認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の治療ー中ボケからの回復(A-86)

2013-05-21 | アルツハイマー型認知症の治療方法

○  「アルツハイマー型認知症」の発病と「前頭葉」の機能レベルとの関係                                                                                                                                                    60歳を超える年齢で、足元がおぼつかない高齢のお年寄りが、雨が降り滑りやすくなった玄関先で、何かの弾みに滑って転んで、複雑骨折をして、何カ月間か病院のベッドに伏せったままでいると、二つの問題を抱えることになります。1つは「身体」の問題であって、長らく使われないままにされている脚の筋肉が廃用性の委縮を起こしてきて、歩行が困難になるのです。他の1つは「脳」の問題であって、「単調な生活」が日々継続する生活環境下のため出番が極端に少ないままでいる「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて、認知症の症状(「小ボケ」の症状)が出てくることがよくあるのです。実はこれこそが、「アルツハイマー型認知症」発症の1つの典型的なケースなのです。

「老人斑」ができたせいでも、「神経原線維変化」が起きてきたせいでもないのです。転んで、複雑骨折したことが「キッカケ」となって、何か月も病院のベッドに伏せったままで、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、あのナイナイ尽くしの「単調な生活」、言い換えると「前頭葉」の出番が極端に少ない日々が続くだけの「単調な生活」が継続したせいで、「前頭葉」が老化を加速させ、機能が異常なレベルに衰えてきたことが直接の原因なのです(「廃用性の加速度的な脳機能の低下」による、「アルツハイマー型認知症」の発病なのです)。

○ 「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の改訂

世界で最も権威があるとされる米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定では、「記憶の障害」が「アルツハイマー型認知症」診断の最も重要な要件(第一の要件)とされてきたのです。それを前提にして、「失語」や「失行」や「失認」などの「重い症状」(私達の区分で言う「重度認知症」でも後半にならないと現れてくることがない極めて重い症状が認められることが(第二の要件)とされてきたのです。

ところが、この二つの要件を充足すると、「社会生活」面や「家庭生活」面といったレベルにおける支障というような程度をはるかに通り越して、「セルフケア」の面にも支障が出て来るレベルになるので、日常生活面での「介助」が不可欠になるのです。このブログで何度も問題を提起してきたように、この段階で見つけていたのでは、治すことは(「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させることは)、困難になるのです。正常なレベルに脳の機能を回復させることが困難な末期の段階に特有な症状を基準にして、「アルツハイマー型認知症」を診断することにどれほどの意味があるのかと言いたいのです。治すことを放棄してしまっているのではないかと疑わざるを得ないのです。近々公開される予定の 「DSM-4」の改訂版である「DSMー5」では、この点がどのように改善されることになるのか、それとも改悪されるのか、早くその内容を知りたいと思うのですが。

○ 「アルツハイマー型認知症」の本質は、実は「記憶の障害」の問題ではないのです。その診断基準である「DSM-4」の規定を作成した人達が、末期の段階の「重度認知症」の段階にあった人達の「脳の解剖所見」に引きづられて、「重い症状」ばかりに目がいっていることに問題があるのです。単に誤解して、原因ではなくて結果に引きづられているだけなのです。脳機能データの解析による私達の考え方に基づいて、この点をもう少し詳しく、説明しておきましょう。

「前頭葉の諸機能」の障害すなわち、色々な認知機能を発揮する上での基礎となる三本柱の意欲、注意集中力及び注意分配力」の機能の障害並びに理解、考察、発想、企画、計画、観察、分析、洞察、推理、予見、シミュレーション、工夫、機転、抑制、忍耐、興味、創造、感動及び判断等の機能の障害、更にそれらに加えて最終的な実行内容を選択する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価機能の障害という「各種の前頭葉機能の障害」を基礎として、左脳、右脳及び運動の脳との協同関係による脳全体の機能レベル(機能障害の異常なレベル)のアウトプット自体が「アルツハイマー型認知症の症状」として発現してくることに気づいていないことが最大の問題なのです。「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベル自体が認知症の症状として直接発現してくるのが特徴なのです。従って、(「前頭葉」を含むどの脳の機能が異常なレベルに衰えると、どのレベルの認知症の症状が発現してくることになるのかという一定の診断基準を持たないと、正しい診断をすることもできないし、回復させることが可能な早期の段階を見つけることもできないのです。

