(プロローグ)
様々な種類が数ある認知症の内の90%以上の割合を占めているのが、『アルツハイマー型認知症』というタイプの認知症。高齢化率が極めて高い社会、超高齢社会に到達しようとしている社会又は、超高齢社会に到達している社会(65歳以上の高齢者が21%超:高齢化率が30%の日本は、世界のトップを走る)でしか、「社会現象」という規模では、発現してこないのが特徴です。
『アルツハイマー型認知症』研究及び診断の権威とされる機関や医師達は、世界中どこの国でも、米国精神医学会が策定したアルツハイマー型認知症の診断規定であるDSM-Ⅳの規定の第一要件が確認を要求する「記憶障害」の症状並びに第二要件が確認を要求する失語、失認、又は失行の症状を確認して初めて「アルツハイマー型認知症」の発病者であるとの判定を行っているのです。
この場合、第二要件が確認を要求している失語、失認、又は失行の症状は、認知機能の機能レベルについての客観的な物差しを基準にして言えば、意識的な世界に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能が極めて異常なレベルに在って、且つ、11の下位項目から構成されていて30点が満点であるMMSEの得点が一桁の得点、すなわち、「左脳及び右脳」の機能レベルが極めて異常なレベルに在ることになるのです。私たち「二段階方式」の基準から言い換えると、末期の段階である「大ボケ」の後期の段階の症状、極めて重度の症状が確認されて初めて、発病と判定(診断)しているということになるのです。
※1 廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病が本態である『アルツハイマー型認知症』というタイプの認知症は、性質それ自体として、治すことが出来ない訳のものではないし、症状の更なる進行を抑制できない訳のものではないのです。
※2 権威とされる人達が、重大な誤りの規定内容であることに気付かないでいて、未だに「DSM-Ⅳ」の規定を信望していて、第一要件並びに第二要件の規定が確認を要求している症状の発現を確認して初めて、即ち、極めて重度の症状(前頭葉の機能障害に起因した記憶障害であることが特徴)を確認して初めて発病と判定し、診断しているのが実態です。その誤りの結果として、治すことが出来ないと誤解されていて、症状の更なる進行を抑制出来ないと誤解されているのです(権威が犯している重大な誤り)。
※3 上記※1及び※2の問題点を抱えている上に、更には、「DSM-Ⅳ」の第一要件が確認を要求する「記憶の障害」を惹き起こす原因として想定され、主張内容が構築されているだけのもの、憶測の類に過ぎないアミロイドベータ仮説を信望し、支持する専門家達が、未だに世界中で幅を利かせていて、エーザイの「アデュカヌマブ」の失敗後もなお、京大のiPS細胞を活用して発見したとされる薬が、症状の更なる進行の抑制に効能があるとする新たな主張が出てきていたりするのです。彼らが発病者として取り上げる人達は、「DSM-Ⅳ」の第一要件が要求する極めて重度の記憶障害の症状の発現が確認されているお年寄りで、且つ、「DSM-Ⅳ」の第二要件が要求する失語、失認、又は、失行(紛い)の症状という極めて重度の症状が確認された人達ということになる訳なのです(二段階方式の区分で言う小ボケ及び中ボケの段階のお年寄りたちは、『発病の対象者には、含まれていない』ことに注意して頂きたいのです)。
そうした極めて重度の症状が確認されている人達(実態としては、第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者のはず=専門家達が主張している若年性アルツハイマー型認知症なるタイプの認知症は、この世には存在していない架空のものなのです。側頭葉性健忘症を誤診しているだけなのです。そもそも、『アルツハイマー型認知症』の発病者であれば、意識的な世界に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が異常な機能レベルに在ることが確認されるのに対して(アルツハイマー型認知症の発病者であれば、前頭葉の機能が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、左脳、右脳、運動の脳の順番に異常なレベルに衰えていくという特徴が存在することに加えて、発病年齢が60歳以降という老年での発症を特徴とする)、『側頭葉性健忘症』の発病者であれば、極めて重度の記憶障害(重度の記銘力障害に起因した記憶障害が特徴)の症状が確認できるのですが、前頭葉の機能は正常な機能レベルに在ることが確認されるのが特徴であり、そのことに加え、発病時の年齢が30歳代から50歳代止まりという若年での発症を特徴とすることを知らないでいるのです。ここに示したように、『前頭葉の機能レベル』を精緻に判定しさえすれば容易に両者の鑑別が出来るものなのに、『前頭葉の機能レベル』の精緻な判定が行われていなくて(「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定出来る「手技」自体を彼らは持っていないのです。そもそも実施していないか、実施するにしても、FABなどでは、精緻な判定は出来ないのです)その結果として、「極めて重度の記憶障害の症状」の確認だけで、発病者が老年であれば、アルツハイマー型認知症の発病者と診断し、発病者が若年であれば、若年性アルツハイマー型認知症と診断(実は、誤診)しているという訳なのです。
私たち二段階方式が、『アルツハイマー型認知症』の発病者について、小ボケ、中ボケ、大ボケの「三段階に区分」する最も重要な意味は、小ボケ及び中ボケの段階の発病者であれば、『脳のリハビリ』(「注意の分配力」の機能の出番が多い「テーマ」の継続的な実践により、「実行機能」を活用する機会が増えてくる結果として、『前頭葉』の機能が活性化してくるもの)の継続的な実践により、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルが改善し、又は、症状の更なる進行を抑制させることが出来るものであるのに対し、末期の段階である大ボケの段階の症状の発現が確認されたお年寄りの場合には、最早脳のリハビリの効果がなくなり、症状を改善させることが出来ないだけでなくて、症状の重症化の進行の抑制さえも出来なくなるからなのです(北海道から九州に跨る452の市町村での住民参加型の地域予防活動の実践展開の指導により疫学的方法により実証済み)。
