<前回のつづき>
とにかくこのような「内在的近代化論」と日本の韓国史研究者たちにはすでに影響力を失くしているのみならずアメリカのパレー、カミングスははもちろんのことエーカート、マクナマラなど大部分の権威ある韓国学者たちから笑われている。国内でも最近になって、アンビョンシク、イヨンフン、チョンサンインなど何人かの良心的な学者たちがこのようなつぎはぎだらけの研究に対して問題を提起しているが、いまだに韓国の教団と学界においては主流理論として生き残っていて好まれているようだ。
[2-2] 朝鮮総督府は強盗だったかP169
【新 親日派のための弁明】 キム=ワンソプ 第2部 オレンジ畑でリンゴを探す
韓国で出版された各種教科書と公務員試験書、教材、歴史書籍などに描写された土地調査事業項目を見ると韓国社会が日帝(大日本帝国)時代にいかに悪意を持った事実歪曲を目的にしていたかを知ることができる。次は、韓日合併直後に実施された土地調査事業に対するある公務員試験書が記述している内容だ。
<土地調査事業> 1910年から1918年まで日本が我が国(朝鮮)の土地所有権の確立を口実にしてくりひろげた大々的な調査事業として植民地政策遂行のため土地所有関係を整理整理改編した事業だ。この事業の結果農民たちは当然に彼らの所有に帰すべき農地を奪われたし一族の所有または村落共有の土地は総督府の所有になってしまった。その後いろいろ悪辣な方法でわれらの土地を奪った結果1930年代の統計によると全国土の40%に該当する田畑と林野が総督府の所有となった。
1. 日帝の実施名目:近代的土地所有制度確立
2. 実施目的:土地略奪
3. 方法:期限付き申告制
4. 結果:1)全農地の40%が朝鮮総督府の所有になって日本人に払い下げされた 2)農民は所有権や永久耕作権を喪失し期限付き契約の小作農の転落、生計維持のため家電明になるとか満州、沿海州日本などに移住
ほかの資料を見てもおおよそ似たような描写を展開している。ここで問題になるころはまず第一に朝鮮総督府が調査事業を通じ全国土の40%、あるいはある本によると50%とも言っているがとにかくほとんど半分にあたる土地を朝鮮人民から強奪したというのだ。第二に調査事業の結果大部分の農民が小作農に転落し生計の土台を失くし乞食のように国内の各地を彷徨うようになったというのである。調査事業をめぐるこの二つの主張がいかに間違ったものであるかをひとつづつ論じていきたい。
その前に2002年から新しく導入された韓国の国定教科書に出ている調査事業に関連した部分を引用してみる。2002年国定教科書は日帝時代に対し「わずか」前進し調査事業において「40%」という数字を削除した。これは以前の教科書のとんでもない創作を自ら認めたということになるが、これを除いて残りの部分が歪曲と捏造であるということは変わってない。
(引用)
「国権を簒奪したのち日帝は朝鮮の経済を植民地経済体制に改編した。その中でも核心は農業部門で強行された土地調査事業であった。土地調査事業では農民が土地所有に必要な書類をそろえて指定された期間内に申告しなければ所有権を認められないことになった。しかし当時土地申告制が農民に広く知られていなかったし、申告期間も短く手続きが複雑で申告の機会を逃した人も多かった。日帝がこのような煩雑な申告手続きを採用したのは韓国人の土地を奪うためにしたことである。そのため日帝は未申告の土地は無論、公共機関に所属した土地、村とか一族所有の土地と山林、草原、荒れ地などもすべて総督府所有にした。そうしてこのように奪った土地を東洋拓殖株式会社をはじめ日本人の土地会社とか個人にタダ同然で払下げした。
日帝の土地調査事業で我が国(朝鮮)の農民は多くの土地を奪われ期限付き契約によって小作農に転落した。土地調査事業が終わる1918年にはわずか3%の地主が耕作地の50%以上を所有し小作農以外には生きる道がない農家が77%に至った。この過程で以前の小作農は認められず地主の所有権だけ認められて地主制が強化された。したがって小作農は50%~70%に至る高額の小作料を出さなければならない状況になった。」(国史、p360)
(引用終わり)
去る2001年5月、韓国政府は日本歴史教科書で例えば壬申の乱(朝鮮出兵)当時倭軍(日本軍、秀吉軍)が「海を越える」とか「朝鮮半島に進出した」とか言う些細な用語の使い方までいちいち上げ足を取り36項目の修正を要求したことがある。仮に日本政府側が同様のレベルで韓国の国定教科書に対応をしたら先ほど引用したところだけでも35カ所程度は十分に修正要求ができるようだが。韓国の国定教科書では1876年の開港以後1945年まで70年間日本に関する記述がすっかり歪曲されていたため多分筆者が日本外務省の教科書歪曲問題担当者だとしても特定部分を指摘して修正を要求することは困難なことだ。これは全身が死に体であるのにある特定部分だけ蘇生するとかできないことと同じだ。
土地調査事業は統治初期の代表的な功績であり業績である。でありながらもその歴史的意味と貢献に対してはひとことも言及なされないばかりか日帝が農民の土地を奪うためにしたことであるかのように書かれている。すなはち韓国の教科書執筆者たちは善意で始まった日本の朝鮮統治に対し基本的には「総督府は強盗」という捏造された視点で歴史を見ているためにこのような文章が出てくるのであろう。
<つづく>