認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

認知症の地域予防活動と展開上の基本的な骨格ーその3 QA Room(A-57)

2012-08-30 | アルツハイマー型認知症の予防活動

Q:市町村の保健師が地域住民と協働して実施する「アルツハイマー型認知症」の「地域予防」活動を展開する上での基本的なイメージと言うか、「骨格」となる内容及び展開上の留意点について、できるだけ具体的に説明して欲しいのですが。

        

A:エイジングライフ研究所は、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能を「神経心理機能テスト」を使って調べ総合的に判定する「二段階方式」という手技を開発して「マニュアル」化しています。「脳の機能レベル」(A)とそのアウトプットである「症状」(B)と現在の機能レベルをもたらした脳の使い方としての「生活歴」(C)等を詳細に調べ聞き取り、規定された「判断基準」に従って総合的に判定するのです。1995年の活動開始以来、市町村の保健師さん達による行政活動としての「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を提唱すると共に「認知症予防講演会」及び「二段階方式」の「実務研修会」を実施して、「地域予防活動」を展開拡大するための指導を450を超える市町村で行ってきました。(その詳しい内容については、ブログの末尾にある「エイジングライフ研究所」をクリックしてください)。

       

市町村の「保健師」さん達(地域包括支援センター、在宅介護支援センターを含む)が主体となり、地域と共同して実施する「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の骨格と展開上の留意点の概要は、次のようになります。

●  精神科医は、DSM-4の基準に依拠して診断を行う為に、回復が困難な「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階でしか見つけることができません。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、「原因不明で治らない病気」とされてしまい、その「誤った情報」が全国津々浦々、地域の隅々にまで行き渡り、住民の頭と心に浸み込んでしまっているのです。誤ったその固定概念を変えさせ、「地域予防活動」を展開していくに際して、地域住民を対象とした(認知症は防げる治せる)と題する「アルツハイマー型認知症予防講演会」による啓蒙が不可欠となります;

● 更に、市町村が「早期診断の窓口」を常設して、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が期待できる「中ボケ」)を見つけて、正常レベルに「回復」させて見せることが重要なのです。「右脳」の活用を柱とした自分なりの「目標」(メニュー)の達成による「前頭葉」の活性化により、脳の使い方としての「生活習慣」の改善を指導して、「正常」レベルに回復させてみせることが、住民全体の考えと意識とを替えることができる極めて有効で有益な施策となるのです;(ここを「クリック」してください

       

● 「地域予防教室」の対象となるタイプの認知症は、生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」のみとし、それ以外のタイプの認知症は専門の医師の手に委ねることを対外的にも対内的にも明確にしておきます;「地域予防教室」は、「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とする活動であることを明確に活動目的として掲げ、参加者が自分なりに「脳の活性化」を体験できる場とするのです(ここをクリックしてください);

● 展開の順番は、地域のカクシャク老人やボランティアの組織が、手を挙げて、「地域予防活動」を自分たちの地域でやりたいとの「意志と情熱」を示す所から優先して実施することが重要です(手が積極的に上がらない地域は、後回しにすることが大切なのです;ここで、「公平」を優先していたのでは、何時まで経っても動き出さないのです);

● 公民館或いは集会所が存在するくらいの「小単位」の各地域毎に、30~40人を単位とした「小集団」ベースによる「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とした「脳イキイキ教室」を運営していきます。

       

●  「地域予防教室」は、「前頭葉」を柱とする脳の機能をいつまでも正常レベルに保つことを主目的とする全く新しいタイプの活動であり、既存の活動組織を「地域予防教室」にそのまま組み替えることはしません(既存組織のいろいろな制約が活動の障害になることが多いのです)。

●  第二の人生での出番が最も多い「右脳」の活用による「前頭葉」の活性化を図り、「右脳」を中心としたメニューの実行(目的の達成)により、集団の中での「趣味」や「遊び」や「人付き合い」や「運動」を楽しむ体験をさせ、「右脳を重視」した「生活習慣」の構築とその達成の重要性に目覚めさせるのです。右脳の活用を中心とした自分なりの「目的」(メニュー)を達成する生活により、達成感や喜びや生き甲斐が得られる「生活習慣」が、「前頭葉」を活性化させ脳全体の若さを保つのに極めて有効であるることを「地域予防教室」で実体験させるのです。「前頭葉」の働きを活性化させ「正常」レベルに保ち続けるには、右脳の活用」を中心とした「目的」(メニュー)がある「生活習慣」を維持することが重要で不可欠であることを「地域予防教室」での体験を通して理解させるのです(ここをクリック);

       

● 「地域予防教室」の運営に係る保健師さん達は、「二段階方式」に基づく「脳の機能」レベルの判定及びその経時変化による(改善、維持又は悪化)の評価並びに評価結果に基づく「生活改善」の指導をする役割を担うのです;

● 「地域予防教室」の運営は、最初の半年間(状況により1年間)のみ保健師さんがメニューの作成を含む運営全般に関与するが、それ以降は「地域ボランティア」による「自主運営」を基本とします。自主活動の体制下では、、保健師さんは脳の機能のレベルの判定評価と生活改善指導だけを担うことになります。(保健師さんが全てを取り仕切っていたのでは、人的な制約から、対象地域を「全域」に拡大していくのが難しくなるからです);

       