何等かの治療薬の服用により、アルツハイマー型認知症の症状の「更なる進行を抑制する効能」が確認出来る訳がないのです。どのような根拠(脳機能データ及び客観的な確認方法)が存在するのか、またしても、単なる憶測の類であって、評価の方法とレベルが杜撰な主張が出てきて、彼等には権威が有る結果として、世の中を惑わすことになるのです(治療の効能を有する『薬』は、存在し得ないのです)。
&1 「二段階方式」の手技による発病の有無の判定
(1) 『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの精緻な判定
※ 「二段階方式」は、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される類型的症状の発現及びナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続(脳の使い方としての生活習慣の確認作業が必須)の両者を確認します。
(2) 認知症研究の専門家とされる権威や医師が実施している判定基準や方法は、主観的で客観性に欠け、言葉の表現と区分だけの方法なのです:
アルツハイマー型認知症の発病の有無の判定については、MCI(Mild Cognitive Impairment=軽度認知障害)の基準が提示されていて、物忘れの症状の程度の外観からの観察だけにより当該基準に該当するか否かの判定が行われていて、『MCIの基準に該当するとされたとき』は、該当者は、『アルツハイマー型認知症の発病の前駆的状態に在る』との説明が為されているのです。そもそも、「発病の前駆的状態に在る」ということが何を意味するのかということ自体が、不明なのです。
(3) そもそも、『記憶の障害』自体が起きてくる原因について、何等解明されていないのが現状なのです。『記憶が、記銘、保持、想起の工程を辿ること』は、誰でも言及するのですが、『短期記憶と長期記憶とが生じてくるメカニズム』についても、未だに、世界中の脳科学者の誰一人解明できていないのです(Tadの見解では、「評価の物差し」による注意、関心、評価及び選択に基づいて、『注意の分配力』の機能が「実行機能」を駆使する意識下の注意の分配力の機能の関わり方の差異が、記銘時の記銘度の差異を生じさせること、その記銘度の差異の結果として、短期記憶となるか長期記憶となるかの差異が生じてくるだけなのです)。それであり乍ら、『アルツハイマー型認知症』の症状が記憶の障害に起因して発現してくる等と、憶測に基づいただけの主張(「DSM-Ⅳ」の第一要件の規定並びに「4つの仮説」の想定及び主張内容)が、今日現在もなお、幅を利かせているのです。睡眠中に記憶されている情報の処理と整理がなされているなどと、私たち人間の脳に起きてきている科学的で客観的な脳機能データも無しに、単なる憶測に基づいて構築された主張が幅を利かせている事例が多いのです。
&2 アルツハイマー型認知症は、「意識的な世界」が関わる認知症
(1) 私たち人間には、私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界=目的的な世界」、即ち、『意識』が覚醒した世界(但し、覚醒の度合いは、種々様々であることに注意)が存在しているのです。
(2) 意識的な世界は、目的的な世界であり、何かのテーマを発想し、実行に移そうとする際、不可避的にかかわってくる脳の働き(及び働き方)、意識的な世界における脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルのメカニズムが関わる及びそのアウトプットの世界なのです。その「意識が覚醒した状況下」で行われている「脳の働き」を概観しましょう。
『自分が置かれている状況』を分析し、理解し、把握し、判断して、状況判断に沿った何らかの「実行テーマ」を発想し、テーマを実行する為の実行の企画と実行内容の計画をして、実行結果についての洞察、推理、憶測、忖度、シミュレーションをし、実行すべき内容、程度及び態様を比較し、評価し、選択し、決定して、実行の決断を行い、実行の指令を出すこと、その他抑制や感動等の認知機能を総称して『実行機能』(Executive Function)と呼ぶのです。
ところが、これらの『実行機能には、自身に機能を発揮する手立てが備わっていなくて、「注意の分配力」の機能を核とする「前頭葉の三本柱」の機能が、その発揮度を支配し、下支えている機能関係にある』のです。言い換えると、様々な場面での実行機能の機能の発揮及び発揮の度合いは、「前頭葉の三本柱」の機能の発揮及び発揮の度合いに左右され、下支えられているということなのです(私たち「二段階方式」が、世界で初めて発見し、「実行機能の機能発揮上の二重構造の問題」と名付けているものなのです=このブログの「G-02」を参照)。
実は、この二重構造の存在こそが、アルツハイマー型認知症の発病及び症状の重症化の進行のカギを握る密接不可分の要因でもあるのです。記憶障害という要因は、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行の原因ではなくて、結果なのであるということに、権威が何時になったら気付くのやら(「DSM-Ⅳ」の第一要件の策定に携わった人達の全員が、このことに気付いていなかった為、重大な誤りの内容の規定が為されて、世の中を惑わすことになってしまったのです。その規定の誤りに気付かない儘に、「記憶障害」を惹き起こす要因として、アミロイドベータの蓄積や、タウタンパクの沈着や、アセチルコリンの不足や、脳の萎縮の進行やらを憶測により想定して、主張内容を構築しただけの「4つの仮説」も重大な誤りの内容なのです)。
&3 記憶障害ではなくて、廃用性の機能低下の進行が発病を惹き起こす要因
「左脳」の出番が不可欠で、『注意の分配力』の機能の出番が多い「仕事」という「テーマ」とは無縁の日々の暮らし方となる『第二の人生』を送っている『高齢者』が、『キッカケ』の発生を契機に、何事に対しても意欲を失くしてしまい、『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣』(自分なりに追求する特定のテーマが無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な暮らし方、脳の使い方としての視点で言う単調な生活習慣)が開始され継続されている状況下で、前頭葉の三本柱の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくことになるのです。その結果、機能発揮上の二重構造の問題から、『評価の物差し=意識の首座=自我』及び『実行機能』の機能の発揮度が、徐々に異常なレベルに衰えていき、衰えが更に進行していく為に、総合複合機能体である『前頭葉』(Tadの見解では、前頭葉の三本柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能の三者が構成)の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくこととなり、意識的に(目的的に)何等かのテーマを発想し、実行していく際に、様々な支障が出てくることとなるのです(=『アルツハイマー型認知症』の発病であり、小ボケ、中ボケ及び大ボケの三段階に区分される段階的で類型的な症状が発現してくる世界)。即ち、意識的な世界(目的的な世界)は、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車を運行する世界なのであり、馬車の運行を管理しコントロールしているのが、御者、即ち、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』と言う脳機能なのです)。
