6月4日の朝日新聞の身の上相談です。
●相談者 主婦 50代
私は50代の主婦です。
3人の子供がいて、上の2人はすでに家を出て勤めており、いまは大学生の息子と夫の3人暮らしです。
この息子のことで、悩んでいます。息子は今で言うところの「女装男子」のようで、部屋のクローゼットには女性用の服があります。それを私が知っていることを息ログイン前の続き子は知りません。
彼女もいるし、今どきはそういうこともありかな、とは思うのですが、女性物の下着もあってどうやら毎日それをつけているようなのです。
洗濯かごには、はいてもいないトランクスを毎日出して、お風呂のときに、はいている下着を洗って部屋に干しているようです。私はそれを見たときは、死んでしまいたいと思うほど悩みました。
でももしそれを問い詰めたら、家族崩壊になってしまいそうだし、他人なら「色々な人がいるね」ですむのですが、わが子となると私の育て方が間違ったのではないかとか、犯罪者になるんじゃないか、などと考えてしまいます。
そしてどうやら、そういうものをネット通販で買っているらしくて、軽い箱が届く度に思い悩んでしまいます。息子のことを気持ち悪いとさえ思ってしまいます。毎日が不安で仕方ありません。息子のことをどういうふうに考えたらいいか、教えてください。
これに対して、上野千鶴子先生の回答です。
○回答者 社会学者・上野千鶴子 見て見ぬフリ続けるのが大人の知恵
息子さんが女装趣味だからって、何もお母さんが死ぬ理由はありません。息子さんも自分の趣味が家族にも世間にも受け入れられにくい変わった趣味であることを自覚して、はいてもいないトランクスを毎日洗濯に出すとか、下着をお風呂で洗って部屋で干すとか、涙ぐましい努力をしておられるのですねえ。いじらしいです。それがバレたのは、あなたが息子の部屋に無断で入ってクローゼットを開けたせい? そちらの方が問題ですよっ! クローゼットとは日本語では押し入れのこと。隠したいものを隠しておく場所。親子の間にだって、夫婦の間にだって隠したいものやことはあるでしょうに。
もし息子の部屋の押し入れから出てきたのが、AVやポルノ雑誌だったらどうですか? 恋人のハダカの写真だったら? それも同性の恋人だったら? ロリコンの幼女のヌードだったら? ここまで来ると犯罪です。チャイルドポルノは制作も売買も、持っているだけで違法ですから。
ひとまず息子さんの奇妙な趣味が、犯罪でも不法行為でもないことにほっとしてください。息子さんの趣味は誰も傷つけませんし、誰にも迷惑をかけません。幼女を誘拐するわけでもなく、ストーカー行為をするわけでもなく、相手のいない脳内妄想は平和なものです。女性下着はその小道具ってだけで。しかも通販で手に入れるなんて、どこかの国会議員みたいに下着泥棒の疑惑もないですし。セクシー下着の通販マーケットが成り立っているのは、それだけの需要があるからです。その需要のなかには男性の女性下着愛好家もいます。通販会社はそれに配慮してお届けボックスに商品名や会社名を書いてないはず。息子さんの趣味は少数ではありますが、決して特殊ではありません。
息子に「見たわよ」と詰め寄る前に、一呼吸置いてこの欄へ投稿した賢明なあなたのやるべきことは、見なかったふりをすること。女装趣味の男性の多くは異性愛者であることがわかっています。いずれ息子さんは、変わった趣味を受け入れてくれる女性を伴侶に選ぶか、さもなくば家庭内でも死ぬまで隠し通すことでしょう。息子さんのけなげな努力を評価してあげて、知らぬフリを続けるのがオトナの知恵というものです。「家族崩壊」が起きるとしたら、息子さんがそんな趣味を持っているから、ではなく、母親が大学生の息子のプライバシーにずけずけ立ち入る配慮のなさによって、でしょう。
>息子さんの趣味は誰も傷つけませんし、誰にも迷惑をかけません。幼女を誘拐するわけでもなく、ストーカー行為をするわけでもなく、相手のいない脳内妄想は平和なものです。(中略)息子さんの趣味は少数ではありますが、決して特殊ではありません。
私もこの意見に同意します。
女装は犯罪ではありません。
そして特殊な趣味ではないのです。
上野さんのようにきちんと論理立てて説明していただけるとほっとしますね。
