北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

アジールの入り口としての『中門』

2014-11-13 14:45:30 | 日記
アジールについては、網野善彦さんの「無縁・公界・楽」を読んでいただくのが、一番良い

とは思うのですが、現在でも「住居侵入罪」と言う法律があります。駅とか店舗とか交番は

いきなり入って行っても罪にはなりません。でも、住宅は違うのです。「御免下さい。」

などと大きな声などで、何か言って、家人などから「どうぞお入り下さい。」などと言われ

るのを確認してから、その住宅に入らないといけないのです。この「御免下さい。」って、

何に「御免下さい。」なのでしょうか?知里幸恵さんの「アイヌ神謡集」の、



     



有名な『銀の滴降る降るまはりに』の次の、『狐が自ら歌った謡「トワトワト(towa towa to)」』

の脚注に次のような記述があります。ashnrekと言う言葉の脚注です。


    (5) ashurは変わった話、ekは来る。・・・村から遠い所に旅に出た人が

      病気したとか死んだとかした時に、その所からその人の故郷へ使者が

      その変事を知らせに来るとか、外の村で誰々が死にましたとか、何々

      の変わった事がありましたとかと、村へ人が知らせに来る事を云ひま

      す。その使者をashurkorkur(変わった話を持つ人)と云ひます。

      ashurkorkur は村の近くへ来た時に先ず大声をあげて hokokse   

      (フオホホーイ)をします。すると、それをききつけた村人は、やはり
    
      大声で叫びながら村はずれまで出迎へて、その変り事をききます。

                     (句読点を増やしたヵ所などあります。)


この、hokokse(フオホホーイ)とは、「御免下さい。」や「頼もう!」の原型のようなもの

と考えられないでしょうか?(入り口で何か大音声をあげると言う形式としては、、、。)

住居や村の中は、とりあえず「安全な場所」(つまりアジールです。)ですが、一歩外に

出ると、そこは「悪い知らせ」が待ち構えていたかも知れない世界だったのです。

そして、そこまではことわりなく入っても良い境界が「中門」だったのではないでしょう

か? (いきなり話が飛んですいません。頭の中が論理的に出来ていません、、、。なんと

か例証などひいて説明したいのですが、、、。)




写真は知里幸恵さんです。知里真志保さんのお姉さんで、東京の雑司が谷の金田一京助

さんのお宅で「アイヌ神謡集」を完成させて、すぐに19才でなくなりました。お墓は雑司が

谷墓地にあり、北海道登別市に記念館があります。(ちょっと吉村先生に似ています。)



追記  幸恵さんのお墓は昭和50年に、雑司が谷墓地から登別のハシナウシの丘の富浦墓地に

    改葬されたようです。そう言えば、記念館の裏手の山に、前は海の見える丘の突端に

    あった、お兄さんの知里真志保さんの「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降る

    まわりに」の碑も移されていて、兄妹の墓も並んでいたような、、、。




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