その最初の段階が、社会生活面に支障が出てくる「小ボケ」の段階であり、次いで、家庭生活面にも支障が出てくる「中ボケ」の段階があり、最後に、セルフケアの面にも支障が出てくる「大ボケ」(=「介護」が必要)の三段階があるのです。専門家で権威が有るとされる人達は、『小ボケ及び中ボケ』の段階を見落としていて、末期の段階である大ボケの段階で発現してくる『極めて重度の症状』を確認して初めて発病と判定(診断)しているのです。小ボケ及び中ボケの段階で発病を見つけて、『脳のリハビリ』を実践させることにより症状を治すことが出来るし、少なくとも、症状の更なる進行を抑制できることを知らないで、末期の段階で発病を見つけていることも知らないで、『アルツハイマー型認知症は、一旦発病したら、治すことが出来ないタイプの認知症である』と主張しているのです。権威だけを傘に着ていて、自分たちの主張内容の誤りに気付かないのです。
&4 基本的には「異なる複数の意識」が同時に並存
1.種々雑多で「異なる複数のテーマ」が脳内に横たわっている状態と「何等かの一点のテーマ」に対象が絞られている状態を比較してみて下さい。貴方にとって、どちらが日常経験的で容易で有り触れた状態であり、どちらが非日常経験的で困難で特異な状態だと思いますか。
2. 私たち人間の脳は、意識的な状態下、特に、意識が覚醒された状態下では、常に、必ず、『異なる複数のテーマの構築と処理』、『異なる複数の意識の構築と管理』が行えるような機能構造をしているのです。このことは、私たち人間だけに特有な世界でもあるのです(DNAの99%が人間と同じとされている「チンパンジー」にも存在していない世界なのです)。
3. その核心的な機能が、『注意の分配力』という脳機能なのです。
『注意の分配力』の機能は、「3つ以上の異なる複数のテーマを同時に並行して処理する為に不可欠の機能」であり、「異なる複数の意識を構築し、管理し、コントロールし、維持する為に不可欠の機能」であり、「とっさの判断や処理に不可欠の機能」【所謂、頭の回転の速さ】でもあるのです。
4. 私たち人間だけに特有な世界である意識的な世界は、目的的な世界であり、意識が覚醒してくるに従い、異なる複数のテーマからなる異なる複数の意識が構築され、維持され、統合され、管理され及びコントロールされている状態が存在する機能構造が備わっているのです。その為に、何か特定の一つのテーマに意識を集中することの方が、むしろ、困難となるという訳なのです。
5. 『意識』が覚醒された状態下で、自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿ったテーマを発想し、発想したテーマを実行する為の実行内容、程度及び態様について様々なシミュレーションを行うに際しては、『評価の物差し=意識の首座=自我』による評価、関心、注意及び選択に基づいて、注意の分配力を核心とする前頭葉の三本柱の機能に支配され、管理され、下支えられた『実行機能』を駆使しつつ、様々なメタ認知が行われることが、必要不可欠となるのです。私たち人間は、この機能構造の下で、様々な思索や発言や動作や行為や行動、或いは言動を実行する為に、そのことに先立ってメタ認知を行っているのです。『長針が、3時の真上に来た瞬間にボタンを押す』動作を実行するには、押す動作の実行に先立つ⓵「当該テーマの継続的な保持」と②「長針を目で追っていきつつ、3時の真上に到達しようとしている瞬間の状況の把握と認知と意味の理解」という、2点の先行認知が不可欠となり、更にその状況下で、③「長針が3時の真上に来た瞬間にボタンを押す動作を実行する」という実行動作が必要となる訳なのです。②の認知(無意識ではなくて、意識的な認知であることに注意)に際して前頭葉の三本柱の機能の発揮度が高くなり及び③の実行動作に際して前頭葉の三本柱の機能の発揮度が高くなる為、血流の変化を示す針がその都度大きく振れるに過ぎない。
6.その意味で、注意の分配力の機能を核心とする前頭葉の三本柱の機能の継続的な関与と発揮が不可欠となり、その上で、③の動作が意識的に実行されることになるのです。このことを言い換えると、⓵及び②の認知自体は、『意識的なものであり』、③の動作という意識的な動作(認知)に先行する認知機能の意識的な発揮なのであって、無意識が意識に先行しているとの解釈は重大な誤りと言うことなのです(有名なリベットの実験は、解釈を誤っているだけ)。
⇔ここに取り上げた『リベットの実験』は、実験の結果に対する解釈の誤りに過ぎないのであり、『すべての意識は、無意識に規制されている』訳ではない
ことを、脳科学の専門家とされる人達に、注意喚起しておきたいのです。
注)『メタ認知』を検索してみると「より高度な認知」などの意味不明の説明が為されているのですが、Tad流に説明すると、「自分の脳の中での自分なりの分析、考察、理解、発想、洞察、推理、検索、創意、工夫、計画、シミュレーション、比較、選択、判断、判定、決定、決断等、『注意の分配力』の機能に下支えられ乍ら、『実行機能』を駆使して行う認知を指している用語」と説明すべきなのです。
&5 注意の分配力の機能が関わる人間だけの特有な「記憶のメカニズム」
(1) 記憶は、記銘して、保持して、想起するという過程を辿ります。
(2) 記憶の特徴はというと、『よく記銘された【記銘度が高かった】もの程、よく保持されて、よく想起される』というのが、Tad独自の見解なのです。
即ち、短期記憶と長期記憶とを区分けることになるメカニズムは、通常言われているような、海馬の働きが区分けているのではないとTadは、考えているのです。海馬は、記銘に関わる脳機能部位であることから、そのように憶測されている訳であり、そのような理解は、誤りなのです(根拠は、注意の分配力の機能の関わり方及び機能の発揮度が、その差異を生み出しているからです)。
