その会社の社長は若い頃苦労して会社を興し従業員が100人弱とはいえ、不況の波にも耐え順調に実績を伸ばしてきた。
彼はかなりのワンマン社長だった。
白い物でも彼が黒だと言えば黒だとなった。
そしてかなりの倹約家でもあった。
空調設備や照明器具ひとつに対しても社員に『節約』をうるさく言った。
社員は仕事が出来なくなる直前まで空調を我慢し照明は部屋の半分しかつけなかった。
また、彼は「人件費がこの業界一安い」という事も自慢にしていた。
給料が安くて辞める社員もいたが、この不況の時代にすぐに補充が出来た。
会社は彼が作った物でまた社員も彼が雇ってやっているものだと思っていた。
会社は彼の為にあるのだ。利益もまた・・・
そんなある日。
社長室を叩くノックの音がした。
「どうぞ、入りなさい」と彼が言うとにこやかな顔の男が入ってきた。
彼の知らない顔だ。
「君は誰だね」と問う。
するとその男は言った。
「私はこの会社です」
彼は一瞬あっけにとられ黙ってしまったが、すぐにはっとしおかしな人物が入ってきた事を他に知らせようとした。
内線を押すが誰も出ない。
「無駄です」その男は言った。
「私はこの会社です。最初あなたの『気持ち』から出来ました。でも今では段々増えていった何人もの社員の人の『気持ち』から出来ています。最初あなただけで出来ていた私の体は今ではあなたの以外の気持ちが大多数を占めるようになりました。そしてそのあなた以外の『気持ち』があなたの『気持ち』を拒否しています」
彼はその男が何を言っているのか理解が出来ない。ただ、その男が人ではない事はそのかもし出す雰囲気からわかってきた。
また、その男は続ける。
「これをあなたにお返しします。あなたの『気持ち』です。この中心の『気持ち』は別な『気持ち』がもう入る事になっています」
男は自分の胸をさわるとそこから光る球をとりだした。
そしてそれを彼に渡した。
「それでは、ごきげんよう」
男はそう言うとすっと消えた。
彼はあたりを見渡すと何もかもが消えていた。彼が築いたと思っていた会社も。
そこにはただ永遠なる野原が続いているばかり。
彼は男に手渡された球に頬を当てる。
ほのかに暖かく彼の若き日の情熱が球の中心で今にも消えそうに揺れていた。
一気に思い出が駆け巡る。
会社を興そうと決心した日。そしてそれに手を貸してくれた親族や友。彼の為に苦労するとわかっていてついて来てくれた昔の同僚。そして段々増えていった社員達。
でも彼と一緒に苦労してくれた仲間の暖かさや情熱は彼の『気持ち』のそばにはもうないのだ。
もう何もかも遅かった。
失った物を悔やみただただ、彼は涙を流すばかり・・・。
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ぺんのちょっと一言。
何でこの話を思いついたかと言うと今日は暑かったから。
・・・ま、ボスはゴルフでいなかったんだけど。
体力が皆落ちてきてね・・・今日はすごくつらかった。
髪の毛の中に汗がたまって私のヘアースタイルはアフロになりかけだった。
アフロぺん・・・なんて自分をこっそり呼んでみたりして。
明日、この話みたいに何にもなくなっていればいいのに。
永遠の野原・・・変な表現かもしれないけど明日出勤したら会社の場所が野原だったらいいのに・・・なあんて思ってしまって、今日汗書きながら仕事してたときに思いついたこのフレーズをどうしても書いてみたかった。
ただ、それだけ。
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彼はかなりのワンマン社長だった。
白い物でも彼が黒だと言えば黒だとなった。
そしてかなりの倹約家でもあった。
空調設備や照明器具ひとつに対しても社員に『節約』をうるさく言った。
社員は仕事が出来なくなる直前まで空調を我慢し照明は部屋の半分しかつけなかった。
また、彼は「人件費がこの業界一安い」という事も自慢にしていた。
給料が安くて辞める社員もいたが、この不況の時代にすぐに補充が出来た。
会社は彼が作った物でまた社員も彼が雇ってやっているものだと思っていた。
会社は彼の為にあるのだ。利益もまた・・・
そんなある日。
社長室を叩くノックの音がした。
「どうぞ、入りなさい」と彼が言うとにこやかな顔の男が入ってきた。
彼の知らない顔だ。
「君は誰だね」と問う。
するとその男は言った。
「私はこの会社です」
彼は一瞬あっけにとられ黙ってしまったが、すぐにはっとしおかしな人物が入ってきた事を他に知らせようとした。
内線を押すが誰も出ない。
「無駄です」その男は言った。
「私はこの会社です。最初あなたの『気持ち』から出来ました。でも今では段々増えていった何人もの社員の人の『気持ち』から出来ています。最初あなただけで出来ていた私の体は今ではあなたの以外の気持ちが大多数を占めるようになりました。そしてそのあなた以外の『気持ち』があなたの『気持ち』を拒否しています」
彼はその男が何を言っているのか理解が出来ない。ただ、その男が人ではない事はそのかもし出す雰囲気からわかってきた。
また、その男は続ける。
「これをあなたにお返しします。あなたの『気持ち』です。この中心の『気持ち』は別な『気持ち』がもう入る事になっています」
男は自分の胸をさわるとそこから光る球をとりだした。
そしてそれを彼に渡した。
「それでは、ごきげんよう」
男はそう言うとすっと消えた。
彼はあたりを見渡すと何もかもが消えていた。彼が築いたと思っていた会社も。
そこにはただ永遠なる野原が続いているばかり。
彼は男に手渡された球に頬を当てる。
ほのかに暖かく彼の若き日の情熱が球の中心で今にも消えそうに揺れていた。
一気に思い出が駆け巡る。
会社を興そうと決心した日。そしてそれに手を貸してくれた親族や友。彼の為に苦労するとわかっていてついて来てくれた昔の同僚。そして段々増えていった社員達。
でも彼と一緒に苦労してくれた仲間の暖かさや情熱は彼の『気持ち』のそばにはもうないのだ。
もう何もかも遅かった。
失った物を悔やみただただ、彼は涙を流すばかり・・・。
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何でこの話を思いついたかと言うと今日は暑かったから。
・・・ま、ボスはゴルフでいなかったんだけど。
体力が皆落ちてきてね・・・今日はすごくつらかった。
髪の毛の中に汗がたまって私のヘアースタイルはアフロになりかけだった。
アフロぺん・・・なんて自分をこっそり呼んでみたりして。
明日、この話みたいに何にもなくなっていればいいのに。
永遠の野原・・・変な表現かもしれないけど明日出勤したら会社の場所が野原だったらいいのに・・・なあんて思ってしまって、今日汗書きながら仕事してたときに思いついたこのフレーズをどうしても書いてみたかった。
ただ、それだけ。
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