次に重要なのは、「地域予防教室」に参加するメンバー構成は、「脳の機能レベル」を唯一の判定基準として決めることが不可欠だと言うことです。 「地域予防教室」に参加するお年寄りは、脳の機能レベルが正常レベルの人を対象とすることを「基本」とすることが重要です(但し、「軽度認知症」までは、一定の人数割合以下に抑えるもとで、可とします)

○  「社会生活」をそれなりにこなせている、正常レベルの普通のお年寄り達が、大多数を占めることになります;

○  次いで、趣味や遊びや人付き合いを生き生きと楽しんでいる、かくしゃく老人が占めます;

○  最後に、社会生活に支障が出てきた「軽度認知症」(小ボケ)レベルの人が少人数ながら一角を占めます(重要なことは、「小ボケ」レベルの人たちの全体に占める割合が、25~30%以下に抑えることです。この割合より大きくなると、自主運営が難しくなるのです);

       

○ 「中等度認知症」(中ボケ)レベルの人も「重度認知症」(大ボケ)レベルの人も、「予防教室」に入れてはいけないのです;

○ 「軽度認知症」(小ボケ)は、「地域予防教室」に継続的に参加して日常生活での「生活習慣」を自分なりに改善していく中で、脳の機能が正常レベルに回復していきますが、「地域予防教室」の主たる目的は治すことではなくて予防」することにあることを忘れないでください。現実的には僅かな人数の体制下で、「アルツハイマー型認知症」の「地域予防教室」を展開していくことが求められるのです。認知症を予防」することが活動の主たる目的となる点に十分配慮することが必要なのです。最初の立ち上がりは小さな一地区からであっても、最終的には全ての地区で「地域予防教室」が展開されることが重要だからです;

● 「中等度認知症」(中ボケ)のレベルになると、集団の中での活動についていくこと自体に困難が生じてきます(「中等度認知症」のレベルになると、その機能レベルに見合った「特別の個別のメニュー」を(家族の協力の下に)実行しないと、脳の活性化の効果が出てくるのが難しくなってきて、脳の機能が向上してこなくなるのです。その上、脳の機能レベルが低い分、係わるスタッフの人数も余分の人数が必要になるのです);

● 「重度認知症」(大ボケ)のレベルになると、脳の機能レベルの改善は困難となり、「大ボケ」レベルの中で更に症状が進行していくことになります。「大ボケ」レベルのなかでの更なる症状の進行(悪化)をくい止め或いは、少しでも遅らせるることを目的とした、「個別のメニュー」が必要となり、日常生活面でのセルフケアの介助を基礎とした対応が殆どとなるので、この段階にまで脳の機能が衰えてくると、「施設」での対応が不可欠となります;

       

「かくしゃく」老人は、かくしゃくなレベルのままに、「正常」老人は正常なレベルのままに脳の機能レベルを保ち、「軽度認知症」(小ボケ)は正常レベルに脳(前頭葉)の機能レベルを向上させることが、「認知症予防教室」運営の第一の目標になることを忘れないでください(「中ボケ」以降になると、高次機能である「左脳」と「右脳」とが異常なレベルに衰えているのですが、「小ボケ」では高次機能は正常レベルにあって「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えているので、「前頭葉」を正常レベルに引き戻してやるだけで良いのです)。繰り返して注意を喚起しておきますが、「予防」こそが、第一義的に重要なテーマであることを肝に銘じておいていただきたいのです;

○ 「地域予防教室」の対象者に「中等度認知症」(中ボケ)レベルのお年寄りと「重度認知症」(大ボケ)レベルのお年寄りが含まれないということは、運営の手間(人手と時間とコスト)が少なくてすむことを意味します。「中ボケ」レベルのお年寄りは家族が主体となり、「大ボケ」(レベルのお年寄りは、施設が中心となって、「回復よりは、更なる症状の進行を抑制することを主たる目的とする」のが現実的といえるのです;

       

(コーヒー・ブレイク ーその1)認知症のお年寄りを抱えた家族の困難で悲惨な状態を日ごろ目にしている保健師さんは、どうしても「中ボケ」や「大ボケ」の介護に目がいき勝ちなのです。「中ボケ」及び「大ボケ」レベルのお年寄りの介助或いは介護自体は、「地域予防教室」ではなくて、家族或いは、施設が主体となって行われるしかないということを理解し納得しておくことが重要です。「予防」に徹底して対策を構築し実行する(蛇口を閉める)のでない限り(介護対策ばかりに目が行っていたのでは)、認知症問題(「アルツハイマー型」認知症が90%以上を占めています)の解決策はないということを理解し、覚悟を決めて、「予防対策」に取り組んでいただきたいのです。

        

(コーヒー・ブレイクーその2) 「重度認知症」(大ボケ)のレベルのお年よりは、脳の機能レベルの改善の可能性(改善の可能性はなく、更なる症状の進行を緩やかにすることしか期待できない)という視点から見ても、介護内容の充実度の質的及び量的な要求性(家族による介護を期待することは、家族自身の生活の崩壊を招くことにつながる)の視点から見ても、これこそが「介護保険制度」で手厚く対応していくより方法はないと、市町村におけるこれまでの体験に照らして、私たちは考えています(ここをクリックしてください)。

 注)本著作物(このブログA-57に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

     エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  

 

 

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