「北の山・じろう」日記

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クルスク戦線とポクロウシク戦線のメリットとデメリット&ドネツク州のロシア軍の今後の予定<ウクライナ紛争2024/09/01

2024-09-01 14:25:51 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

ドネツク戦線とハルキウ北部戦線で劣勢になったウクライナは、大きな賭けに出ました。
新たにクルスク戦線を形成して、ポクロウシク戦線(正確にはドネツク中部戦線)の不利を挽回しようという目論見です。
よくそんなバカげたことを考え出したと思いますが、「賽は投げられ」ました。今更後戻りは出来ません。

世間には、「自爆◎◎」と言う言い方があります。
古くは、野田民主党の自爆解散。
最近では、フランスのマクロンの自爆解散。
良い結果が出た例は、寡黙にして知りません。
不利な方が負けることが多いからです。
「起死回生!」
言葉は、すごくかっこいいです。
しかし、世間は甘くはなく大抵の場合、「自爆◎◎」になります。

そういった視点から、今回のウクライナのクルスク侵攻を見てみます。
まず筋が悪すぎると思います。
現在不利な戦いをしている東部戦線から多くの強力な部隊を引き抜いてクルスク侵攻部隊を編成しています。
一番いい武器をこの攻撃部隊に集中しました。
それだけでなく砲弾・ドローン・ミサイルなどもクルスク侵攻部隊に優先的に分配しています。

つまり東部戦線の弱体化を覚悟して軍事リソースのほぼ全部をクルスク侵攻部隊に割り当てています。

つまりクルスク侵攻作戦が上手くいかない場合は、東部戦線ではウクライナ軍絶対不利の状況が生まれます。

今、クルスク戦線はどうなっているか❓
当初2週間くらいは、クルスク侵攻部隊の奇襲が成功してロシア領を荒らしまわりました。
しかし、クルスク原発や州都クルスク市への進撃は、ロシア軍にブロックされました。
ロシア軍は、重要目標への防衛ラインを建設して、ドンと来い!の構えです。
クルスク戦線は持久戦(=消耗戦)に移行しつつあります。ウクライナ軍の電撃作戦は、失敗に終わりました。
そしてロシア軍は、東部戦線から部隊を移動させずロシア国内の部隊で戦闘を継続しています。

こうなってしまうと東部戦線のウクライナ軍は、強力な部隊を引き抜かれ兵員数も少なくなり弱体化した状態で、以前と変わらないロシア軍と戦闘をしなくては、なりません。
加えてクルスク戦線優先で砲弾やドローン、ミサイルなどの供給は配給制になり絞られているようです。

その前提としてウクライナ参謀本部は、東部戦線を軽く見ていると思います。そういうと聞こえがいいですが、実質的には東部戦線の切り捨てです。

そしてその影響は、中部ドネツク戦線に大きく出ています。ほぼウクライナ軍の敗勢になっています。最初から半ば切り捨てる予定だったのだろうから、ウクライナ参謀本部は痛くないのかもしれません。

しかし、中部ドネツクを失う大きな不利益はすでに書いた通りです。
中部ドネツクから南部ドネツクを失い、更にはロシア軍は西のドニプロペトロウシク州へも進撃すると思います。

ドネツク州を失うことは、ドニプロ川東岸全域がロシア軍の攻撃対象になります。ドネツク州がロシア軍の西への進撃を防いでいた東部戦線最大の要塞と言えるでしょう。

ウクライナがクルスク戦線から得られるであろうメリットは、極めて少ないと言わざるを得ません。それすらなくなる可能性もあります。クルスク州からウクライナ軍が追い出されれば、大きな損失だけが残ります。

クルスク侵攻作戦はウクライナ軍の自爆作戦になる可能性が、今の段階から高いように見えます。

(2)ドネツク州のロシア軍の今後の予定
※これは、私の推測です。それを承知の上で読んでください。

戦況図
2024.08.31
侵攻919日目、ロシア軍がポクロウシク方面で最大4kmも前進を遂げる
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-919th-day-of-the-invasion-russian-forces-advance-up-to-4km-in-the-direction-of-pokrovsk/
これが最新の航空万能論の記事です。
他の戦場には触れません。

ポクロウシク方面でのロシア軍の攻撃方向は主に三つあります。
①デイミトロフМирноград~ポクロウシクPokrovsk
②セリダブSelydove(南の方の大きな市街地)
③主要道路E-50を超えて更に南を目指す

さすがに、いきなり①は攻撃しないと思います。
③は、主要道路E-50を補給路として使用するために必要ですから優先度は一番高いかもしれません。しかしあくまで道路使用が目的ですから、ある程度の緩衝地帯を設けたらそれ以上は、目先は優先度が低くなると思います。

ロシア軍の最大の目的は、①です。
それを実現するために②セリダブSelydove(南の方の大きな市街地)制圧を、最優先すると思います。
セリダブSelydoveの西には、それほど大きな集落はありません。ここから西北方向に進撃するとポクロウシクPokrovskの西に行くことが出来ます。
ある程度西に行った地点で北上すると、西のドニプロ市からくる補給のルートである鉄道路線と主要道路E-50を遮断することが出来ます。

こうするとデイミトロフМирноград~ポクロウシクPokrovskに西のドニプロ市から来ている補給を完全に遮断することが出来ます。
直接、デイミトロフМирноград~ポクロウシクPokrovskを攻撃するより補給路を遮断する方が、ウクライナ軍の抵抗も少なくロシア軍の損失も少なくて済みます。

だからロシア軍の最優先目標は、②セリダブSelydove(南の方の大きな市街地)だと思います。ここを制圧すると自動的にポクロウシクPokrovskへの補給も遮断できます。

①デイミトロフМирноград~ポクロウシクPokrovsk攻略は、その後だと思います。
そして②セリダブSelydove(南の方の大きな市街地)経由でポクロウシクPokrovskへの補給を遮断することは、同時に南ドネツクへの補給を遮断することになります。

ロシア軍の戦い方を見ていると補給路を遮断することを優先的にやって、それから目標攻撃を始めるケースが多いです。
これはバフムトでもアウデイーイウカでも同じでした。
損失を厭わぬ総攻撃を始めるのは、補給路を遮断してからです。補給が細くなったところを、数倍の人数を投入して一気に攻め落とします。

ウクライナの参謀本部はロシア軍と戦ってきているのですから、当然これを理解しなくてはなりません。
しかし、見ていると毎回同じようにロシア軍にいいようにやられて負けています。

今回は更にひどくウクライナ参謀本部は、自分でポクロウシクPokrovskへの補給路を放棄したのと似たような事をやっています。
わざわざ負けを速めているようなものです。
速く負けるためなら、それもいいでしょうが❓
戦争に勝つ意思があるのかどうかが疑わしいです。
単に馬鹿なだけかもしれませんが❓
ここまで来ると何をやりたいかが分かりません❓

2年以上、この戦争を見てくれば誰でも分かるようなことです。特別な知識も訓練も必要ありません。
地図を見て普通に考えれば、誰でも分かることです。
本当に不思議なウクライナ軍のクルスク侵攻作戦です。
色々へ理屈は並べていますが、何一つ実現していません。

単にクルスク州を大規模な精鋭機甲部隊で荒らしまわって得るものが何もないとすれば❓
おまけにその大規模な精鋭機甲部隊がクルスク州で壊滅するとすれば❓

意味が分かる人がいたら、是非コメント欄に書いてください。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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