僕、山内 透。小学校6年生。
僕のうちはお母さんと僕と妹の沙織(小学校4年生)と犬のポンの4人?家族だ。
お父さんはいない。だからお母さんは朝から夜遅くまで働いている。
お母さんの仕事は看護士だ。帰りは深夜や翌日になる事なんかも多い。
僕は、小さい頃はお母さんがいないから寂しいと思った事もあるけど今ではお母さんが僕や妹の為に一生懸命働いているのを知っているから、もう寂しいと思わない。
それに僕が頑張って沙織の世話をしないといけないと思っている。だって家の中で男は僕1人だから・・・あっ!ポンもいたか!
ただ、お母さんが帰って来るのが遅かったり、翌日お母さんが休みだったりすると一緒によく寝過ごして遅刻をしてしまう。
担任の赤城先生には怒られてばっかりだ。
今、学校は夏休みだ。
同じ留守番友達のウッチーと遊んだ。ほくろクラブの他のメンバーのテンちゃんは野球のチームに入っているからずっと練習だし、みずっちはお母さんの許しがないとなかなか出してもらえない。
夏休みに入ってからは自由なウッチーと遊ぶことが多い。
今日は遊んでいる時に、一番好きな食べ物は何か?と言う話しになった。
「僕は、おでんとオムライス!」とウッチーが言った。
「僕もオムライス一番大好きだよ!」
僕はとたんにオムライスが食べたくなった。
お母さんはオムライスは手がかかると言ってめったに作ってくれない。最後に食べたのはもう何年か前かもしれない。
ウッチーが
「昨日、僕んちはオムライスだったよ。お母さん朝から玉ねぎ刻んで用意をして帰ったらすぐに作ってくれた」と言った。
ウッチーのお母さんも働いているけど毎日7時ごろまでには帰ってきている。
だから作れるんだな・・・きっと。
僕はふとある考えが浮かんだ。
「よし!自分で作ってみよう!」って。
「ウッチー、昨日食べたオムライスって何が入っていた?」と僕が聞くと
「えっと、うちのはね、玉ねぎと・・・にんじんと・・・あっ!忘れてならないのがとり肉だ!」
と言った。
僕はその場でウッチーと別れ、スーパーに買い物に行った。
僕と妹はお母さんが遅くなるときや夜勤の時はコンビニやスーパーでお惣菜やお弁当を買いなさいとお金を渡されている。
今日はそれを使って・・・自分でオムライスを作るんだ!
冷蔵庫の中にたまごが入っていたし、玉ねぎもあったと思う。
ケッチャプもそう言えばあったはずだ!
僕はにんじんととり肉を買って、家に帰った。
まずはとり肉を切った。案外よく切れない。とり肉を切るので30分かかった。
次に玉ねぎとにんじんを切った。
玉ねぎってこんなに目にしみるものだったんだ。段々邪魔くさくなって玉ねぎもにんじんも最後にはかなり大きくなった。
お米を洗って炊飯器にセットして炊いて見た。
炊きあがったご飯はなんだかベチョベチョしてた。
でも、まあいいや。炒めたらカラッなるかもしれない。
沙織が遊びから帰って来た。
「兄ちゃん、コンビニに弁当買いに行こうよ!」と言ったが僕が
「待て!今日は兄ちゃんがオムライス作ってやるよ」と言うと沙織は大喜びした。
僕らだけで火を使うのはお母さんが禁止している。
だから僕はホットプレートを出してきて材料を炒めて次にご飯を入れた。
なんだかべチャべチャでよく混ざらない。団子みたいになってきたので仕方なしにケッチャプを入れたらもっとべチャべチャになった。
いやな予感がしたが「味で勝負だ」と自分に言い聞かせ、一旦ホットプレートの中からチキンライス・・・と言うかチキンライスだんごをとり出した。
次は卵だ。1個1個するのは面倒なので全部流し込んでその上にさっきのチキンライスだんごを入れた。
当たり前だけど・・・ひっくり返せなかった。
出来たのは・・・なんだか卵が下でぐちゃぐちゃしててその上に赤い塊のごはんがのっていると言うものだった。
「兄ちゃん、これ食べれるの?」と沙織が不安そうに言った。
「当たり前だ!」
といい、沙織にそれをよそった。
