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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

日曜大工雑感(塗り替え工事)その3

2020年12月17日 00時00分01秒 | マニュアル

 使用後の刷毛の処理についても油性塗料を使った後と、ラッカーなどの揮発性塗料を使った後とでは保存処理の仕方が異なる。油性塗料は空気中の酸素との重合で塗料が硬化するので、酸素との遮断が必要となる。一時的には、刷毛に含まれた塗料を定盤上で突きだした後、水につけておけばよいが、長期間の保存には、菜種油やボイル油を溶剤(塗料用シンナー)で希釈した液に浸し、密閉する。揮発性塗料の場合は、塗料に含まれたシンナー分(溶剤)が揮発して樹脂が硬化し塗膜となる。刷毛に含まれた塗料を突き出した後、ラッカーシンナーで十分に洗い、さらに洗剤を使って十分に洗う。刷毛を乾燥させ、密閉できる容器の底にウエスなどを敷き、ラッカーシンナーを十分湿らせた容器に、刷毛を吊るして保存する。注意しなければならないことは、塗料が二液性(主剤と硬化剤を使用時に一定の割合で混合する塗料、例えばポリウレタン塗料など)については、混合後に硬化がすぐに進むので、しばらく放置した刷毛では、シンナーを使っても溶けない場合がある。この場合には、施工後できるだけ速やかに塗料の突き出しを行って、シンナーで丹念に洗い、洗剤でさらに洗わなければ刷毛は使えなくなる。

 次の工程は中塗りおよび上塗りに入る。

 まずは塗料の準備である。缶に入っている塗料は、顔料が沈殿しやすいので、開缶前には缶を十分に前後させ、塗料を均一にする。開館後は下げ缶などに移した生塗料に、溶剤を1~2割混入し、攪拌棒でよく撹拌し粘度を調整する。粘度調整では、作業環境や、被塗物の状態によって微妙な調整が必要で、常時一定ということではないため、作業中においても注意が必要である。原則は強風時や気温が高いと塗料に含まれた溶剤が蒸発しやすく、また、被塗物も温度が上昇すると、塗り作業がやりにくくなるため、粘度を下げる必要が出てくる。現場では、粘度計を使用することはないが、多くは勘に頼っている。不純物の混入や、乾燥塗膜が混入していれば、金属製の金網が張った漏斗やろ過紙を使ってろ過する。

 塗り方の基本で刷毛の動かし方は、上から下に、右から左に一定の範囲を塗っていく。一回の動作は、刷毛の長さの2/3に塗料を含ませ、一度下げ缶の縁で、軽くたたきそのまま被塗物に置いていく(塗付け)。それを塗り広げ(ムラ直し)、下げ缶の縁で、刷毛に含んだ塗料を軽くしごき、塗り広げた面に刷毛目を通す(仕上げ塗り)。以上の3工程で完結する。刷毛の減りを意識すると、塗料を置くときおよび塗り広げは、刷毛を縦方向(刷毛幅が狭い)に使い、刷毛目を通すときは刷毛を横方向(刷毛幅が広い)に使う。さらに、一筋目と次の筋は1/3幅ずつ重ねて塗る。この動作を繰り返して塗るが、ふつうは、細部や、境を先に塗り仕上げる。これをダミ込めといっている。つまり、広い塗面と細部とは別に仕上げている。使う刷毛も異なり、広い面は寸胴を、ダミ込めには、豆刷毛と1寸筋違い刷毛を主に使用する。とはいっても、最近は、羊毛の平刷毛や筋違い刷毛の利用が進み、3本の刷毛を使うことが少なくなっている。

 どの作業にもいえることであるが、安全作業は当然で、ヘルメットをかぶり、高所作業は特に落下に注意し、安全ベルトを装着する。塗装作業は引火物を使うため、場合によっては有機溶剤を利用するので、防塵マスクや専用のマスクを使用し、喚起に気をつける。火気には十二分に注意されたい。残った塗料や溶剤の処分は専門業者に依頼する。