父は明治生まれです。働き者で正直な人でした。優しい人で子煩悩でした。
うるさいことは、咳に対してです。すぐお医者さんに行かされます。昔はすぐ結核を連想したのでしょう。
家の中は静かに歩けどたどた歩くな、重いものをどさっと置くな、軽いものは
さっと取るな静かに取れなど、今でも忘れません。
お茶のお稽古に行って、先生に父と同じようなことを注意されました。茶道の心得などない
人でしたが、日常で学んでいたのですね。
母が教えてくれた洗濯物の畳み方も、袱紗さばきと同じでした。
私はどれだけ息子に教えたかしら、息子たちは覚えてくれているかしら。
その頃私は父や母と同じように遠くに旅だっていることでしょう。
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