ところで、「前頭葉」を含む脳の機能レベルそれ自体が、認知症の症状として発現してくる「アルツハイマー型認知症」は、三段階に区分される「脳の機能レベル」に対応する三段階に区分される「認知症の症状」が、段階的に発現してくるのです。このことが、認知症の専門家とされる人達に未だに認識されていない(理解されていない)と言うしかないのです。 「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の機能だけが最初に異常なレベルに衰えてくるのが特徴なのです(「軽度認知症」の段階:この段階では、左脳も右脳も未だ正常な機能レベル)。そのため最初の「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「セルフケア」や「家庭生活」の面では何らの支障も起きてこなくて、「社会生活」の面だけ種々の支障が起きてくるようになります。

次いで、「左脳と右脳」も異常なレベルに入ってくる「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「家庭生活」の面にも支障が起きてくるようになります。そして、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけでなくて、左脳も右脳も運動の脳までもが極めて低いレベルでしか機能できなくなってくる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、「セルフケア」の面にも支障が起きてきて、日常生活に「介助」が要るようになるのです。こうした脳の機能レベルの低下に対応して、段階的に次第に重い症状が出てくるようになるのです。ここで皆さんに注意を喚起しておきたい大事なことがあります。それは、脳の機能レベルをどんどん低下させて行っている犯人は、一部の学者が主張しているような、アミロイド・ベータでもタウ・タンパクでもないということなのです。「脳を使おうとしない生活」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という「生活習慣」こそが、真犯人なのです。

このブログで何度も指摘してきたように、最初の段階、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきて、「左脳も右脳も運動の脳」もその働きが未だ正常なレベルにある段階で発現してくる「症状」は、不活発病と揶揄されるようなものではなくて、「アルツハイマー型認知症」の」症状そのものなのです。回復が困難な「末期の段階」ばかりに焦点が当てられていて、「脳リハビリ」による回復が可能な「早期の段階」である「軽度認知症」(小ボケ)或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階は、「不活発病」とか、「老化現象」とか、「軽度認知障害」等の名前で呼ばれて、何等の注意の喚起も対策も施されないで放置されたままでいるのが現状なのです。放置されたままの状態で「軽度認知症」(小ボケ)の段階が3年も続くと、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうのです。「単調な生活」が継続している下で、脳全体の加速度的な機能低下が更に進行していくことが原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルと対応する症状とを区分して観察していれば容易に理解されるように、この「中ボケ」の段階では、「DSM-4」が第二の要件で取り上げているような、「失語や失行や失認」などの重い症状は未だ現れてこないのです。「軽度認知症」(小ボケ)の段階なら回復が容易なのに、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうと、回復は未だ可能なのですが、周りの家族を巻き込んでの「脳リハビリ」の為の大変な対応が要求されることになるのです。この段階さえも「老化現象だ」等と見誤って放置し、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が更に2~3年間継続していくと、「中等度認知症」(中ボケ)レベルに回復させることさえもが困難になる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうことになるのです。「DSM-4」の規定に依拠して診断を行う限り、末期の段階である「重度認知症」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることができないのです。このことに「米国精神医学会」でさえ気づいていないのです。

「重度の記憶障害」の症状が出ていて、且つ「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階に初めて見られる症状が出てくる「重度認知症」(大ボケ)の後半の段階になって「アルツハイマー型認知症」と診断していたのでは(それが、DSMー4」の診断基準なのですが)、見つけるのが「遅すぎる」ことになってしまうのです。この段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない」病気にされてしまうだけなのです。

