続強子の部屋

思いつくまま、気の向くまま、書いています。

尾頭付き

2018-10-10 12:54:35 | うれしいこと
小学生の時半年間入院していた父が退院しました。

うれしい退院でした。父に付き添って病院に泊まり込んでいた母が

家に帰ってくることもうれしいことでした。

父は胃の手術をしました。後で分かったことですが、胃がんでした。

とにかくうれしくて、ウキウキしていました。

すぐ上の姉がこっそり、晩ご飯はおかしら付きだよ、と言いました。

おかしら付きは鯛?まさか・・・

お膳に出てきたのは、サンマの干物でした。ご飯は麦ご飯にサツマイモ入り。

でも当時としてはご馳走でした。母はおめでたい日だから尾頭付きよ

みんな楽しくお祝いの尾頭付きを食べました。

父のお皿には煮魚、軟らかい白いご飯でした。

父は強子サンマ美味しそうだな、お父さんのと取り替えようか。

サツマイモご飯もいいな、

私、うん  途端に母の声いけません 

父も私もションボリ、みんなでお祝いのご飯の最中にその頃の

お決まりの停電がありました。

電気がついたり、消えたり、いつも停電に備えてろうそくがあるので

みんな平気でした。

父は一年後の寒い朝旅立ちました。

家にで療養しているとき、お茶の水の医科歯科大学から若い

先生が往診に来て下さっていました。青い背広を着たA先生でした。

今では考えられないことでした。

後で母に聞いたのですが、お礼にその当時貴重なお米をお宅に

届けたそうです。昔々の食糧難のお話です。