着付け教室で、真赤な帯を締めている人がいました。
「赤いので、もう使えないわ。こういう教室ならばと持ってきたんです」と。
そう言えば私にも、同じようなものがあります。40年以上前に、母が私のために、糸を買って織ってもらったという赤い紬の帯です。一度も使うことも無く何十年もタンスの中で眠ったままです。
赤い帯を締めているその人と、帯談義をしているところへ、私より少し年上の先生も加わり「私もあるのよ」と。
「じゃあ、次回3人お揃いで赤い帯をしめましょう」と提案しました。
さて着物です。たぶんこれにあわせて揃えてくれたのだろう、と思う着物をだしてみました。こちらも今となっては少し派手なような気がします。
こうして昭和の帯が揃いました。
もう派手すぎて、外にはちょっと、と思われていた赤い帯が日の目をみました。
その時代を象徴している、とも言える赤い帯は、私たち3人だけでなく、そこに居合わせた同じ時代に生きてきた同世代の人達をも、懐かしい時代に誘ったのではないでしょうか。