一口食べた沙織は
「こんなのオムライスじゃない」と言って泣いた。
僕も一口食べた。玉ねぎは大きすぎる。にんじんもまた大きすぎて中まで火が通ってなくてゴリゴリ。
ご飯はべちゃべちゃでケチャプのかけすぎでどろどろした部分とご飯のままの部分がある。
最悪なのは卵が包めてなくてこげている。
僕自身も食べれなかった。
ポンにもちょっとだけだして見た。
ポンは匂いを嗅いでクルッと後ろを向いてしまった。
最悪だ・・・。
泣きじゃくる沙織をなだめカップ麺を出してきてポットのお湯を注いで2人で食べた。
ポンにはドックフードを改めてだしてやった。ポンはうまそうにドックフードを食べた。
なんだか疲れてホットプレートの上のオムライスもどきも片づけずに沙織を寝かせてから僕も眠った。
いつもはお母さんが帰ってくるのを待っていようと思うのに・・・。
なんだかとても悲しかった。
翌朝、僕が起きると食卓の机の上はきれいに片付いてた。
そして手紙が置いてあった。
『オムライスごちそうさま。お母さん、とっても美味しかったしうれしかった。今度はお母さんがオムライスを作るわね』と。
お母さんは昨日は遅かったみたいでまだ寝ている。
僕の作ったあのオムライスもどきが美味しいなんて・・・。
僕はなんだか胸が熱くなった。
その日の夕食はもちろんお母さんの作ったオムライスだった。
黄色い卵で包んだオムライスを食べたらなんだか力がわいてくる。
そしてこれから何か悲しい事があっても今日のオムライスの黄色い色の事を思い出せばきっとなんでも乗り越えられるような気がした。

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僕のうちはお母さんと僕と妹の沙織(小学校4年生)と犬のポンの4人?家族だ。
お父さんはいない。だからお母さんは朝から夜遅くまで働いている。
お母さんの仕事は看護士だ。帰りは深夜や翌日になる事なんかも多い。
僕は、小さい頃はお母さんがいないから寂しいと思った事もあるけど今ではお母さんが僕や妹の為に一生懸命働いているのを知っているから、もう寂しいと思わない。
それに僕が頑張って沙織の世話をしないといけないと思っている。だって家の中で男は僕1人だから・・・あっ!ポンもいたか!
ただ、お母さんが帰って来るのが遅かったり、翌日お母さんが休みだったりすると一緒によく寝過ごして遅刻をしてしまう。
担任の赤城先生には怒られてばっかりだ。
今、学校は夏休みだ。
同じ留守番友達のウッチーと遊んだ。ほくろクラブの他のメンバーのテンちゃんは野球のチームに入っているからずっと練習だし、みずっちはお母さんの許しがないとなかなか出してもらえない。
夏休みに入ってからは自由なウッチーと遊ぶことが多い。
今日は遊んでいる時に、一番好きな食べ物は何か?と言う話しになった。
「僕は、おでんとオムライス!」とウッチーが言った。
「僕もオムライス一番大好きだよ!」
僕はとたんにオムライスが食べたくなった。
お母さんはオムライスは手がかかると言ってめったに作ってくれない。最後に食べたのはもう何年か前かもしれない。
ウッチーが
「昨日、僕んちはオムライスだったよ。お母さん朝から玉ねぎ刻んで用意をして帰ったらすぐに作ってくれた」と言った。
ウッチーのお母さんも働いているけど毎日7時ごろまでには帰ってきている。
だから作れるんだな・・・きっと。
僕はふとある考えが浮かんだ。
「よし!自分で作ってみよう!」って。
「ウッチー、昨日食べたオムライスって何が入っていた?」と僕が聞くと
「えっと、うちのはね、玉ねぎと・・・にんじんと・・・あっ!忘れてならないのがとり肉だ!」
と言った。
僕はその場でウッチーと別れ、スーパーに買い物に行った。
僕と妹はお母さんが遅くなるときや夜勤の時はコンビニやスーパーでお惣菜やお弁当を買いなさいとお金を渡されている。
今日はそれを使って・・・自分でオムライスを作るんだ!
