三木奎吾の住宅探訪記

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。

【ホントかなぁ? TPP「積極的に検討」習近平】

2020-11-23 05:47:24 | 日記

本日は連休中でトピズレ、気になる時事経済政治ネタ。
先週11/20日米中など21カ国・地域のアジア太平洋経済協力会議(APEC)
首脳会議において中国・習近平が「TPP参加を積極的に検討」と 言及。
これに先立って11/15にはRCEP(東アジア地域包括的経済連携)も締結。
このRCEPもTPP(環太平洋パートナーシップ協定)のどちらも日本が
安倍政権時に戦略的に推し進めた多国間貿易環境。
TPPはトランプ政権が「アメリカ第1主義」で国際協調から2国間交渉に軸足を移し
その後、日本が中心になって国際協調の枠組みを先導してきた。
RCEPも当初の「日中韓」の枠組みから大きく拡大させて全15カ国でのスタート。
日本はインドの将来的参加にも含みを持たせたカタチで締結にこぎ着けた。
TPPは言わずもがな、中国独裁に対し自由貿易原則を対置したもの。
とくに投資の自由とか国有企業規制について明確に規定している。
中国の参加は自国体制危機を招くのが必至で、ありえないとされてきた。
その基本条件は変更されるわけもないので、習近平のこの発言は、
トランプ後の世界の情勢を見ての「孤立回避」作戦ではないかと思われる。
いま世界は対中包囲網の顕在化、対中認識が非常に厳しい局面にあり、
中国としてそこからどう脱するかの戦略判断からの観測気球。
バイデン政権樹立となれば、経緯もあるので直ちにではないにせよ、
アメリカのTPP(復帰)参加は濃厚。
機先を制してこのタイミングで中国は孤立回避策を打ち上げたというところか。

日本の菅政権にとって、これらの貿易協定は日本が中軸であり、
さらには日本経済復元の戦略、当面する世界戦略として最重要。
EU離脱後のイギリスにとっても魅力的な経済圏であり、
バイデン政権の動向も見通していち早く中国が反応したということだろう。
そういう意味では中国はなかなかにしたたかだと思わされる。
自国体制の根幹は絶対死守するだろうけれど、話し合いのポーズを取ることで
その果実、市場にはエントリーしておきたいというのが真の狙いだろう。
場合によっては譲歩もちらつかせながら、中国有利に持って行く底意。
日本の国益にとっても中国市場は無視し得ないけれど、
同時に中国の外交戦略からもいまは日本くらいしか懐柔しうる相手先はない。
ただ天安門事件時点での天皇訪中は日本の助け船だったけれど、
それに対して直後に中国は反日教育を対置してきた過去を持つ。
いまは習近平国賓招待が中国としてはカードになると踏んでいたけれど、
菅政権はスルーし続け不透明化するなかでの今回のTPP「参加検討」発言。
この変化球、揺さぶりは日本へ向けられたモノと考えた方がいい。
ただし以前のことは決して忘れるべきではない。冷徹な国益追求を目指すべき。
外交では欺された方がバカを見るだけなのだ。
今後の世界の焦点はこうした経済面にスポットが当たっていく可能性が高い。
日本経済にとって、ポスト中国市場も見据え自由で開かれた環太平洋市場を
自らの主導権で確保できていくのは最上戦略。大いに活用すべき。
日本企業としても、中国国内法に影響されない経済圏は貴重な存在。
中小零細企業も含めて、打って出る、あるいは国内市場に導引するのは重要。
こういった市場での活動が人口減少下での成長維持には欠かせなくなる。
コロナ対応政策には、ジェトロが海外のECサイトに「ジャパンモール」を作り
そこで販売する日本商品を募集しているという事業もある。
地方中小事業者でも海外戦略、こういった制度活用が考えられるかも。

外交的にこのTPP、RCEPは日本の平和の「武器」になる可能性が高い。
競争と協調の世界の戦いは矮小な国内政治をはるかに越えてドラスティック。
ポスト・トランプ、世界は徐々に陣取り合戦が始まっている・・・。