知人から池が原湿原の水芭蕉の話を聞きました。
我が家から200キロほどあり、ちょっと躊躇したものの、新しい発見の期待に心躍り、行ってみることに。
東海北陸道の飛騨清見ICを降りて卯の花街道に入ります。
標高1519mの猪臥山(いぶしやま)を貫通している、平成14年に開通した4475mの長い猪臥山トンネルを抜けます。
猪臥山・・・ネイミングの所以に興味をそそられながら、猪が出てくるかもしれない長いトンネルを通過します。
↓途中に”いぶし”という人影の殆ど無い素朴な道の駅がありました。トンネルの名前と同じです。
↓モニュメントがありました。石碑に「山と生きる」と書かれています。
山で生きる、この地方の人々の誇りを感じました。
街道沿い、いたるところにタニウツギの花が咲いていました。
ウツギには卯の花という別名があります。卯の花街道と名付けられた所以でしょうか。
↓ダイモンジソウに似ているが、葉が少し違います。ユキノシタ科ジンジソウ(人字草)です。
↓ところどころに咲く藤の花も街道を彩っています。
↓谷の向こうに、大きな朴の木が見えました。
苞の木に見惚れ、再び道路に目を移すと、目の先10メートル位の所に黒いカモシカがこちらを向いて立っていました。相手も慌てたのでしょう、写真を撮る前に谷の方に降りて行ってしまいました。
「ここは僕らの生きる縄張りなのに人がいるとは、おかしいな?」と思ったのかもしれません。
↓目的地の池が原湿原に到着したところ、駐車場には1台の車も無く、人の姿がありません。
入り口には「クマ出没注意」という看板があります。熊を追い払うためのドラム缶があります。
熊が近づかないようにと叩いてみました。熊も怖がるかもしれませんが、叩いた自分自身が大きな音に怖くなりました。
もしかしたら、この音は、熊を追い払う音では無く、人間が近づかないようにするための音でもあるかも・・・。
↓前方に湿原が広がっています。
↓肝心の水芭蕉の花は、時期が少し遅かったようです。
水芭蕉の象徴である純白の苞は見られず、中心の花の部分だけを残しています。
葉がかなり肥沃し大きく育っています。
↓黄色いリュウキンカも、やや旬の時期を過ぎたようです。
時季が遅かった為、目的の水芭蕉の姿は見られませんでしたが、その代わり街道沿いのいろんな花ばなや風景が目を楽しませてくれました。
水芭蕉は花の時期が終わると葉が肥沃します。肥沃した葉はクマの大好物だということです。
白い苞が見られる時期は人が鑑賞し楽しみ、その後の葉が肥沃してきた頃はクマに譲り、人は立ち入らないようにする・・・・・。
先程叩いたドラム缶の大きな音は、人間の入山を拒むためのものとも言えます。
人と熊の住み分けの大切さを、水芭蕉が教えてくれます。