「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナ紛争・東部戦線の状況<2023・3・26>

2023-04-10 17:53:38 | ウクライナ紛争
 

2023・3・26>ウクライナ紛争関連記事
https://kitanoyamajirou.hatenablog.com/entry/2023/03/26/213018

記事タイトルを時系列で見ると今月の前半とは、状況が変化しているのが、分かります。2月の最終週から3月第1週が最大の激戦で、このころはウクライナ軍の撤退の可能性も言われていました。

ロシア軍の最後の総攻撃が、3月15日前後の1週間くらいです。バフムト南郊外から大砲やロケット砲、航空支援を受けての大規模攻撃を仕掛けました。しかし、ウクライナ軍の防衛線を突破できずに撃退された模様です。おそらく、それがロシア軍の最後の大規模攻撃になると思います。ロシア軍の方も、1月から戦力を補充して攻撃を続けてきました。ウクライナ軍は、かなり郊外から戦術的後退をしながら消耗戦を戦ってきました。この間、ロシア軍が喪失した人員、装備、武器は膨大な量になると思います。

いかに、ロシア軍が数的優位にあろうと、この数か月間の損失は、攻勢に必要な戦力の減少を招いたと思います。雪解けの季節前の攻略を目指して、投入できるものは全て投入してきたと思います。それでも尚、ウクライナ軍の防衛ラインを突破できませんでした。

これ以上、この方面に投入できる戦力はないと思います。ウクライナ軍の現地指揮官は、それを見定めているところでしょう。ロシア軍が消耗しきったところで、反撃作戦を開始すると思います。少なくとも、ウクライナ軍が撤退する状況は、もう生まれないと思いました。去年の8月からの長い戦闘でしたが、ウクライナ軍は、バフムトの防衛に成功したと思います。バフムトの戦闘に戦術的な意味は、既になくなり、双方プライドをかけた戦いだと思います。

どっちが勝っても大した意味がありません。勝ったほうが精神的な優位を得ると言うだけのことです。しかし、その精神的な優位をウクライナ軍は、重視しました。それには犠牲も伴います。それが正しかったのかどうかは、今後の戦局の推移が証明します。これは、部外者には分かりません。少なくとも、ウクライナ軍が防衛するために最大限の努力をし、防衛に成功しつつあります。

他の前線でも大きな動きは、ありません。南部はロシア軍が防御態勢を取っていて、最初から南部ではロシア軍の攻撃は、ありません。

東部で現在、攻撃の激化が伝えられているのは・
ドネツク州・アウディーイウカです。
ドネツク州の州都ドネツク市の市街のはずれから北10kmくらいに位置するウクライナ軍の拠点です。
バフムトの西20kmくらいのところにウクライナの拠点都市のコンスタンチノフカが、あります。そこからルートH-20を南に40kmくらい下ると、アウディーイウカがあります。

その北東方向20km位の位置にロシアの支配するゴロルフカが、あります。丁度、双方の勢力の境界線にあるウクライナ側の軍事拠点で、ドネツク市とゴルロフカの防御を考えるならロシア軍は、何としても制圧したいでしょう。つまり、バフムトよりずっと南にあるウクライナ軍の拠点を攻撃し始めたということは、ロシア軍が防御を考え始めたという事だと思います。

位置関係からみると、ロシア軍はドネツク市近郊のウクライナ軍の拠点は放置して、ゴルロフカの北20km位の位置にあるバフムト(アルチェモフスク)を半年以上、攻撃し続けてきました。
それは、ドネツク州のウクライナ側の拠点都市であるクラマトルクスやスラビャンスク方面に進撃し占領するためです。バフムト(アルチェモフスク)から30km位、北上するとスラビャンスクがあります。

つまり、攻撃の方面をバフムトからアウディーイウカに移しつつあると言うことは、ロシア軍は攻撃より防御を優先し始めたと言うことです。

もう一つ激戦となっているのは・・
ルハンスク州ビロホリウカ村(Birohoriuka)です。去年のハルキウ州奪還作戦の時に、ウクライナ軍はここまで奪還しました。去年の因縁の激戦地であるルハンスク州セベロドネツクとリシチャンシクの市街地の外れから西へ10km位の位置にある村です。北西20kmくらいの位置にクレミンナがあります。

ルハンスク州北部防衛のためには、クレミンナやビロホリウカ村(Birohoriuka)は、奪還しておきたい場所なのです。

この付近にウクライナ軍の拠点が残ると、ルハンスク州北部防衛が(ロシアにとって)危うくなります。

クレミンナから北上するとロシアの拠点のスバトボがあります。現在、ロシア軍はスバトボを足掛かりにクピャンスクに攻勢をかけています。クレミンナをロシア軍が制圧できなければ、今度は逆にスバトボがウクライナ軍から圧力を受けるようになります。クピャンスクへの攻勢も不発に終わるでしょう。

ビロホリウカ村(Birohoriuka)に攻勢を強めているということは、南にあるルハンスク州の州都に近い方を優先している事になります。

そして、ビロホリウカ村(Birohoriuka)のウクライナ軍の拠点を奪えなければ、ドネツク州の要衝であるリマンを攻撃することは、出来ません。ドネツク州を北から攻撃する要が、リマンです。ここから、ロシア軍から見ればドネツク州北部もハルキウ州西側・南部も攻撃できます。扇の要のような重要な都市です。リマンを制したものが、その後の戦いを優位に進められます。現在、リマンを制圧(奪還)しているのは、ウクライナ軍です。攻めるのと守るのは、立場が逆でリマンを奪還したウクライナ軍は、ドネツク州北部の守りを固めることが出き、ルハンスク州北部への攻撃において優位であることになります。

ウクライナ紛争のように広い面積で行われる戦争に、偶然やマグレの要素は、少なくなります。部分的な偶然やマグレは、全体では大きな影響はありません。

全体的な作戦計画や、それに基付いた戦術が必要です。
その意味で優れている方が、結果として勝つでしょう。
どちらが、そうであるかは去年から戦争の推移を見ていると明らかだと思います。長い戦いになると、非合理は合理に負けます。それは、必然です。長くなるほど、偶然の要素が少なくなります。

ロシア軍の主力は、攻めるための攻撃から防衛的攻撃に移行しつつあるように見えます。

ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/



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