタンと呼ばれるオランダ商館長。出島のオランダ人たちを代表するトップ:レフィスゾーン(リチャード・ヴァン・ローイ)や、オランダ商館の勝手方:ヤンセン - 村雨辰剛 たちだ。
彼らが開いた夕食会に、柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり や芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友 も招待を受けている。

歌い終わると、カピタンの合図でワインで乾杯が行われ、食事が始まる。(ヤンセンは勧められたワインを断っている。)

賑やかやろ。

今年の荷降ろしが無事済んで、お楽しみみたいですね。

賑やかな宴の様子に、通詞の名門に生まれ、幼い頃からオランダ通詞会所に出入りしてきた小通詞:野田立之助(のだりゅうのすけ)浜田信也 と 栄之助が、オランダ商館の二階を見上げる。

立之助はこれから夜勤があると言ってその場を離れ、栄之助はある建物の戸を開ける。(通詞の詰所か?)
行燈の光の奥には、大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 が居た。

幽霊っていうとはおっとやなぁ。
二十年も経って出てきよった。
日誌のようなものを書きながら、栄之助に話す杉原。

はっ。

江戸に息子がおるとは知っとったのか。

いえ、周吾さんのことはあれ以来何も・・・触れるなと言われとりましたけん。

今、壮多(いじま そうた)永瀬廉 ちゅう小僧が二十年も前の古傷ば晒したら、長崎は終いばい。

彼のことは私が見ておりますから。

出島の出入り口の橋で

カピタンたちの夕食会の帰り、トリが主にヤンセンの用を務める内通詞で清十郎ら若い通詞に加えて、トリ、未章らとも親しい:忠弥(ちゅうや)蟷螂襲 と出会う。
季蝶たちは泊まりで、トリは柳屋へ一人で戻るところだった。忠弥はこれから出島に戻るところらしい。
出島に忘れものでもしたのかとトリが尋ねると、そうではないらしく

そうや、柳屋に戻るとやったら、言伝(ことづて)ば頼めるね。

忠弥はトリに伝言を頼んでいた。

***************************

杉原のいる出島の建物を後にした、栄之助。
すぐにオランダ商館で下働きをしているティティを見かけて、猫車を押す彼に声を掛ける。

モリヤマさん。
ティティ働き者、さっき忠弥さんホメタ。

ほぉ~、出島で忠弥さんに褒められたら一人前たい。
そう言って彼を労っていると、離れた場所で誰か男の叫び声がした。
壮多は声のした方向、オランダ商館の向こう側にある塀の方向を振り返った。

柳屋にある塩頭のいた部屋

ロウソクの明かりの下、今は壮多が塩頭のいた部屋を使わせてもらっている。
壮多はまだ英語の勉強をしているようだ。
出島から戻ったトリが、小声で単語を読み上げる壮多に話しかける。

そいは英語?

うん、まだ下手だけど。

壮多ならすぐ達者になっとさ。

う~ん、どうかなぁ。

今頃、壮多のおとっつぁまはなんばしとんやろ。(壮多、わからないといった顔をする。)
生きとっさ、そして会いに来るとば待っとっとさ。
壮多、微笑む。トリが、塩頭が居なくなり壮多が言って欲しい言葉をくれる人間が居なくなったことを、気遣ってくれていると感じたのだ。自分が知ったばかりの、長崎の人の優しさを思い出す壮多。
地球儀を動かしながら、
トリのおとっつあまも、海の向こうで元気だといいな。

頷くトリ。
トリの名前は、唐語?

おとっつぁまが付けてくれたの。
トォリィ、都に麗しいって書くとさ。

麗しい、都・・・。

都って字は、唐語で「全部」っちゅう意味やけん。

(ふぅ~ん、おぉ。)全部カワイイっ!(トリを指さす。トリは照れた表情。)
そぉか、トリのおとっつぁまはトリのこと、全部カワイイと思ってつけてくれたんだ。

トリ、うんうんと頷く。

いいおとっつぁまだな。

頷くトリ、壮多を見つめていて何かを思い出し・・・。

そうだ、忠弥さんから言伝ば預かってきた。

忠弥さんから?

タキエ橋で待っとるて、話があるとげな。

トリは出島から帰る途中、忠弥からこの伝言を預かってきたのだ。
急いで提灯を手に、橋へ向かう壮多。
だが、その場所には・・・
頭から血を流して倒れている忠弥の姿があった。

驚いて提灯の火を消す壮多。
忠弥の身体を揺するが反応はなく、壮多の手には忠弥の血がつく。
すると、川べりの石が水に落ちる音がし、人の気配に気づく壮多。
その場に提灯を残したまま、逃げていく人物を追いかけていくのだった。

翌日、奉行所による壮多の人相書きの手配が、長崎の町に貼りだされる。

蘭語通詞会所

通詞の見習生:大田清十郎(おおた せいじゅうろう)浅香航大
大通詞で清十郎の父:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎
野田立之助、杉原尚蔵 らの前で、忠弥の死が知らされる。
忠弥は頭を殴られて殺されており、奉行所が壮多の行方を捜しているということだった。

同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 が栄之助と捕り方を引き連れて柳屋へ向かっている。

杉原:壮多という男と忠弥とは、何か遺恨があったということか。

それを聞いて、清十郎が会所を飛び出していく。

壮多は夕べからずっと戻っていないと言う置屋・柳屋を束ねる女将:しず(紅壱子)
女たちは、その様子を障子の陰から覗き込んでいる。

行き先に心当たりは無いかか。

タキエ橋の死人と、壮多に何の関りがあっとですかぁ。

殺されたのは夕べだ、そのそばに転がってたのが・・・。
滝口は現場にあった提灯を見せる。

こいはうちの(提灯)・・・へぇぇぇ~っ!
しずは驚いて腰を抜かす。

暖簾の外からその様子を聞いていたトリ。
柳屋から離れようとすると、清十郎に見とがめられる。

おい、待たんか、聞きたかことがあっと。

知らんばい。

伊嶋壮多はあん店で寝泊まりしよったやろーがっ!

