トホホおやぢのブログ.....

アンチエイジング、自転車、ダイエット、スイム、ラン等々、徒然なるままを・・・

クロモリは蘇る.....#02

2020-06-04 16:14:00 | スチールバイク

 結論から言えば、右側のフレームのように新品同様になる。でも、これらのプロセス、いわば技術やノウハウの多くは、メディアでもあまりとりあげないし、プロショップさんレベルでもあまり知られていないかもしれない。だって、最近のショップさんはまともなクロモリ知らないし、溶接の違いさえ解らない店員さんも少なくない。

 それに、あまり知られていないこんな背景もある・・・・
◆再生できることが広まったら、新車が売れなくなる(大手の考え方)
◆他人の作ったフレームを修理した場合、万一製品不良で事故が起きた場合責任はどうなるのか?また、元々のフレームの材質やパイプの構造もわからないので、それに手を加えるのはリスクでは?(一般的なフレームビルダーの考え方)
◆再生コストがショップではなかなか解らない ビルダー側では実際にモノをみないとわからない
◆日本ではビルダーと塗装が別々のところが多いので、溶接の修理コスト? 塗装のコスト?いったいいくらかかるの? 実際現物見て、やってみなくちゃわからないこともある
◆レース出身のショップさんの中には、自転車は道具と割り切っているので、大金をかけて直す人の気持ちがわからない→悪気無く「新車買った方が、割安ですよ」の言葉がでるのはその為
◆ショップによっては、大手ブランドの販売ノルマが有るので、修理ではなく買い替えを常に薦める可能性がある

なので、なかなか愛する彼女を蘇らすには困難がつきまとうのだ・・・・・・

持ち主との同意を得て、Calamita Due+が、蘇生工場Macchi Cycles(マッキサイクルズ)に送られた。通常ならば、フレーム交換って方法が手っ取り早いのだけれど、たくさんの思い出の詰まった自転車だから・・・・
まずは、ジグに固定されて彼女の身体検査だ・・・・
そして、

さらに新しいチェーンスティが溶接された

タンゲのロゴが見える。もともとはコロンバスだから、彼女はハーフになった(笑)









元々はTIG溶接だったけれど、新しいCS(チェーンスティ)に関してはロウ付け溶接だ

さて、いよいよ次は塗装工程だ・・・・

ここまでの作業は、Macchi Cycles(マッキサイクルズ)に依頼
 ビルダー植田真貴氏 東京サイクルデザイン専門学校、第一期卒業生。新進気鋭のビルダーとして高い評価を受ける。在学中から自ら工房を立ち上げ、卒業後、競輪フレームビルダーの下で腕をみがく。現在独立して、フレームビルダーとして地元滋賀に。ロード、シクロ、シティ車、小径などを製作。ビルダーのみならず、メカニックとしてトライアスロン、ロングライドの大会にも参加している。今回はこの提案を快く引き受けてくれた。

http://www.macchicycles.com/






クロモリは蘇る.....#01

2020-06-03 10:54:00 | スチールバイク

【プロローグ】
 人それぞれの思い入れにもよるが、自転車とは不思議な乗り物だ。感情を少なからず移入して、自転車と向き合う人も少なくない。だから、いろいな思い出を共有した自転車がオシャカになった時は、最愛のペットが死んだ時のように実は悲しい・・・・
 
 かくのたまう僕もそのクチで、特にクロモリフレームに対する思い入れは、カーボンフレームのそれよりも強いと思う。時間を共有する相方(彼女)として、クロモリのバイクに接しているような気がする。一方、カーボンバイクも好きで乗る(特にトライアスロン)けれど、クロモリバイクほど、彼女に対して愛しい気持ちになっていない。いわばloveとlikeの違いかもしれない。例えば、トライアスロンのレース中は僕の未熟さうえかもしれないが、五感に感じる情景に感動して味わう余裕がない。一方サイクリング(クロモリロード)中は、五感で感じたことを愛車に話しかけてる(つぶやいている)自分がいる。特に一人旅の場合は・・・・
 
