事は思った以上に深刻で、ビールスは今や痕跡を残さず経路不明の伝染を始めた。
といってもビールス自体に意識があるのではない。意識どころか、生命体としての基本であるタンパク質すら欠けているので他の生命体の助けを借りなければ単なる物質なのだそうだ。
厄介な存在だが、生命体のなかにもこうした他人を利用することを覚えた生命は多い。ヤドリギ、寄生虫、・・・ おいしいところを吸い取って宿主が死にそうになると、どうやって察するのかさっと次の宿主に移動する。
まてまて、人間にもいる。借りたものを返さず当座を嘘でごまかし都合が悪くなるとさっとトンずらして新天地で再び増殖する。不渡り出しても気にもかけない脳性良心麻痺はそこら中にいる。コロナビールスもコロナ人間も罪の意識がないことでは同一だ。
目先を取り繕って、声ばかり大きく、時には偉そうに精神訓話をたれる。自転車操業の人生は結構快適だったりする。類は友を呼ぶ。
こいつらは歓楽街という粘膜で増殖する。何の生産性も持たないが、人に寄生しいるとか自活できてないとかいった自覚はない。
狂ったように目の前の軽薄な喜びに夢中になり、将来に備えることをしない。
賢明な方はお察しの通り、自分をコピーするという情報のみで構成されるビールスは、じつはビールス人間としてすでに巷にあふれていたのだ。
ただし、そんな軽薄な寄生人間に対して、ぼくらは彼らを「憎悪する」という抗体を獲得している。不当なあぶく銭を嫌悪するDNAは多くの人にある。
コロナがパンデミックになるかどうかの瀬戸際だというが、人間同士のなかでも悪性の寄生人間が不正をはたらき善人がばかを見る事態はよく目にする。
日本ではパンデミックとまではいかないが、少なくともクラスターは各地にある。本物コロナにしろ人間コロナにしろ。
寄生人間コロナは、人の良心が弱るのを虎視眈々と狙っている。隙を見せると増殖は速い。のどの粘膜から網膜にいたり物事をまともに見る能力を奪い、髄膜に、いたっては思考を停止させる。抗体のない人はいちころだ。
考えてもみろよ。はやい話が町の人間コロナゴミどもをいつ駆逐したか。暴力や裏切りや犯罪が町を大手を振って歩いている。抗体のない人間はバカを見ている。
目に見えるこの手の等身大ビールスを退治できないで今に至った社会が、今更特効薬を発明するとは考え難い。
絶対にありえない。
コロナビールスとチンピラに何の違いがあろう。