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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

技術・技能・知識の伝承内容その6

2016年08月08日 00時00分01秒 | 紹介

 単純に言えるかどうかはわからないが、自動車の走行は、装置自体のメカニズムが技術のたまもので、様々な機構が組み合わされた技術の組み合わせである。それを操作するのを運転技能といっている。運転自体は人間が行うため、技能の範疇に入る。では無人化した自動走行は運転技術というのであろうか、それとも無人化技能というのであろうか、人工知能を搭載されているので先端技術といった方がよさそうに思う。

 

 このことは人が介在されなくても運転が可能なことを示していて、技術が技能を凌駕しているといえる。一方、最新技術であっても、メンテナンスや、改造、性能を向上させるのは技術者ばかりではなく、テストドライバーなどにおいても技術の限界を知り、さらにテクニックが走行性能を向上される場合もある。そこには技能が入り込む余地はあるようである。つまり、古典的な世界だけではなく、最先端技術であっても技能者を必要としているのである。

 

 人間の感覚は進化するもので、すべての感覚を活用することによって、さらには感覚をより敏感にさせる装置や器具を併用することによって、感覚能力を増強することが可能である。香水を見分ける臭覚、多種の調理で使用するスパイスや等の味覚の世界でも感覚を強化した専門家がいる。カンやコツもその部類に入ると思うが、統合力などは機器では及ばない精密さを追及できる世界もある。

 

 小池和夫氏の新語として、在職時代に接したと記憶がある「知的熟練」という技能者とも技術者ともいえない新たな専門家が登場したとの論であったと思われるが、NC工作機械等を操作し、メンテナンスや生産計画等の経営にも参加するという専門家集団が将来の我が国の産業を牽引するとのことであった。現在、知的熟練との言い方が定着しているとは思われないが、この傾向が続いていることは否定できない。

 

 すでに我が国の技術者が生産現場に入り、技能者と一緒に作業することは珍しいことではなく、グレーカラーなどといわれていたが、技術者と技能者との区分けはますます曖昧となっていて、違和感なく第一線での仕事を行っている。最近では、単なるコア職員としてではなく(現場を知るために大卒の新人が短期間現場に入ることは従来から行われていた)、現場の指揮命令を行い、技能者とも技術者とも区分できない生産に従事している。

 また、技能者であっても、工程管理や、新製品開発のための研究を行い、試作品の作成、提案制度の具現化等にもあたっている。もはや、技能者と技術者とを区分する必要はなくなっているのかもしれない。



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