うさぎとかえるの里

鳥獣戯画をこよなく愛する自分の日本文化や日常に関する想いをつづります。

天海。

2013-03-22 23:06:30 | 読書


久しぶりの戦国時代。

内田康夫さんの「地の日 天の海」を読みました。

天海僧正、とっても興味あります。
数年前、日光まで天海のお墓参りにも行っております

といっても、このお話は「天海」になる前のお話。

天海って、前半生不明…みたいによく言われますが(だから天海=光秀説みたいなのも出てくる…)、
考えてみれば、年齢的にも家康だけでなく、秀吉や信長の時代も見てきているわけで…。

このお話は、信長の天下統一までの道筋とともに、随風(天海)がみた秀吉、光秀といったところでしょうか。

秀吉、光秀の性格の違いまでしっかり分析しているところが、歴史上の「結果」を知った上での小説だけれども
面白かったです。

ミステリっぽく扱われてしまいがちな、「本能寺の変の動機」(光秀とか秀吉とか朝廷側の動きとか含めて)、
秀吉の「中国大返し」とか家康の「神君伊賀越え」なども、しっかりと納得できるストーリーになっていて、
こういう理路整然とした感じは、さすがミステリ作家の内田先生!と思わずにいられないのでした。

出家の身の随風(天海)が見つめた信長、光秀、秀吉、そして家康の時代(途中甲斐武田の滅亡などもあり…)は、
やっぱり猛きものもついには滅びる…的な無常観が満載で、ちょっと切ないです。

でも、流れを止めることはできない、というような思想が何回か出てきて、それは信長の勢いだったり、
その勢いを止めようとする流れだったり、それはもう人の力の及ばないむしろ「大いなる力」の存在をも感じさせるのでした…。
それに気づいていた秀吉も結局滅んでしまうのですが…
やっぱり無常ですね。


コメント
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