 つらつら考えるに、レースの制限時間を如何に早くクリアする為の道具としての存在だからかな?と思っている。”好きな道具”であって、”愛おしい彼女”とは思っていないのだ。
 すばらしい情景に出会ったとき、”息をのむ”という言葉のとおり人は無言になり、そしてそれを誰かに伝えたいと思う。そんな時はずっと一緒に走る”彼女”に話しかけてきた。そして、”彼女”もその景色に感動していると感じてきた・・・・・



 様々なアクシデントでその彼女たる自転車が、オシャカになってしまうことがある。でも、いろいろな思い出が詰まった”彼女”ならば蘇らせたいと思うのは、自然な感情だ。
すべての人がそんな感情にはならないと思うけれど、大別するとたぶん3つのパターンだろう。

①オシャカになって、次のバイクが買える!とすぐ切り替えができるタイプ
②オシャカになって、蘇らせる予算と新しい自転車のコストのバランスを考えて、再生を諦めるタイプ。中には壊れたその自転車をなかなか捨てられない人も多いだろう。すごくシンパシーを感じる行動だ・・・・
③オシャカになっても、費用には糸目をつけず、なんとか蘇らせて再生させたいと思うタイプ

 それぞれの人に、いろいろな思いや考え方が有るので、どれも正解だと思う。①や②の皆さんは業界発展維持の為には有難い存在でもある。本来ならば、私も業界人の端くれなので①と②の皆さんを歓迎すると思われがちだが、その昔アクシデントに見舞われ自転車をダメにしたお客様から、「また1台売れますね、うれしいでしょう!?」と言われたときに、気の毒にはおもったけれど、嬉しくはなかったし、正直不愉快だった......
 それはたぶん、その自転車が可哀想だと思った僕の感覚がそんな思いにさせたのかもしれない。交通事故で死んだペットを悲しんでいる本人が、悲しみにまぎれてペットショップに当たり散らすようなものだったのだろうと理解している。だから、きっとそのお客様もそれだけ彼女を愛していたということだ......
 加えて、僕自身がデザインした自転車(Calamita)、輸入にかかわった自転車(Tommasini,Casati,QueenK)は出荷するときは、たぶん父親が娘を嫁に出す感情に似ているかもしれない。荒川サイクリングロード等で、素晴らしい旦那?(お客様)と一緒に楽しくサイクリングしている娘(自転車)を発見した時は、とても幸せな気分だ。だから、娘(自転車)がオシャカになって嬉しい親なんてふつうはいないと思うのだ。
 作り手側の僕自身が、壊れた自転車を再生させたい、お客様もそれを希望するならば、それを実現したいと思う。実はマトモなクロモリバイクならば、かなりの確率で再生して蘇らせることはできる。ただし、購入したコスト以上にかかるかもしれないが、でも沢山の思い出を共有した彼女(自転車)とまた一緒に走ることができるし、これからの思い出を作り続けていくこともできるのだ。アトリエキノピオの安田マサテル氏、マッキサイクルズの植田真貴氏の協力を得て、Calamitaを復活させた経緯を記しておくことにする。

つづく

クロモリロードでダート(グラベル)走る

2020-03-06 19:20:00 | スチールバイク
 ダート(林道)サイクリングして、凄くドキドキする楽しさってあるよね(最近はグラベルっていうけど、ダートって言い方の方がなじんでいるので、ダートって書きます)

 オンロードも、もちろん楽しいのだけれど、それとはまた別のプラスαの味わい!!荒れた路面を見ながら、自分が思い描いたとおりに走れた時はある種の快感があるんですよね。

 うまくいくか?いかないか?曲がれるか?曲がれないか?スリップするか?しないか?上れるのか?上れないのか?こんな勢いで下って大丈夫!?ヤバイ!?ヤバクない??
舗装路面とは違った、集中力が要求されて気が抜けないからこそ楽しい