ところで、アミロイドベータ仮説やタウ蛋白仮説の考えを信望する人達が開発を目指している「アルツハイマー型認知症」の「治療薬」とは、異常なレベルに機能が衰えている「前頭葉」を含む脳の機能レベルを、飲むだけで(或いは、貼るだけで)、正常なレベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。 意識的な思考や行為或いは言動をコントロールしている、脳全体の司令塔である前頭葉」の機能を含む脳全体の働き方のメカニズムから考えたとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられないのです(あり得ないと私達は考えるのです)。

飲むだけで(貼るだけで)正常なレベルに脳の機能を回復させることがあたかも可能であるかのような「新薬開発」の言葉がマスコミの記事で踊る度に、市町村による「予防」活動への取り組みが遠のいていくことになるのです。日本全体での高齢化率が30%を超えた時、取り返しのつかない状態がくるのです。予防は、啓蒙活動だけでは足りないのです。市町村による(保健課や地域包括支援センター等)早期診断の窓口の常設と小規模単位集落ごとでの「地域予防活動」の密な実践とが不可欠になるからです。

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、「前頭葉」を含む脳が「廃用性の機能低下」により、働きが異常なレベルに加速度的に衰えてくる結果として、認知症の「症状」が発現してくる(脳の機能レベルのアウトプットが症状)ということなのです。従って、「アルツハイマー型認知症」を治療する方法とは、脳の使い方としての「生活習慣」の改善によって、異常なレベルに衰えた脳の働きを正常なレベルに引き戻すこと、それしか他に方法はないのです。日常生活の様々な場面で「前頭葉」を含む脳全体を活性化させてやること、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」、或いは「社会活動」等を自分なりのやり方で楽しむ生き方を「生活習慣」化すること、自分なりの目標生き甲斐がある生活を日々送ることが唯一無二の治療法となるのです。意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能が活性化されるような「テーマ」の実行、「前頭葉」の出番を増やしてやる(しっかり使ってやる)「テーマ」の実行を生活習慣化することしか他に方法はないと言うのが、脳の機能データと実践に裏付けられた私達の結論なのです。

但し、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてしまった時は、「前頭葉」の機能自体が殆ど働かなくなってきているので、本人が状況を理解することができない上に、脳を使おうとする意欲さえ全く出てこなくなるので(その先はできなくなる)、正常なレベルは愚か、「小ボケ」や「中ボケ」のレベルに回復させることさえも、もはや期待できなくなってしまうのです。

○ それでは、今日の主題である「中ボケからの回復」の方法について、その要点を説明することにしましょう。

世間では「アルツハイマー型認知症」の原因が分からないでいるせいか、症状を段階的に区分することさえもしていません。「社会生活」面での支障と「家庭生活」面での支障と「セルフケア」面での支障とでは、支障のレベルも態様も次元が異なるレベルの差異があるにも拘わらず、同列にしか考えていないというか、「十把一絡げ」の扱い方しかしていないのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルが直接「認知症」の症状として現れてくるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴であると考えている私達は、3つの段階に区分される脳の機能レベルに応じて、症状も、「軽度認知症」(小ボケ)の症状、「中等度認知症」(中ボケ)の症状及び「重度認知症」(大ボケ)の症状の3つの段階に区分しています。今回のこのブログでは、「中等度認知症」(中ボケ)からの回復について説明します。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症(小ボケ)の段階を「不活発病」などと誤解して、「前頭葉」機能の活性化による機能の回復を図るための何らかの対策を施すこともなく、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままで居ると、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入っていくことになります。この場合、脳の使い方としての「生活状況」が人それぞれなので、それなりの差異は有るのですが、通常のケースでは「軽度認知症」(小ボケ)の期間は大体3年間続きます。

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体」の働き具合が異常なレベルになってくるのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてくる、それが「中ボケ」の段階なのです。脳全体の働き具合が異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」相当のレベルと考えると、実態によく合致します。