①記銘は、「意識的な世界=目的的な世界」で起きてくるもの。「記憶」の対象となった情報について(その全部または一部を)、意識的に記憶しよう【記銘しよう】(=意識下で記銘され、記憶される)とする場面では、意欲、注意の集中力の高度な発揮に加えて、『注意の分配力』の機能の高度な発揮が必要となるのです。意識的な世界では、異なる複数のテーマ及び異なる複数の意識が同時に並行して存在し、処理されていることに注意が必要です。その中から、記憶の対象について記銘度が高くなるには、記憶の対象をできるだけ特定の対象に、出来れば一点に絞って認知することが必要となるのです。『注意の分配力』の機能の発揮度が低いと、そのことに直接起因して、注意の対象が分散されてしまい、記憶する(記銘)対象の記銘度が低くなってしまうのです。
聞き流す(pay no attention to)、聞き捨てる、聞き過ごすという言葉があるでしょう。他のもっと大切なテーマが念頭に在って、相手との間で、意識的に言葉を交わしていても、僅かな時間の経過で、忘れてしまう(応酬した言葉に対する記銘度が低い為に、後で想起できないことになる)のです。
②此処で注意すべきこと。記銘時には、脳内に複数の異なるテーマ及び意識が常に存在していて、『評価の物差し』による記銘時の評価、関心及び注意の度合いの差によって、各々が異なる「注意の分配機能の分配量」が配分されるのです。その結果、記銘度が異なる複数の対象情報が記銘され、その後は保持されていくことになるのです。それぞれに保持された対象情報には、記銘度の差異が存在する状態で保持されていて及び記銘度が高いもの程、想起され易いことを理解すべきなのです。
(3) 次に、想起する場面について説明します。想起すべき対象は、各々記銘度が異なる複数の保持されている情報の中から、特定の対象を検索し、呼び出してくる作業が行われることになります。この場合、よく想起するには、『注意の分配力』の機能の高度な発揮が不可欠となります。記憶の倉庫の中から、特定の想起する対象を種々検索し、目的となる特定の情報を呼び起こしてくる為には、あれかこれか、様々な条件を付加して、検索してくる働き、『メタ認知機能の高度な発揮』が要求されることになるのです。
(4) 上述のメカニズムから、『よく記銘された【記銘度が高かった】もの程、よく保持され、よく想起される』ことになるのです(現状、Tad独自の見解=世界中で唯一)。この帰結として、通常言われている『睡眠中に、記憶の内容が整理される』という見解は、単なる憶測の類であり、誤りということになるのです。
⇔ 例えば、スマホを度々どこかに置き忘れている、物忘れの症状について説明しましょう。夕ご飯のおかずを何にしようか、魚にするか、肉にするか迷いながら、手に持っていたスマホを脇に置き【「注意の分配力」の機能が、異なる複数のテーマを同時に並行して処理している状況の中、この動作は、意識的な動作であり、置く場所も選んで、そこにスマホを置いている】、隣の部屋の冷蔵庫から、佐賀牛のブロックを取り出す。あなたの脳は、夕ご飯のおかずを魚にするか、肉にするかのテーマに注意の大半が分配されて、スマホを置くというテーマには、僅かな量の「注意の分配力」しか分配されていなかったのです。その為スマホを脇に置いたことの記銘度が低くて、後で想起できなかったということ。
※1 アミロイドベータの蓄積による老人斑の生成と記憶障害との間の因果関係の存在とその影響に関し、アミロイドベータを注入したアルツハイマーマウスなるものを使って、影響の程度を計測している専門家達の方法が、単なる憶測の類であり、科学的な方法とは言えないことを理解して頂きたいのです。
※2 専門家とされる人達の内で、『アルツハイマー型認知症』の症状の進行の更なる抑制、又は、発病自体の予防に効果が確認できるとして、『簡単な足し算と引き算』の実施を推奨する人達がいます(介護予防施設での実践例)。
日々継続して、実践する結果として、『前頭葉の機能レベルが改善してくる効果が確認できる』と主張している人達がいる『前頭葉の機能レベルが改善した』ことの確認については、『前頭葉』の機能レベル自体の変化を精緻に判定した結果ではなく、『物忘れの症状の或る程度の改善』が主張の根拠とされていることに注意が必要。
(5)私たち二段階方式の「改訂版かなひろいテスト」は、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能レベルについて、「個別に及び総合して、精緻な判定が出来る手技」であり、『アルツハイマー型認知症』の本態が、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」であること(『脳の使い方』としての「生活習慣」を言い、食生活とは無関係)並びに『意識的な世界』(目的的な世界)が関わるタイプの認知症であるとの理解をしていて、「意識の機能構造」及び「実行機能の機能発揮上の二重構造」の理解を含め前頭葉の機能レベルの変化の精緻な判定及び鑑別が出来る手技なのです(G-02を参照)】。
(6) 上述の『機能構造』の関係から、『よく「記銘」された情報は、よく保持され、よく「想起」出来ることになる』のです。簡単な足し算や引き算の日々の実践により、『前頭葉が活性化されて、前頭葉の機能レベルが改善されて、発病の予防が出来たり、症状の更なる進行が抑制されることになる』と信じて実践に臨む人たちは、その実践の過程で、意欲の機能と注意の集中力の機能を発揮する場が増えてくることになるのです。その効果として、物忘れの症状のある程度の改善が確認できることになる訳です。当該脳機能を使用する場面が増える「生活習慣」の継続に因り、意欲と注意の集中力の機能レベルが改善(向上)される結果として、対象の記憶に関わる記銘度が高くなる為に、よく保持され、よく想起されることになる(即ち、「物忘れの症状」が或る程度改善される)訳なのです。
但し、一番の問題点として注意したいのは、以下の重要な視点です。
「簡単な足し算や引き算を行う」作業について、脳の機能面から説明すると、『注意の分配力の機能の出番が殆ど無い』のです。『注意の分配力』の機能は、実行機能の行使について、或いは、メタ認知機能の発揮について、必要不可欠の機能であるという点に(気付いていない)のです。分析、理解、判断、企画、計画、洞察、推理、シミュレーション等の『実行機能』と総称されている個別認知機能群の行使と機能の発揮については、『注意の分配力の機能の関与、発揮が必要不可欠となる』点について、理解が出来ていない人(専門家)達が、「物忘れの症状」の或る程度の改善を確認して、そのことだけにより、『前頭葉の機能が改善した』と誤解しているだけなのです。
