シマノ600ハブに付いていたUG(ユニグライド)カセット式フリー。分解と洗浄を終えて、今回は組付け。
古いUG規格。HGの歯とは溝の幅が一箇所だけ異なって、UG→HGはどうやっても無理。ボスフリーと違ってフリー兼用でそのまま付け替えって作りじゃ無いので、ある意味互換性が本当にありません。
フリー、ラチェット部ともに灯油と真鍮ブラシで綺麗に。
組み付け。
フリー内部にDURAグリスは固いので、私はフィニッシュラインのセラミックグリスを使っています。基本的にはグリスアップしながら元通りに戻すだけの作業。ホイール側のラチェット部にグリスを塗ってラチェットの羽を置きます。この羽には表裏があります。
ラチェットの羽を押さえるリングバネを溝に沿って入れます。バネは一周している訳ではなくて、写真(上)の赤い矢印の所から溝が切られていますので、バネの端⇔端がしっかり収まるように入れないといけません。
リングバネを取り付けるとラチェットの羽が開きます。続いて、ラチェットの羽を上から押さえる役割のワッシャーを乗せます。
※何枚か使われている玉押し調整用スペーサーの前に、少し厚めの抑え用ワッシャーが入ります。
続いて、フリーの玉押し調整用スペーサーを乗せます。これは極薄で何枚か使われていて、このフリーには4枚入ってました。複数枚入っていたら、厚→薄→厚という風に、薄いものを挟んであげた方が破損の心配が少ないと思います。
玉押し部分にグリスで土台を作り、ベアリングボールを乗せて行きます。この場所は25個。全部並べると丁度一つ分位のスペースが残ります。
カセットフリーのケースを被せます。カップ部にはグリスを乗せておきます。私の場合、この時代のハブやフリーは回転云々よりも、少しでも長く活躍してもらうためにグリスを多めに使っています。
フリーボディーを被せたら少し回してグリスを馴染ませ、ラチェットのかかり具合を確認。
続いて、上側(外側)のボールを並べていきます。もともと24個(下は25個)入っていましたが、24個だとボール2個分のスペースが出来てしまいました。24個で良いのかもしれませんが、1個足す事にします。
ボールのサイズは1/8(3.175mm)で、ボスフリーと一緒。
一つ足して25個。これでボール一つ分のスペースが残ります。普通の人はあまり開けない場所だと思うので、最初から無いのかメンテの手が入っていたのか、私が無くしていた可能性も有りますが(^_^;)
カップ(フリーの玉押し兼ハブの玉受け部品)の玉押し側にグリスを乗せて取り付け。
外した時と同様にスパナを使って締め付け。この場所は逆ネジなので、締めるには左へ回します。構造上、使っていると締まっていく場所なのでそんなにシビアに締めなくも平気…なハズ。
フリーのメンテは終了。当然ハブのメンテも行いましたが、今回は省略。このあと、ホイールを組み直しました(._.)
フリーの構造やメンテを理解するには、パークツール日本語版【ホーザン】のカセット&フリーホイールのページが参考になります。何となく理屈が分かっていても、「文章」で表すってのは中々難しいもので…。以下、少しだけ省略して抜粋。ホーザンのページは現行各社フリーについてのメンテ方法も書いてあって、なかなか面白いデス。
- フリーボディー自体には大きな負荷が掛かり、著しく部品の消耗が発生する訳ではない。
- 自転車が惰性(クランクを回転させていない状態)で走行している間はラチェットの爪は空転し、ベアリングが回っているが、この時にフリーボディー自体のそれぞれの部品に掛かる負担はわずかなもの。
- クランクを回転させて走行している間はラチェットの爪が掛かり、フリーボディー自体がロックされ、ペダルからクランク、チェーンと伝わってくる駆動力をフリーハブに伝えるが、ベアリングは回らないので、ベアリングの摩耗はほとんどない状態。
- ただし、負荷が少ないということでメーカーの推奨する潤滑剤などが一般的な粘度の高いグリースではない場合もあり、やはり定期的なメンテナンスは必要。