「紅の豚」ポルコが彼のフネ(飛行艇)と共にアジトにしている場所がある。洞窟をくぐると下界とはまるで違う穏やかな世界がある。
洞窟とまではなってないが、両側にそり立つ岩をくぐると秘密の安らぎの場所がある。こんな小さな入り江があるのは、アドリア海ばかりではない。与論島だ。ナンパの与論島だ。
「紅の豚」がそうであったように陸地側からはそう簡単に降りてこられなくなっている。自然が用意してくれた500坪の豪邸だ。与論にはいくつもある。音は聞こえない。船のコンポだけだ。水に響くといい音になる。百合が浜で拾った日本人たちは気立てがよく話がとても楽しい。残念なのは脳が溶けていることだ。
漱石の小説で「先生」は言った。「日本は、滅びるよ。」
先客がいて高校生のカップルがいちゃついていることがある。僕はそこまで野暮じゃない。静かな入り江はいくらでもある。戦時中は特攻艇震洋の出撃基地だったという人がいた。ウソだ。空から丸見えで30キロ爆弾でみんなひき肉になる。
入江の奥は必ず砂浜で、砂は星の砂だ。微生物の死がいだそうだが2,3ミリの星の形が集まって砂浜になっている。
サザンを聴きながらトロピカルを飲むのもよし、商店街を水着で歩く能天気乳女どもと一発やるのもよし、レンタカーでサンセットビーチに行くのもよし。スコールの中、オープンを走らせるのはフロリダ気分だ。
もっと書きたいが、国土交通省から悪い手紙が来た。
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「自動車燃料消費量」のご回答について
拝啓ますますご清栄のこととおよろこび申し上げます。
さて、先に国土交通省からお願いいたしました「自動車燃料消費量調査」は、1日から21日までの間で、最初燃料を満タンにした日から、次に満タンにした日までが調査機関となっておりましたが、調査票の記入はお済でしょうか。
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というのがきた。慇懃無礼とはこのことだ。調査票なるものを勝手に送りつけておいてまだ書いてないのを知りつつ「おすみでしょうか」とは腹がたつ。書いてないのを一番知っているのは国交省ではないか。
しかも僕のクルマのデーターを書いて送りつけている。いちばん大きいクルマのナンバーまで指定している。オマエら小役人が偉そうに俺のクルマを調べるな。手紙に書かれた意味なく思える数字、バーコードの変種、住所の印刷位置、字体、は僕のあらゆる情報を吸い取っている。そんなに分かっているならもう調べるな。
家にはエアコンがない。扇風機も50年前のだ。冬は火鉢。風呂は捨てる薪で沸かす。5000CCのクルマも乗るが20キロ以内は自転車、5キロ以内は走る。エスカレーター、自動ドアは利用しない。こうやってバランスをとっている人もいるんだ。官僚だけが偉いと思うな。
オマエらが僕の財布の中をあせくり回すな。
クルーザーはカネを食う。クルマみたいにチマチマリットルで数えない。クルーザーはバーレルで数える。バーレル1本は150リットルだ。韓国までは10バーレル、五島までは20バーレル。
しかもクルーザーは無税。その無税はおかしいと書くと、カネ持ちからは「そうだ」という意見が多いが、むしろ貧乏人の方が屁理屈こねてクルーザーも持たぬくせ政府の味方をして、無税でいいんだと叫び、いちように政府側の人間になったつもりになる奴が出る。あわれだ。
オマエらのエンジン付きベビーカーがガソリン食ったところでたかが知れてると思わんか。そのうえ税金まで払って。その上それを国交省に報告して。