きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

デニス・レヘインの探偵ものが映画化してたのを最近知って慌てて観た

2017-05-22 14:44:06 | 書評
 現代のアメリカで、ギリギリ不自然でないハードボイルド。
愛しき者はすべて去りゆく(Gone, Baby, Gone)が映画化されていたことを知り、楽しみにウキウキDVDを見てみたら、配役が学芸会のようで悲しかった。
パトリックは、センスの良いアンジーがそばにいてくれるから、荒んだ世界でもやっていけるんだろうなと思ってた。
本では、アンジーはオリーブ色の肌って書いてあったから(え?緑?)、見た目はきっと歌手のアリーヤみたいな、ちょっとエキゾチックな魅力のある芯の通った女の人だろうと、勝手に想像していた。
 
実際は・・・
 
まず、主人公の探偵パトリック・ケンジ―:
きっとニヒルなジム・キャリーみたいな飄々とした人物なのだろうと思ってたら、出てきた役者は大学生かと思うくらい頼りなくて、この人が路地裏の闇を知っているようにはとても見えなかった。
 
相棒の探偵アンジー:
生活につかれたような30代のアメリカ白人女性。
 
そして、主人公の友人で武器商人のブッバ・ロゴウスキー:
迫力がぜんぜん足りない。ハリーポッターのハグリッドのような人だと思ってたのに!
その内山くんブッバが、バーに入って行く姿は危なっかしくてしょうがない。
  
 
原作の邦題はどれもカッコ良すぎるが、最終話のムーンライト・マイルだけは、そのままの題名になってる。
「月が照らす道」か、「月に照らされて」、もしくは「闇に生きる」というのはどうかと思ったら、他の作品の題(Live by Night)で「夜に生きる」という言葉は使われていた。
結局、暗黒世界を生きているんだね。
 
Darkness, Take my Hand(闇よ、わが手を取りたまえ)
黒魔術みたいでちょっとキザっぽいけど、原題がそうなのだから仕方がない。
A Drink Before the War(スコッチに涙を託して)
これがウォッカでは切実なアル中だ。「戦の前のこの一杯!」では傭兵みたいだし。とにかくすばらしい意訳。
Sacred(穢れしものに祝福を)神聖な、としか言ってないところに最初に穢れを持ってきてそれを祝福したら、最終的には聖なるものになりそうで、なるほどなぁと感心した。
 
これでモーガン・フリーマンが出ていなければ、ホントに自主製作みたいだと思う。
ストーリーは面白い。アンジーが飛び込む場面は何度見ても好きだ。
だからパトリックは、アンジーとずっと一緒に居るのだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
« 新緑のさわやかな季節にドグ... | トップ | 津和野にてセミを生き返らせ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

書評」カテゴリの最新記事