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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

バトンタッチに思う(3回シリーズその3)

2012年11月26日 09時44分30秒 | 緑陰随想
 知的管理系の能力付与は個人の経験や判断力の差が顕著に出るため、その移転やバトンタッチは感覚運動系技能の付与より難しい。マンツーマンの効果を最大限に発揮するOJTは、多くの企業で行われてきた引き継ぎであり、技術移転の方策でもある。発祥は比較的新しく、産業革命以降であったが、「まねる」という行為は戦前まで行われていた徒弟制度(見習い工養成)においても、現在でも変わりがない。受講者である訓練生は自分のものにするという強いモティベーションがあって初めて目的とする技能や技術を習得できるわけで、強制しても覚えないことは教育担当者が知っておかなければならないことである。つまり、相手があって教育は成り立ち、さらには相手が学ぶ気になっていないと移転の効果はあがらない。

 最近はブラックボックスとして理論やメカニズムを知らなくても製品ができあがる場面が多くあり、作業の単純化が図られてきた。反面、このことは応用力を減衰する方向となり、発生した問題を解決できない労働者を作ってきた。今後、エネルギー転換等のパラダイムが大きく変わると技術や技能の移転は十分に伝承されない恐れがある。バトンタッチがうまくいかないレースはその時点で敗北である。人材の育成はバトンの質を落とさずに、いかにバトンタッチをうまく行うかが重要な視点であると思った次第である。(今回で最終回です)


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