(2018.8.24 受粉した“ビナンカズラ”の実が順調に育っています。 大きな画像)
夏の盛りになってから、わが家の“ビナンカズラ(美男葛)”が次々と開花し、順調に実を結んでいます。
“ビナンカズラ”の正式な和名は【サネカズラ(実葛)】。マツブサ科サネカズラ属の常緑蔓性木本ということです。その昔、このツルに含まれる粘液を、武士が整髪料として使用したことから“美男葛”と名前がついたのだそうです。
(2014.9.15 “ビナンカズラ”の花と実:会津若松市の御薬園にて)
“ビナンカズラ”を初めて見たのは会津若松市にある「御薬園」でした。肉厚の葉っぱがとても綺麗で、ちょうど白くて丸みがかった花をつけていました。
そしていまから2年前、鉢植えになった小さな苗木が赤い実をつけていたのを偶然園芸センターで見つけ買ってきたのです。それが、今年はここまで大きくなりました。
ところが昨年、花は咲いたのですがただの一つも実がなりませんでした。“ビナンカズラ”は雌雄異株(しゆういしゅ)だというのですが、雌雄同株(しゆうどうしゅ)のものも決して珍しくないそうです。ちなみに上の写真では左が雄花、右が雌花です。わが家の株は両方咲いていますから“雌雄同株”ということです。それが、昨年はどうして実を結ばなかったのか。それは株が小さくて花数が少ないために、雄花と雌花の咲くタイミングが全く合わず受粉ができなかったためだと分かりました。
花びらを取ってみました。赤が雄花、白が雌花です。そこで今年はネットでいろいろ調べて人工的に受粉させてやることにしました。本来なら受粉を担うのは虫や風なのでしょうけれど、放っておいてはなかなか綺麗な実にならないようなのです。
『サネカズラに実を付けたかったら早起きしろ』と誰かが言っていました。たしかに“ビナンカズラ”の花は早朝から咲いているんです。しかも、雄花は一日でダメになってしまうようなことも書かれています。赤い雄花にある白いスジに見える部分が花粉です。指で赤い部分をはじくとポッと花粉が飛ぶのが分かります。
早起きは得意中の得意。ピンセットで雄花をちぎって花びらを取り除きます。そして、雌花の中心に近い邪魔な花びらを取り除いて直接雌しべにつけてあげました。
“ビナンカズラ”の実は「集合果」というのだそうです。『肥厚して肉質になった花托(かたく)のまわりに球形の槳果(しょうか)が着生したもの』と説明されています。
上手に受粉できないと、このようにまばらな実の育ち方をします。
これぐらいだったら、まあまあというところでしょうか。かくして、毎朝早起きをしては小さな虫や風になって、“ビナンカズラ”の受粉作業に勤しんでいるというわけです。赤く実が熟したころに、またご報告できたらと思っています。
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花はどちらかといえば小さくて控えめな感じです。ただ、その実が赤く色づくとインパクトがあります。
“ワイフ君”の実家でサネカズラの果実酒というのを見ました。飲みはしなかったのですが、滋養強壮に効果があるとのようです。わが家ではあくまでも観賞用です。
“なでら男さん”のおっしゃるとおりで、植物にはわたしたちの常識をはるかに超えた生態を有するものが沢山ありますよね。カタクリと蟻にはそんな興味深い関係があるんですね。
ヒメギフチョウの食草はカンアオイ属のウスバサイシンという植物のようです。“なでら男さん”のおっしゃるように地際に花をつけるんですね。カンアオイはラフレシアのような腐臭を出してハエを使うようなことも書いてありましたが、ウスバサイシンも同様なのでしょうか。
オーストラリアに自生するハンマーオーキッドという蘭は、メスのコツチバチに似せた花をつけ、交尾しに来たコツチバチのオスに花粉を運ばせるのだそうです。
(参考動画)https://www.youtube.com/watch?time_continue=109&v=yFftHXbjEQA
自然とは不思議なことの“集合果”のようです。