元々は、ペダルを漕ぐのが嫌いでMTBのDH派だったので、そのような楽しみがあることはなんとなく知っていたのだけれど・・・

 昨年、自分のトマジーニでエロイカに出て、改めてそれを再発見。さらにクロモリロードならば、別にタイヤを変えるだけで、林道レベルのダートならば十分走れることを再認識。

 よくよく考えてみりゃ昔のロードレースってほとんどダートじゃんね(笑) そりゃ、MTBに比べれば、多少の走りにくさはあるけれど・・・・実はそれがまた楽しい事を発見!それに、アプローチでの舗装路面での走行も快適だし、本当にマルチパーパスなクロモリロードバイク!
そんな中、唯一不安だったのが、タイヤ大丈夫か?

四万温泉から草津にぬける万沢林道をけっこうな勢いで走ってみて、ビックリしました・・・サイドカットなんで無縁ですし、頑丈でしたこのタイヤ、なによりもサイドがアメ色で細身のラグフレームに良く似合います。私は26Cの太さでしたが、マッドコンディションでなければこれで充分!基本的にマッドコンデションは愛車のトマちゃんが汚れるので避けます(笑)

 あ、こんなこと書くとグラベルロードのカテゴリのバイクが売れなくなるから、業界マフィアに命を狙われるかもしれない・・・・
【PR】この自転車もクロモリグラベルロードのジャンルに入れてもいいかもしれない
カラミータCXOLIVE良いフレームですよ。特別価格で販売ちう


カーボンの場合は、直角の衝撃に弱いし、落車時のダメージや飛び石のリスク等を考えると個人的にはどうかと思う。アルミはMTBだったら良いと思うけどロードでは・・・・


なかなか身近に、楽しくてそこそこの長さのダートが無いことが課題ですよね~~~

でも、埼玉には短いですが比企丘陵にもこんなステキなダートがあったのです。探せばあるのだな・・・・とマップを見ていたら、2?年以上前に行ったことのある、狭山湖の外周の一部が未だにダートであることを発見。
さらに、あれ、多摩湖と狭山湖って新河岸川の上流だったんだてことも発見!

狭山湖の当時のダートの経験は、正直良い思い出とは言えない、MC(モーターサイクル)から自転車に乗り始めたばっかりのころで、軽いギアでくるくる回す事も知らず、トライアスロンのカワユイエリートの女子にブチぎられ、
「神田さんて、カワイイ・・・!」
と上から目線発言で舐められ、カチンと来た記憶がいまでも・・・・
あ、今は舐められるのスキです・・・・・(笑)

 ABCキュービックから、荒川・新河岸川・柳瀬川をたどり、柳瀬川にも数か所楽しめるダート発見!そして空堀川(う~~ん、ここのストップ&Goは・・・)を経て多摩サイクリングロード?を経て多摩湖そして、狭山湖の外周のダートへ突入!

過去のつらい思い出を払拭するには、十分楽しめました。考えてみれば、当時は現在よりも体重が約10kg多かったのですから、苦しいのは当たり前ですね。



ステキな、夕日を眺めて、恒例の宴会を経て『午後から輪行グラベル編』は終了。

どうです、クロモリロードの多様な楽しみが出来て良いでしょう?
もちろん、カラミータDUE+でも楽しめますよ!


<スチールバイクはなんで乗り心地がいいのか?>その5

2018-02-09 19:49:00 | スチールバイク
 スチールの話のはずなのに、いわゆるカーボン(CFRP)の話になってしまったけれど、これを知っているからこそ、スチールの良さがわかるのだ・・・

 CFRPの開発コストは、その金型代金が大きな比重を占める。CFRPと自転車の力学を理解し、かつ3DCADが扱え、空力と力学を理解しているエンジニアに設計してもらわなければならない。そういえば、かつて最後の元祖Kestrelの社長だったケビン(ロッキード社出身の技術者で、ミサイルのフィンの設計もやっていたらしい)に、空力特性の良いバイクっていくけど、具体的な例をあげるとどうなの?と質問したことがある。
 彼は、『小指を立てているか、立てていないか程度の差だよ』と言ってのけた・・・・なんてこったい!?なんだ、たったそれぽっちか!期待外れの顔をしているオイラに向かって、続けてこう言った『でも、理論上は同じ条件で180km自転車で走った後に、その空気抵抗のせいで1km~1.5kmの距離差がついている可能性がある・・・・』
「えっ!?」これは、ランのスタート時点で4分前後から人によっては、6分くらいのアドバンテージを得ていることになる。デカい違いだ・・・・