(7)「簡単な足し算や引き算を行う」作業の実行の効果について、脳の機能構造面から指摘すれば、『前頭葉』の機能レベルの改善効果ではなくて、意欲及び注意の集中力の改善効果だけであることに気付いていなくて、誤解しているだけなのです(施設で実践していることが多い)。
⇔ 意識的な世界に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能が活性化しない結果として、前頭葉の機能レベルが改善しないとき、『アルツハイマー型認知症』の発病の予防には繋がらないことを問題提起しておきたいのです(「二段階方式」の手技は、『前頭葉』の機能レベルの変化を精緻に判定できる世界で唯一の手技なのです=手技の活用に対する保険点数が極めて低い為、一定規模の売り上げが至上命題の医療機関は、活用しないのです)。
「前頭葉の三本柱」の機能の発揮度が高まってくる中で、意識の首座である『自我=評価の物差しの機能』の評価に従い、特定のテーマの実行について、『注意の分配力』の機能が『実行機能』を駆使している状態が、『前頭葉が活性化している状態である』ことに、専門家達が未だに気づいていないのです。
※3 ここで、皆さんの参考の為に、『MCI』(軽度認知障害)の基準が提示する「5つの要件」を、以下に示しておきます。
⓵ 本人または家族から記憶障害の訴えがある
② 日常生活動作は正常
③ 全般的な認知機能は正常
④ 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
⑤ 認知症ではない
② 日常生活動作は正常
③ 全般的な認知機能は正常
④ 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
⑤ 認知症ではない
⇔ 『MCIの基準』は、認知機能の障害の程度を問題としながら、肝心要の「前頭葉」の機能レベルが正常であるか/否かについて、客観的な手技の活用による判定を要求していないのです(意味不明の基準)。
(8) 私たち「二段階方式」の場合には、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの客観的で精緻な判定を基礎とし、且つ、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される類型的症状から構成されている「30項目問診票」との照合を行い、『生活歴の聞き取り』(ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続)の確認を行うのです。
※4 記憶は、「意識的な世界」(目的的な世界)、「意識」が関わること並びに私達人間だけに特有な機能である注意の分配力の機能が関わることの深い理解が不可欠となるのです。
(9) 世界中の専門家達(学者、医師、開発研究者)を牽引し、彼らの支持を得て、長い間、通説の地位にあった『アミロイドベータ仮説』は破綻しました。
アミロイドベータの蓄積を阻害する効果は認められるものの、「アルツハイマー型認知症」の発病を抑制する効果も、症状の進行を抑制する効果も認められないもの、「治療の効能を有していない」ものとされたのです。関心がある方は、その詳細なレポート記事である『FACTA ONLINE』(2022年5月号)を参照して下さい。
※1 アミロイドベータ仮説が憶測と想定とにより主張するアミロイドベータの蓄積による老人斑の生成と「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行との間には、肝心の因果関係が存在していないのです。アミロイドベータの蓄積を抑制又は阻害する効果がどれほど、確認されようとも、アルツハイマー型認知症の発病の予防、症状の重症化の進行の抑制には、何等の効能を発揮することは出来ないのです。
何故なら、『アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病に過ぎない』のであり、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続されているお年寄りが、何等かの薬(『レカネマブ』)を服用するだけで、「異常なレベルに機能が衰えていた『前頭葉』の機能レベルが回復し、活性化することにはならない」からなのです。服用の効果に対する評価が杜撰であるか、評価の方法自体が間違っているのです。
※2後述する『MMSE下位項目の項目困難度』の脳機能データは、14689例に上る「アルツハイマー型認知症」発病患者の脳機能データの解析結果(事象の事実)なのであり、この一事を取ってみても、『アミロイドベータ仮説が誤りであることが証明できる』のです(間接的な証明方法であるが、『完ぺきな証拠資料』なのです)。
(10) 様々な種類が数ある認知症のうちの大多数、90%以上の割合を占めている『アルツハイマー型認知症』は、廃用症候群に属する老化・廃用型の単なる「生活習慣病」に過ぎないのです(但し、「食生活」とは無関係であり、第二の人生を送っている「高齢者」だけが発病の対象となる『脳の使い方』としての「生活習慣病」であることに注意)。
『アルツハイマー型認知症』の発病は、器質的な原因病変は存在せず、仕事とは無縁の日々となる『第二の人生』を送る上での「脳の使い方」としての生活習慣の在り方、第二の人生を送る上での生き方が問われる病気なのです。「記憶障害」が原因で発病すると誤解して、前頭葉の機能レベルの判定もせずに、「物忘れの症状」の僅かな改善で、効果があると誤解しているのです。
&6 『アルツハイマー型認知症』に特有で客観的な判定及び鑑別の為の指標
1.『MMSE下位項目の項目困難度の指標』
これは、「二段階方式」の手技により「アルツハイマー型認知症」の発病者であると判定された「お年寄り」の14689例に上る脳機能データ(小ボケ、中ボケ、大ボケの全ての段階を含む)の解析結果なのです。脳の後半領域の機能レベル(左脳及び右脳)を判定するMMSEの実施結果の解析データなのです。
※1 項目困難度が高い順に、次の順番となるのです。
想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、図形の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名
※2 「アルツハイマー型認知症」の発病者である場合は、且つ、その場合に限り、必ず、この指標の「低下順の通り」に出来なくなっていくのです。この低下順の通りでないときは、『その一事をもってして、「アルツハイマー型認知症」の発病者ではないことになる』のです(極めて重要な指標)。
※3 アミロイドベータ仮説の考え方(アミロイドベータの蓄積による老人斑の
