今回のテーマは研究所での経験一端をご紹介できればと思って筆を執った。自分が所属していた研究所は、行政研究に係わる職業訓練という特殊な研究所であった。厚生労働省の労働分野の政策研究所として有名な日本労働研究機構は幅広い労働関係の研究を手がけている。昭和53年4月に雇用促進事業団が所管する職業能力総合大学校の付置機関として設立し、40名規模の研究員が居た組織である。職業訓練に特化していたため、規模としても小さい組織であったが、国際労働機構(ILO)がイタリアのトリノに持っていたトリノセンターの機能を日本版として作られたといってもよいであろう。トリノセンターでは、職業訓練用教材の作成から出版、配布までを手がけていて、勿論、基礎研究部門を持っている。
組織の話はこれぐらいにして、研究員が行う研究とは何かについて自分なりの考えを述べることにしたい。そもそも研究とは何であるかであるが、テーマがあり、その成果を発表することで次のテーマに発展させる。エンドレスなところもある。テーマは、上司から与えられることもあるが、自らがテーマ探しをすることも多い。
一般的な研究テーマ探しは、専門分野で発表されている研究論文で、時代を遡って手当たり次第に目を通すことから始める。研究論文の構成は、研究の目的、研究方法、実験結果、結果の考察などである。考察では実験結果から導き出される傾向と理論との整合性を図り、再現性、新たな発見、未知の現象等を導き出す。
研究論文破読から、ある程度テーマが絞られてくれば、仮説を打ち立てる。通常は仮説として適用できる実験計画書を作る。材料、器具、装置、等を選別し、予算計画と共に時間(工程)計画も作る。実験途中で検証する必要があるため、工程ごとの評価基準も作って置く。この実験計画書を関係者に提示し、最終判断を仰ぐ。(次回へ続きます)
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