うちはお座敷やらお稽古やらいろいろあっとさ。
壮多が待ち合わせの後、どこに行ったかなんていちいち気にしとらん。

待ち合わせ、おぃっ!忠弥とか。

なん・・・。

忠弥ば殺した奴は、俺の手で仕留めたかっ!

出島の船着き場では

小舟から持ち込まれた樽を運ぶトリの友人、オランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁。
樽の中を親方に見せ、中身を確認してもらって出島の中へ運び込む。
小舟には、もう一つの樽が積まれているが・・・。

もはやデフォルトなのか、ヤンセンが荷役を叱りつけている。
親方は、もう壮多のような騒ぎはコリゴリなのか、謝っておけばいいからと兎に角荷役たちに頭を下げさせている。

その場所を避け、猫車に樽を乗せた未章が出島の町を進んでいく。
辿り着いたのは、動物が飼育されている場所にある小屋の前で・・・。

樽の中から、隠れていた壮多が出てくる。
そこの畑の道具小屋ばい、荷揚げの間は手入れがまどぅになるけん。
ここにおればかたか。
出島ん中におれば、奉行所は手が出せん。

詫びる壮多に、うんうんと留飲を下げさせることができて満足する未章。
ヤンセンに絡まれたときの借りを、返した気分になる。
小屋の戸をノックする音に、慌てて壮多に隠れるように指示をする。

訪ねてきたのは、料理小屋にいるティティだった。
未章とは仲が良く、出島の食べ物を持ってきてくれる段取りもついているようだ。
夜になり、未章とティティに事情を話す壮多。
忠弥さんは、俺と待ち合わせをして殺された。
そいつは、俺の父親のことも知っている筈だ。

忠弥とヤンセンはいつも一緒だと言う、ティティ。
毎晩行われる夕食会で皆が一緒に食事をするのはオランダ商館の決まりだという、ティティからヤンセンの部屋の場所を聞き出し手掛かりを探そうと思いついた壮多は小屋を抜け出し、ティティの情報を基に夕食会の間にヤンセンの部屋に忍び込む。

夕食会でワインを浴びるように飲むヤンセン。いつもは勧めても余り飲もうとしないのに、その様子がおかしいことに季蝶やトリは気づいていた。

ヤンセンの部屋で手掛かりを探す。
だが、悪酔いしたヤンセンが介抱され、部屋に戻って来るのを察する。
慌てて隠れる場所を探す壮多。

トリも付き添ってついてきていた。
別のオランダ人に肩を担がれ、椅子に座らされるヤンセン。

水差しから、コップに水を入れようと少し離れると、
ベッドの下に隠れている壮多に気づく。(壮多、トリに構わないでのサイン)
それを知らないオランダ人がヤンセンを諭す。

早く新しい通詞を雇え

彼の代わりはいない

確かに だが彼は危険な男だった
彼は密貿易の手引きをしていた

黙れ(トリがいる為、ヤンセン怒鳴る。)

私、お座敷に戻りますね。

大丈夫、彼女にオランダ語はわからない

後ずさりしながら、ヤンセンの部屋を出るトリ。
ヤンセンは水を飲んでいて気が付かない。トリの陰に壮多が隠れて一緒に部屋を出て行く。

トリと壮多は商館の建物の外に出るが、別のオランダ人が酔っ払いながら恋人の名を読んで歩いて来たため
2人で物陰に隠れた。
壮多に肩を抱き寄せられていたのに気づき、その腕を払うトリ。

なんであがんところにおっと。

手掛かりを探してた、忠弥さんを殺した奴の。

あったやなかね、手掛かり。
忠弥さんがまさか・・・
トリは話せないだけで、オランダ語の意味はうっすらと解っていたのだ。

このことは誰にも言うな。

言う訳なかろ、出島の遊女や禿(かむろ:江戸時代の遊郭に住む童女)がどいだけ忠弥さんに助けてもろたか。
嫌がらせされても騙されそうになっても、みんな・・・みんな忠弥さんが助けてくれた。みんな・・・。
そう言って、トリは泣き出す。明るい筈のトリにも、そのような苦労があったのだ。
そして神頭が言っていた、信じることの危うさ、それが崩れたとき根こそぎ持って行かれるという意味をなぞっている気がして堪らなかった。

泣くな。そう言って、壮多はトリの肩をさする。

未章が手配してくれた小屋に戻る壮多。
誰にも姿を見られていないことを確認し、小屋に戻ったのだが・・・。

本日は、ここまで

一体誰が忠弥を殺害したのか。
画面に映った川べりの足は、足袋なしの草鞋履きだったように見受けられましたが・・・。


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