●相談者 主婦 50代
私は50代の主婦です。
3人の子供がいて、上の2人はすでに家を出て勤めており、いまは大学生の息子と夫の3人暮らしです。
この息子のことで、悩んでいます。息子は今で言うところの「女装男子」のようで、部屋のクローゼットには女性用の服があります。それを私が知っていることを息ログイン前の続き子は知りません。
彼女もいるし、今どきはそういうこともありかな、とは思うのですが、女性物の下着もあってどうやら毎日それをつけているようなのです。
洗濯かごには、はいてもいないトランクスを毎日出して、お風呂のときに、はいている下着を洗って部屋に干しているようです。私はそれを見たときは、死んでしまいたいと思うほど悩みました。
でももしそれを問い詰めたら、家族崩壊になってしまいそうだし、他人なら「色々な人がいるね」ですむのですが、わが子となると私の育て方が間違ったのではないかとか、犯罪者になるんじゃないか、などと考えてしまいます。
そしてどうやら、そういうものをネット通販で買っているらしくて、軽い箱が届く度に思い悩んでしまいます。息子のことを気持ち悪いとさえ思ってしまいます。毎日が不安で仕方ありません。息子のことをどういうふうに考えたらいいか、教えてください。
これに対して、上野千鶴子先生の回答です。
○回答者 社会学者・上野千鶴子 見て見ぬフリ続けるのが大人の知恵
息子さんが女装趣味だからって、何もお母さんが死ぬ理由はありません。息子さんも自分の趣味が家族にも世間にも受け入れられにくい変わった趣味であることを自覚して、はいてもいないトランクスを毎日洗濯に出すとか、下着をお風呂で洗って部屋で干すとか、涙ぐましい努力をしておられるのですねえ。いじらしいです。それがバレたのは、あなたが息子の部屋に無断で入ってクローゼットを開けたせい? そちらの方が問題ですよっ! クローゼットとは日本語では押し入れのこと。隠したいものを隠しておく場所。親子の間にだって、夫婦の間にだって隠したいものやことはあるでしょうに。
もし息子の部屋の押し入れから出てきたのが、AVやポルノ雑誌だったらどうですか? 恋人のハダカの写真だったら? それも同性の恋人だったら? ロリコンの幼女のヌードだったら? ここまで来ると犯罪です。チャイルドポルノは制作も売買も、持っているだけで違法ですから。
ひとまず息子さんの奇妙な趣味が、犯罪でも不法行為でもないことにほっとしてください。息子さんの趣味は誰も傷つけませんし、誰にも迷惑をかけません。幼女を誘拐するわけでもなく、ストーカー行為をするわけでもなく、相手のいない脳内妄想は平和なものです。女性下着はその小道具ってだけで。しかも通販で手に入れるなんて、どこかの国会議員みたいに下着泥棒の疑惑もないですし。セクシー下着の通販マーケットが成り立っているのは、それだけの需要があるからです。その需要のなかには男性の女性下着愛好家もいます。通販会社はそれに配慮してお届けボックスに商品名や会社名を書いてないはず。息子さんの趣味は少数ではありますが、決して特殊ではありません。
息子に「見たわよ」と詰め寄る前に、一呼吸置いてこの欄へ投稿した賢明なあなたのやるべきことは、見なかったふりをすること。女装趣味の男性の多くは異性愛者であることがわかっています。いずれ息子さんは、変わった趣味を受け入れてくれる女性を伴侶に選ぶか、さもなくば家庭内でも死ぬまで隠し通すことでしょう。息子さんのけなげな努力を評価してあげて、知らぬフリを続けるのがオトナの知恵というものです。「家族崩壊」が起きるとしたら、息子さんがそんな趣味を持っているから、ではなく、母親が大学生の息子のプライバシーにずけずけ立ち入る配慮のなさによって、でしょう。
>息子さんの趣味は誰も傷つけませんし、誰にも迷惑をかけません。幼女を誘拐するわけでもなく、ストーカー行為をするわけでもなく、相手のいない脳内妄想は平和なものです。(中略)息子さんの趣味は少数ではありますが、決して特殊ではありません。
私もこの意見に同意します。
女装は犯罪ではありません。
そして特殊な趣味ではないのです。
上野さんのようにきちんと論理立てて説明していただけるとほっとしますね。