冷蔵庫の中にたまごが入っていたし、玉ねぎもあったと思う。
ケッチャプもそう言えばあったはずだ!
僕はにんじんととり肉を買って、家に帰った。
まずはとり肉を切った。案外よく切れない。とり肉を切るので30分かかった。
次に玉ねぎとにんじんを切った。
玉ねぎってこんなに目にしみるものだったんだ。段々邪魔くさくなって玉ねぎもにんじんも最後にはかなり大きくなった。
お米を洗って炊飯器にセットして炊いて見た。
炊きあがったご飯はなんだかベチョベチョしてた。
でも、まあいいや。炒めたらカラッなるかもしれない。
沙織が遊びから帰って来た。
「兄ちゃん、コンビニに弁当買いに行こうよ!」と言ったが僕が
「待て!今日は兄ちゃんがオムライス作ってやるよ」と言うと沙織は大喜びした。
僕らだけで火を使うのはお母さんが禁止している。
だから僕はホットプレートを出してきて材料を炒めて次にご飯を入れた。
なんだかべチャべチャでよく混ざらない。団子みたいになってきたので仕方なしにケッチャプを入れたらもっとべチャべチャになった。
いやな予感がしたが「味で勝負だ」と自分に言い聞かせ、一旦ホットプレートの中からチキンライス・・・と言うかチキンライスだんごをとり出した。
次は卵だ。1個1個するのは面倒なので全部流し込んでその上にさっきのチキンライスだんごを入れた。
当たり前だけど・・・ひっくり返せなかった。
出来たのは・・・なんだか卵が下でぐちゃぐちゃしててその上に赤い塊のごはんがのっていると言うものだった。
「兄ちゃん、これ食べれるの?」と沙織が不安そうに言った。
「当たり前だ!」
といい、沙織にそれをよそった。
一口食べた沙織は
「こんなのオムライスじゃない」と言って泣いた。
僕も一口食べた。玉ねぎは大きすぎる。にんじんもまた大きすぎて中まで火が通ってなくてゴリゴリ。
ご飯はべちゃべちゃでケチャプのかけすぎでどろどろした部分とご飯のままの部分がある。
最悪なのは卵が包めてなくてこげている。
僕自身も食べれなかった。
ポンにもちょっとだけだして見た。
ポンは匂いを嗅いでクルッと後ろを向いてしまった。
最悪だ・・・。
泣きじゃくる沙織をなだめカップ麺を出してきてポットのお湯を注いで2人で食べた。
ポンにはドックフードを改めてだしてやった。ポンはうまそうにドックフードを食べた。
なんだか疲れてホットプレートの上のオムライスもどきも片づけずに沙織を寝かせてから僕も眠った。
いつもはお母さんが帰ってくるのを待っていようと思うのに・・・。
なんだかとても悲しかった。
翌朝、僕が起きると食卓の机の上はきれいに片付いてた。
そして手紙が置いてあった。
『オムライスごちそうさま。お母さん、とっても美味しかったしうれしかった。今度はお母さんがオムライスを作るわね』と。
お母さんは昨日は遅かったみたいでまだ寝ている。
僕の作ったあのオムライスもどきが美味しいなんて・・・。
僕はなんだか胸が熱くなった。
その日の夕食はもちろんお母さんの作ったオムライスだった。
黄色い卵で包んだオムライスを食べたらなんだか力がわいてくる。
そしてこれから何か悲しい事があっても今日のオムライスの黄色い色の事を思い出せばきっとなんでも乗り越えられるような気がした。

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