自分が置かれている状況の判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「4~6歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。「中等度認知症」(中ボケ)のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のことさえもちゃんとできないのに、口先だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。家族、特に同居していない家族は、口先にごまかされないよう、中身をしっかりと見極めていただきたいのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、情報の認知度を左右する三本柱の機能である「意欲、注意集中力と注意分配力」の働き具合が、「軽度認知症」(小ボケ)のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなってしまうのです。「左脳」がらみの論理的思考や計算や言葉に対する理解、或いは「右脳」がらみの色や形や時間や空間などに対する認知、更には自分が置かれている状況の判断等にも、家庭生活を送る上でトラブルが起きてくる程の支障が出てくるのです。

状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」面に支障やトラブルが起きてくるようになります。但し、「中等度認知症」の段階では、「家庭生活」面に支障が出てくるとは言え、衣服の着脱、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(所謂、「セルフケア」)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。そのため家族も、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えもせず、「年のせい」くらいにしか考えないで、悠長に構えているのが普通なのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、「家庭内の簡単な用事」程度のこともちゃんとできなくなります(「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです)。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「DSM-4」が「第二の要件」に掲げている失語や失行や失認等の「重度の症状」及び第一の要件に掲げている「重度の記憶障害」の症状は発現してこないので、家族がせっかく病院に連れて行っても、「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。

「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、未だ自覚が持てます。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし、どうかしたのだろうか・・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じてもいるのです。ところが、「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。

自分の状態(軽いとはいえ、れっきとした「認知症」の症状なのですが、、、)に対する自覚がもてないので、不安も全くと言っていい程に感じていないのです(脳の機能レベルの更なる低下が原因で、感じることがもうできないのです)。逆に、家族が、「こんなところが、こんなふうにおかしい」と指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張るのです。その上、自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが「中ボケ」の特徴なのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて(そもそも、本人には自覚がないのですが、家族を含む周りの人達にも状況が理解されていなくて)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままでいると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいき、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていくことになるのです。

前回のこのブログでは、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の症状が出てきているお年寄りの症状を治す(前頭葉の働きを正常なレベルに引き戻す)方法と留意点について説明しました。異常なレベルに機能が衰えた「前頭葉」の働き具合を正常なレベルに回復させるには、「前頭葉」の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが必要不可欠、唯一無二の方法だと言いました。

やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような、趣味や遊びや人づきあいを楽しむ生活(「右脳」の活性化を目的とした生活)とその仕方を工夫するのが大切だと言いました。脳の活性化が異常なレベルに衰えた脳の機能を正常なレベルに回復させる(認知症を治す)唯一の方法という点では、「軽度認知症」(小ボケ)も「中等度認知症」(中ボケ)も基本的には同じなのです。但し、両者の脳の機能レベルが異なる段階にあるので(小ボケ」では、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであったものが、「中ボケ」になると左脳も右脳も異常なレベルに機能が衰えてくるので)、「中ボケ」の段階になると、自分にどこかおかしなところがあるという認識がもてなくなってしまうのです。そのため、「中ボケ」のレベルにある本人の脳を活性化するための「テーマ」の選択や実行の程度や態様或いは実行する上での様々な工夫について、周りが留意すべき点が多くなり並びに家族が周りから本人を支えるべき手間や程度や態様が一段と要求されることになってくるということなのです。

○  「中ボケ」の脳リハビリに対する家族の心構え

「中ボケ」は、「小ボケ」より達成目標を下げると共に、本人が頑張って実践すべき脳活性化のための「テーマ」自体の計画や実行について、家族自身も一層の手間をかけることが必要不可欠になります。「中ボケ」のレベルになると、「左脳も右脳」も異常なレベルに衰えてきているために、「時の見当識」や「所の見当識」と呼ばれる認知機能が異常なレベルに衰えて、揺らいでくるのです。そのため、「今日が何月何日なのか」が分からなくなってくるのです。今までに行き慣れている所に行くのにも、間違うようになってくるのです。