形成に因り、情報を連絡する役割を担っている神経細胞の大量死が惹き起こされて、その領域が拡大されることにより、「記憶障害」が惹き起こされて発病し、更には、症状が進行して行くとする仮説)が正しいと仮定した場合、事象の事実である『MMSE下位項目の項目困難度』の指標の存在を合理的、科学的に説明することが出来ないのです。このデータの存在だけでも、アミロイドベータ仮説を含む「4つの仮説」が、主張の前提条件とする「記憶障害に起因して発病する」との想定自体が、誤りであることになる訳なのです。
更に問題提起すると、小ボケ及び中ボケについて確認される『標準的な滞留期間の存在』も、アミロイドベータ仮説が誤りであることの証拠資料なのです。「小ボケ」の期間が3年間在り、次いで、「中ボケ」の期間が2~3年間在って、最後に、末期の段階である「大ボケ」の段階が始まり、身体がもつ限り症状の更なる重症化が進行していき、植物人間状態にまで進行していくのが、『アルツハイマー型認知症』の特徴(極めて多数の症例が示す、事象の事実)。
2. 認知症研究(診断)の専門家とされる学者、研究者や医師達は、米国精神医学会が策定した『アルツハイマー型認知症』の診断規定である『DSM-Ⅳ』の第一要件及び第二要件の規定内容が共に重大な誤りであることに気付いていない為に、末期の段階の極めて重度の症状の発現を確認して初めて発病と考えているのです。
&7 アルツハイマー型認知症の発病者に確認される「三段階」の類型的症状
1.廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病が本態(正体)である『アルツハイマー型認知症』の発病及び症状の重症化の進行は、意識が関わるものであり、「意識的な世界」(目的的な世界)に於ける『脳全体の司令塔』の役割を担っている『前頭葉』の機能から真っ先に異常なレベルに衰えていくのが特徴です。権威とされる機関や人達は、定義も無く、且つ根拠となるデータも無しに、言葉の遊び程度の区分である「中核症状」と「周辺症状」に区分しているだけ。
私たち二段階方式は、科学的で客観的な定義のもとに三段階に区分し、更に、発病の有無だけでなくて、「脳のリハビリ」の継続的な実践に因る回復の可能性の有無及び程度により、以下の様に区分してもいるのです(主張内容が正しいことが、疫学的方法により実証されている)。
① 小ボケ 「脳のリハビリ」の継続的な実践により、治す/症状の進行を抑制することが可能
② 中ボケ 「脳のリハビリ」の継続的な実践により、症状の進行を抑制することが未だ可能
③ 大ボケ 「脳のリハビリ」の継続的な実践により、症状の進行を抑制することさえ最早困難
2.様々な程度及び態様により発現してくるものである「アルツハイマー型認知
症」の症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される類型的な症状が発現してくるのが特徴なのです。
(1)「小ボケ」(「改訂版かなひろいテスト」により判定される『前頭葉』の機能だけが異常なレベルで、MMSEで判定される左脳と右脳の機能は、未だ正常なレベルで在ることが確認される。但し、MMSEの換算値が、24点以上)。
※この間まで特段の支障もなく「社会生活」や「家庭生活」を送れていて、自分なりに趣味や遊びや交遊や運動を楽しむ生活を送っていて、地域の催事や行事への参加や参画を楽しんでいたお年寄りが、或る日突然、失語や失認や失行の症状が出てきて、『セルフケア』にも支障が出てきて、『日常生活の面での介護が不可欠』』となる訳ではないのです。『アルツハイマー型認知症』は、症状が段階を追って、徐々に、緩やかに進行していくのが特徴なのです。
最初に、『小ボケ』の段階の症状が、次いで、「中ボケ」の段階の症状が出てきて、最後に、末期の段階の『大ボケ』の症状が発現してくるものなのです。
①アルツハイマー型認知症の発病者であれば、『前頭葉』の機能が異常なレベルに衰えてきている為に、周りからの支援が有ろうとも、自分らしく生きていくことは不可能なのです。
②「小ボケ」の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全てが正常な機能レベルを保っているのに対して、「社会生活」面で発生してくる種々のテーマを実行するのに必要となるレベルでの『前頭葉』の機能だけが、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、異常な機能レベルに在るのです。このことを、「空気ポンプ」に例をとって説明します。空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて(アミロイドベータ説やタウ蛋白説等の考え方であり、情報を伝達する役割を担っている神経細胞の大量の細胞死に起因した記憶障害が発病の原因だとする考え方)、そもそも、チューブに空気を送り込む働きをする役割のポンプの部分自体の機能が十分には働いていないせいなのです(脳全体の司令塔としての役割を担っている「前頭葉」の廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因した機能障害、当該機能の発揮レベルでの低下が主たる原因で、関連する情報の伝達及び情報の処理が的確に行われ難くなっているに過ぎないのです)。
意欲が湧かない、注意の集中力が発揮できない/発揮が続かない、注意の分配力がきちんと働かないことが症状として際立つ「小ボケ」の段階での症状のイメージは、家の外に出て行って、他人と交わり、何らかの共通目的を実行する場である『社会生活面』での様々な支障が出てくるのが特徴なのです。自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿ったテーマを発想し、実行の内容を企画計画して、実行の結果をシミュレーションした上で、実行の内容及び実行の仕方を決定し、実行を決断する上での様々な支障が目立つ人、何かにつけて人を頼ろうとする『指示待ち人』が特徴なのです。小ボケの段階の症状が、「記憶の障害」に起因したものではないことを理解すべき。
(2)「脳のリハビリ」に励むこともなく、相変わらずナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続されたままで居ると(小ボケの段階が3年間続くと)、次は、「中ボケ」の段階(2~3年間続く)に移っていくことになります。廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が原因で、『前頭葉』の機能が更に異常なレベルに衰えてきている上に、「小ボケ」の段階では未だ正常な機能レベルにあった左脳、右脳及び運動の脳までもが異常な機能レベルに衰えてきている(前頭葉を含む脳全体の機能が異常なレベル)からなのです。『改訂版かなひろいテスト』が不合格でMMSEの換算点が23点以下15点以上の範囲の人達です。