 話を元に戻そう、CFRPフレームは、材料代よりも金型とデザイン費用の投資が大きな比重を占めている。モノコックフレームの製造方法には2種類あって、Kestrelのように内部に風船を入れて熱硬化させる生産方法(中国生産ではこれが主流)とCat cheetahのようにオートクレープの釜で真空引きする方法がある。前者は、オートクレープの設備投資をする必要がないので、莫大な設備投資が要らない。が、金型は少々複雑になる。ちょっと前までは、オイルヒーティングで金型を温め熱硬化させていたので、金型は複雑になるし、金型が冷めるまで時間がかかるし・・・・生産効率がすごく悪くて、単価を上げざるを得ない状況だった。しかし、今日では高温スチームで金型を温めて、かつその通路に冷水を入れて冷やすので、効率は飛躍的に向上したらしい。また金型コストはかつての10分の1くらいに大幅に下がった。昨今カーボンの値段が、下がってきたのはそんな背景もある。
 オートクレープ製法は真空釜を用意しなければいけないので、その設備投資がかなりの高額だ。金型費用はバルーンを使うものよりも多少は割安だが、いずれの場合もCFRPのモノコックフレームを作成するのは金型コストやデザインコストをどう償却するかが、良好な収益を得るポイントになるのだ。
 収益性というポイントでは、金型は同一のものを使用しカーボン材料の変更だけで、商品バリエーションを増やす方法が、製造コストを下げる早道だ。東レの高弾性カーボンのプリプレグ(カーボンに熱硬化性のエポキシを含ませたクロス)をつかったものは、800g台でフレームができる。同じ金型で安い中国製の材料を使えば、1100g~1200g程度の少し重いフレームが出来る。軽い方をエキスパート用で、材料のコストを落とした少し重い方を、エントリーレベルとして販売すれば、コストは大幅に下げることが可能だ。しかも、形というかデザインも同じで、トップ選手と同じデザインのフレームは、ユーザー訴求力も高い。
 トップ選手向きに設計されたフレームデザインは、材料を変えれば、エントリーユーザーにとって扱いやすいものになるのだろうか?特にオイラのようなポンコツエンジンに向いたシャシーになるのだろうか?残念ながら、人間がペダリングする程度のパワーでは、カーボン材料の弾性率の違いが走りに影響あたえることはまず無いらしい。材料を変えてもトップ選手向きのデザインのCFRPフレームの特性はほとんど同じで、違いは300~400gの重さの違いだけなのだ。ロードレース用のCFRPフレームならば高速域での瞬発力は良いが、常用速度の中ではさほどアルミと変わらない固いフィーリングになってしまう。だからNGという訳ではない。実際トップモデルに比べてわずかに重たいCFRPフレームは、これからガシガシ走る事を目指す若者には最高のフレームだし、それに良いエンジンを持ったメディアのテストライダー等には好感度は高く、因って評価も良くなる。だが、乗る目的とエンジン性能によっては、このようなレプリカモデルは疲れるし、相応しくない場合もあるということだ。その結果、巷にはオイラにとっては、乗りにくいバイクが溢れることになる・・・・
その4でも書いたように、『 このポンコツエンジンに相応しいCFRPフレームが出来ないのか?答えは《YES!》可能である!CFRPフレームのパイオニア達が言っていたように、それが出来るのがCFRP、俗にいうカーボンフレームバイクの素晴らしいところなのだが、しかし・・・・・』
実はそれが出来ない理由がある・・・・・だからなんだけれど・・・・
つづく・・・