その上、「自分の脳の働き具合が、どこかおかしいという自覚もない」のが普通なのです(自分の脳の働き具合がどこかおかしいという自覚がもてるのは、「小ボケ」のレベルまでになります)。脳を活性化させるための生活習慣に取り入れる「テーマ」は「小ボケ」と同じでも、やり方や程度や態様及び頻度を変える必要があるのです。従って、家族の深い理解と十分な後押しとが、「小ボケ」の段階よりはるかに重要な役割を担ってくるのです。そのため、家族の負担が極めて重くなります。但し、「中ボケ」までなら、未だ脳の機能レベルが正常なレベルに回復する可能性があるので、家族には自分自身のためにも頑張っていただきたいのです。「大ボケ」のレベルにまで脳の機能を衰えさせてしまうと、回復の可能性はなくなります。その一方で、「身体だけは何時までももちつつ、脳の機能が更に衰えていく」のが「アルツハイマー型認知症」の特徴なので、家族自身が共倒れになってしまうのです(或いは、自分なりの人生を送ることができなくなってしまうのです)。

●家族がいくら説明して、おかしな言動があるといっても、「わたしは、ボケてなんかいないよ、何ともないよ」と言い張って、一向に家族の話を聞こうとはしなくなります。「中ボケ」の段階に特有な、いろいろな症状が出てきていて、「家庭生活」面に様々な支障やトラブルが起きていても、自分自身の問題としての理解ができないのが「中ボケ」の特徴でもあるのです。

●「中ボケ」のレベルになると、脳を活性化するための努力の必要性を理解することも出来ません。それでいて、理解力や判断力が衰えてきている割に口は立つので、口先だけの色々な理由を並べ立てます(単にやりたくないが故のヘリクツのたぐい)。家族が必死になって前から引っ張ったり、後から押してあげないと、脳が活性化するような生活習慣の改善(脳リハビリ)に真剣に取り組もうとはしないのです。

●周りの人(できれば同居の家族)が、本人の過去の趣味や遊びや人づきあいの仕方の程度とか生活環境などを考えて、「テーマ」自体とそのやり方を具体的に計画してあげてください。具体的な生活習慣の改善を計画し、家族全員で本人を支えて、「脳リハビリ」の実行に一緒に取り組んであげることが、改善への道につながる不可欠の条件になります。

●口先だけが達者な「中ボケ」に対する脳リハビリのコツは、本人の発言に惑わされずに、行動を根気よく観察することから始まります。着衣・食作法・トイレや入浴・家事(炊事・洗濯・片付け・掃除・庭や畑仕事)などの行動や言動或いは実行のレベルをよく観察することが大切です。身についた行動なのでたまにはスムーズにできることもありますが、自身の判断が必要な状況になると、とたんにトラブルが発生します。その状態を、こどもの行動レベルと比較してみると、よく理解できるはずです。幼稚園の年少・年中・年長に相当するレベルと考えると、納得がいくはずです。

●「脳リハビリ」の項目や「テーマ」は「小ボケ」と同じでも、幼稚園児に対する指導と同じように、噛み砕いて簡単にすることが必要です。更には、目標レベルが高すぎないことが肝心です。本人が過去に熱中していたり、得意だった分野や「テーマ」があれば、必ずそれを取り入れるのです。「昔取った杵柄」が頼りとなります。

●行動は幼稚園レベルに低下していても、数十年生きてきた体験そのものは消えるわけではないので、「言葉遣い」や「態度」にはそれなりの注意が必要です。「左脳」よりも「右脳」の方が衰え方の進行が緩やかなので、「言葉や論理」に対する理解が十分でなくなっても、感覚的或いは感情的な部分は家族が思っている以上に未だ働くのです。

 注)本著作物(このブログA-86に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

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