島本理生さんの「生まれる森」という小説を読んだ。
島本さんは
昨年「ファーストラヴ」で直木賞を受賞されるなど、
著名な女流作家であるが、読むのは初めて。
個人的に好きな文体で、内容も良かった。
「自分が他人を幸せにできるなんて発想は、
そもそも行き過ぎなのかもしれない。
幸せにしたいと思うことは、
おそらく相手にとっても救いになる。
けれど、幸せにできるはずだと確信するのは
傲慢だと思う。」
「昨日よりは今日、今日よりは明日、
日々、野田ちゃんは成長して生きている。
それに私もお兄ちゃんもいるし、
親だって健在でしょう。だから大丈夫だよ。
なにも心配することなんてないよ。
それにね、残酷かもしれないけど、
野田ちゃんにとってもサイトウさんにとっても、
二人の関係はもうすでに終わってるんだよ。
それは変えられない事実だよ。
痛みは後遺症みたいなもので、
時の流れが勝手に癒してくれるはずだよ。」
「自分ではそうしたつもりだったけど、
ケジメをつけたのか、突き放したのか、
今でもよく分からない」