⓵『前頭葉』を含む脳全体の機能が異常なレベルに在ることを厳密に反映した症状が発現してくる「中ボケ」のイメージは、「家庭内の簡単な用事」程度のこともちゃんと出来ないのに(「家庭生活」の面でも、様々な支障が出てくるようになる)、口先だけは一人前、『言い訳ばかりしている、幼稚園児』が特徴です。「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「小ボケ」には、自覚があります。「意欲も湧かないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・」と感じていて、『以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい』という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。
②ところが「中ボケ」の段階になると、「前頭葉」の機能レベルが更に異常なレベルに低下してきている上に、左脳及び右脳の機能も異常なレベルに低下してきている為に、そうした自覚を持つ(認識する)こと自体が出来なくなります。現在の自分に起きてきている状態に対する自覚がないので、不安も全く感じていないのです。逆に、家族が『こんなところが、おかしい』と指摘しても、『そんなことはない。私は、ボケてなんかいない』と言い張り、自分のおかしな行動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが特徴です。
前頭葉の機能がそこまで衰えてくると、自分自身のおかしさに、気づくことが出来なくなるのです。前頭葉を含む脳全体の機能が異常なレベルに衰えて来たことを反映した「脳の機能年齢」は6~4歳児のレベルとなります(口先が達者で言い訳する『幼稚園児』)。
世界中の、認知症研究(診断)の専門家とされる人達は、小ボケ及び中ボケ
の段階が存在していることに気付いてもいないのです(見落としている)。
更に、アルツハイマー型認知症である場合は(且つ、その場合に限り)、MMSEの下位項目について出来なくなっていく厳密な順番があり、時の見当識で言うと、日、年、月、季節、昼夜の順番に出来なくなっていくのです。
□季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着る)という中ボケの症状は、季節が分からなくなってきているという「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの反映であり、□今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐという大ボケの症状は、昼夜が分からなくなってきているという「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの反映であり、いずれの症状も、『前頭葉』の機能障害、就中、「注意の分配力」の機能が顕著に異常なレベルにまで低下して来ていることが直接の原因なのであり、「4つの仮説」が想定した前提としての「記憶障害の症状」でもなければ、「記憶障害に起因した症状」でもないのです。
(3)「中ボケ」の段階になっても「老化現象」と勘違いして気づかないまま手をこまねいて居て、「脳のリハビリ」に励むことさえもなく、相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下が更に進んでいく為に、中ボケの期間が 2~3年間続いた後は、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていきます(「DSM-4」の規定が、アルツハイマー型認知症と診断する上での十分条件として確認を要求している失語、失認又は失行(紛い)の症状は、大ボケの段階でも後半になって初めて発現が確認される症状、「MMSEの得点が一桁になって初めて発現が確認される」ことになる、極めて重度の症状であることに注意。「第二の要件」に従って、「アルツハイマー型認知症」発病の有無を診断している限り、せっかく見つけても手遅れ、治すことも症状の進行を抑制することも、出来ないことになるのです。
⓵「大ボケ」の段階になると、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が僅かに残っている程度である上に、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」は殆ど機能しなくなってきているのです。挨拶程度の日常会話を交わすにも、ハサミとか歯ブラシ等、手に持っているものの用途を理解するにも、ズボンをはくにも、肝心の注意の分配力の機能が殆ど働くことが出来ないまでに、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきていることが原因で、極めて重度の症状が発現してくるのが、アルツハイマー型認知症なのです。『アルツハイマー型認知症と言うタイプの認知症の本態は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病である』と言う、私たちの主張内容が正しいことが、住民参加型の地域予防活動の実践により実証されているのです。
②「大ボケ」のイメージは、「脳の寝たきり」なのです(セルフ・ケアにも支障が出てきて、介護が必要となる)。即ち、「意識的な世界」における「前頭葉」の個別認知機能の認知度及び機能の発揮度を支配し/下支えしている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が殆ど働かなくなってきている状態にあるのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下(下は、0歳児まで)のレベルと考えて下さい。
大ボケは、極めて幅が広く、『家族介護の対象とすべきではない』のです。
「前頭葉」、左脳、右脳の機能が更に異常なレベルに衰えていく中で、MMSEの換算点が14点以下から大ボケの段階に入っていき、一桁の点数になってくるあたりから、「DSM-4」の規定の第二の要件が確認を要求している失語や失認や失行などの極めて重度の症状が発現して来ることになるのです。
