蒲田耕二の発言

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小津安二郎

2018-10-11 | 映画
昔から小津の映画が苦手である。テンポの緩さは時代が違うから仕方がないとしても、演出の意図がさっぱり分からん。

それでもなんせ、現役時代から不動の名声を誇ってたし、没後は海外でも評価うなぎ登りの巨匠だから、どっかいいとこがあるんだろうと思って放送されるたびに観る。観るたびに退屈する。

昨日は『お茶漬の味』で、なんでオレこんなに辛抱してんだろと自問自答しつつ最後まで辛抱した。辛抱すればカタルシスが来るかと思って。来なかった。

海外出張する夫が飛行機の都合で一晩だけ出張を延期する。すると、夫とケンカしていた妻が突然、愛想よくなって二人でお茶漬けを食べる。何がなんだか、さっぱり分からん。

当時は海外へ行くなんていうと、ひょっとしたら今生の別れになるかも知れない大ごとだったんだろうけどね。

しかし、お嬢さま育ちのはずの妻に品がなくて、どう見てもキャバレーの女給上がりにしか見えないのが困る。

それよりもっと困るのが、俳優たちの妙にギクシャクした演技。棒立ちでセリフをいい、言い終えてからノソノソ動き出すあたり、学芸会である。黒澤や成瀬の映画では、同じ俳優がこんな演技をしてないから、小津の指導だろうと思うが。

小津信者に言わせると、その不自然さこそ小津の美点なんだそうだけど、何がいいんだか。

今日観た『早春』は、もう少しマシだったが、やっぱり夫とケンカしている妻が、夫が田舎の村へ転勤すると急に機嫌を直して田舎へやってくる。めでたしめでたし。何がなんだか。

夫が浮気したという、ただそれだけの話で2時間半の映画を作ってしまうところが巨匠? 黒澤作品のように、ぎっしり密度の濃いドラマと対照的な作風が高評価の所以だったのかね。

大体、登場人物が盛んに暑い暑いと汗を拭くのに、『早春』とはどういうこっちゃ。

小津作品でオレが比較的に好きなのは、山本富士子がおきゃんな京娘を軽妙に演じる『彼岸花』と、子供たちがオナラをこきまくる『お早よう』だけど、世間ではこの2作の評価は低いらしい。そういえば、小津作品の中ではワリとドラマ性が強いもんな。

それにしても、昔の日本女性って、みんな顔がデカかったんだね(淡島千景を除いて)。

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