③医療現場では、大ボケの段階の前半の症状を誤って、「アルツハイマー型認知症」の初期という表現を使用しているのですが、「脳のリハビリ」により回復させることが可能な本当の意味での早期の段階とは、私たちの区分でいう「小ボケ」及び「中ボケ」の段階までのことなのです。「大ボケ」の段階の症状が発現してくるまでに『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルが低下してくると、最早治すことは出来なくなるだけのことなのです(アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として治すことが出来ない訳ではない。極めて重度の症状である失語や失認や失行の症状が初期症状だと誤解しているがために、医師達が見つけて居る段階が遅すぎるが為に、治せないだけなのです)。
※精神科医が「アルツハイマー型認知症」の発病であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は(他の症状も同じメカニズムで発現してくることに注意)、一つには『加齢』による機能低下の進行という要因によって、更にもう一つの決定的な要因である、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続という要因に起因した、廃用性の異常な機能低下の進行という要因が加重されること、『異なる二つの要因が同時に存在し、充足されることの相乗効果』により、発現してくるものなのです。脳の司令塔の「前頭葉」が、殆ど働かなくなっている(脳が寝たきり状態に在る)上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」の段階では、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分で出来なくなり、日常生活面での「介助」や「介護」が不可欠の状態となるのです。
私達が服を着るとき、ズボンであるか、上着であるかを判断し、上着であれば裏表がどちらか、ボタンをかけるタイプかどうか、どのような手順で着ればいいか等を的確に見極めた上で、必要な動作を、適切な手順で的確に行っているのです。上掲の『服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする』と言った症状、「アルツハイマー型認知症」の発病としての症状は、「記憶の障害」が原因で服を正しく着ることが出来ない訳ではないのです。上着とはどういうものであり、どのようにして、どのような手順で着るものなのかを忘れたが為に着ることが出来ない訳ではないのです。
「前頭葉」の三本柱の機能の中でも最も高度な機能であり最も早く衰えて行く機能である「注意の分配力の機能」(異なった複数の「テーマ」を同時に並行して処理する為に不可欠の機能)が殆ど機能しないまでに機能低下が進行してきていることが直接及び中核の原因で、加えて、左脳、右脳及び運動の脳までもが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたことが直接の原因で、『服を正しく着ることが出来ない』だけなのです。
&8 アルツハイマー型認知症の発病を予防する具体的で可能な唯一の方法
1.追及している特段のテーマが無く、生き甲斐無く、趣味無く、交友無く、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣、即ち、『脳の使い方としての単調な生活習慣』の継続が、発病の加重要件であり、発病するか/しないかを区分け、決定づける『核心となる条件』なのです。
本態が廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病である『アルツハイマー型認知症』は、「左脳」の出番が極めて多い『仕事』とは無縁の生活となる「第二の人生」を送る上で、『自身が都度選択する脳の使い方としての生活習慣の在り方』が問われる病気なのです(「食生活」とは無関係に注意)。
2.『発病の予防』の為に構築すべき『生活習慣』としての「五箇条」:
症状を治すにも、発病を予防するにも、方法は唯一。『脳全体をしっかりと使ってやる』以外に方法は無いのです(予防や治療に効く薬は、存在しない!)。
(1)「趣味や遊びや人付き合いや運動や、地域活動」等を中心とした生活の中に、自分なりの『テーマ』を見つけ、自分なりの『喜び』や『生き甲斐』が得られるような、自分なりの『目標』の設定と実行、生活上の張りのある『生き方』を見つけ、自分らしい『生活の楽しみ方』をして、『脳が活き活きとしている』と感じられるような日々の『脳の使い方』としての『生活習慣』、何かに挑戦する『意欲』が湧いてきて、『注意の集中力』が長続きして、『注意の分配力』の機能の出番が出来るだけ多くなるような『生活習慣』を構築し、『継続して実践』(「生活習慣化」)することが、不可欠の条件となります。
※実行機能を駆使する機能である『注意の分配力』の機能の出番を増加させて、メタ認知する(脳内で、自分なりに、発想、洞察、推理、シミュレーション、検索、比較、選択、計画、決断、抑制、感動etc.)機会をできるだけ多くすることが、『前頭葉』を活性化させて、『発病を予防』することに直結するのです。⇔『3密の回避』とは、真反対の「脳の使い方」としての『生活習慣』の継続的な実践が、不可欠となるのです(第一義的に、『自助』が必要不可欠となる)。
(2)「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する老化・廃用型の単なる『生活習慣病』に過ぎないのです(発病のメカニズムについて「G-05」)。
①時間が経つのも忘れるような、熱中し、夢中になれる、趣味や遊びの機会を出来るだけ多く持ち;
② 趣味や遊びを通じて、できるだけ多くの人達と交わり;
③趣味や遊びや人付き合いや、地域の祭りの復興等の地域活動に、自分なりの生き甲斐や喜びや達成感や満足や感動を見出して;
④追及する「特定のテーマ」と「目標」の有る「生活習慣」の継続的な実践によって、精神的な張りと緊張感のある毎日を過ごしながら;何事に対しても、出来るだけ肯定的な捉え方、見方、考え方に努めるようにして;
⑤ 速足の散歩やラジオ体操など、毎日、楽しみながら『運動』するのです。
※加齢により耐える機能が衰えてきているので、小さくても不都合な出来事や状況の発生で、高齢者は意欲を大きく低下させるのです。意欲は、思考と行動の源なのです。何とか踏みとどまり、落ち込まないで、頑張ることが重要。
⇒最後は、まさかの時の神頼み:『励まして、後押しし、助けてくれるお友達の輪を広げておこう(「共助」)』。
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