食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『回顧録、退院』

2013年02月03日 18時28分47秒 | 回顧録

10月31日、26日間の手術入院を終え無事に退院することになった。病院では喉の

保湿のための吸入をしていたが、家にそのようなものはないので家電店に寄り、加

湿器を買いその補助とした。この頃から声が出にくくなり、最初はかすれ声程度だ

ったが徐々に酷くなっていき、最悪の時は絞り出さないと声にならないほどになっ

た。手術で声帯を司る神経に影響が出るもので食道手術の典型的な後遺症だが、

時が治癒してくれる代物らしく、先生も声が変でも様子を聞こうともしなかった。電

話で話をするのが一番辛く、妻には声が出ないからと断らせていた。

こうした後遺症の説明は詳しくされており、自分では理解しているつもりでも、ふと

『私の場合、こうした例と違うものではなかろか?』と心配が頭をもたげることもあっ

た。徐々に悪くなっていくのはよく分かっていたが、徐々に回復の方向に向う兆候

は何一つとしてなく、最悪の状態になってから、症状はフラットを保ったままだった。

1か月ほどしたある日、喉でえへん虫が『エヘン』と言わせたら急に、ややかすれ声

にまで戻り、それからは直ぐに回復してしまった。結局、何の治療もなし。

退院して久しぶりの我が家は格別だった。病院と大きな違いは洋式生活から一挙

に和式生活に戻ったことで、季節的には晩秋だから朝晩は少し冷える。手術を受

けた身体にはこの程度の寒さでも堪えるもので、温風ヒーターのお世話になり、火

の気のない炬燵に足を突っ込んでいた。あばら骨は相変わらず痛いままで、寒さ

は痛さを増大させ、特に朝の内は疼(うずく)ような痛みを伴った。この頃に、やっと開

胸手術のことが分かったのである。

妻に『この辺りが痛い』と見て貰ったら、『手術の痕のようなものが・・・』

先生は何度も説明されたであろう、同意書にも署名捺印されているのに、当の本

人たちは結果として全くではないが、理解していないとは・・・・

これから後に、開胸手術はあばら骨の間にジャッキのような物で云々・・・について

も知ることになり、やっと治療の全貌を理解。それにしても程の悪さは、どう言い訳を

してもし切れないほどだ。私は方法論や納得性を求めてはいなかったし、一刻も早

く癌を取り除いて貰えばそれで良かった。そうすれば食べることの苦しみから確実

に解放されると信じていた。温めるといいことは分かっていたので、朝風呂を沸かし

て貰っていたが、自分でも自由に動けるから町内の温泉施設に出かけるようにした。

ゆっくりと身体を温めると嘘のように痛みが引いていく。自宅の風呂と温泉の利用で

徐々に痛みがとれて和らいでいったが寒い間の痛みは引かず、春になり温かくなっ

て本格的な回復となった。


『原発は毒か薬か』

2013年02月03日 18時26分09秒 | 日記

毒は不思議な魅力を持っているから悪いと知りながらも、その魅力に取りつかれて

しまうと、止めることも絶つこともできないもののようだ。麻薬がいい例だ。誰もがその

害を知っている。その効果も知っている。使い方によっては毒にも薬にもなる。

毒と原発はよく似ている。核を利用した原発はエネルギー効率のいい発電をする。

火力の場合、主に化石燃料を使うから相場価格の変動により、安価で安定的な発

電を実現するためには、飛躍的な熱効率の改善がなければ実現は難しい。その

点、『原発』は一度、設備投資すれば低いランニングコストで安定的な電気を作る

とされている。しかし、シビア事故になると人の手で制することが出来なくなる。

福島は今でも被害救済は進まず、理不尽に故郷を追い出された方々は,ご苦労の

真っただ中におられる。福島の事故はとんでもない被害を引き起こしたが、どうにか

冷却することに成功した。もし、冷却に失敗していたらその影響は計り知れない。炉

心近くに人が行けないから、ただ遠くから眺めているだけの状態になり、その間、放

射線はどんな単位で放出され続けるのか予測もつかないのだ。福島原発の今だけ

でも、こんな困難な状況にあることを考えれば、原発は強烈な毒の要素を持つと

言える。この世界に足を入れると、これ以外の発電方式の研究や開発には目がいか

ないようだ。あのエネルギー大国のアメリカでさえ、20年以上も前に数kmにも及ぶ風

力発電の風車があったり、決して先進国とはいえないトルコでは大規模な地熱発電、

ドイツはソーラー発電が普及している。いずれの国の電源開発状況の詳しいことは

分からないが、日本のような形とは異なる。原発一本に向かった為、ソーラー発電の

普及補助事業も中途半端な形になり、政府も支援しなくなっている間に、諸外国は

普及に力を入れて成果をあげている。ソーラー技術は世界一などとほざいているが

自国では普及させることをしてこなかったから、技術的にも追いつかれそうになり、家

電部門のみならず、この分野でも後進国の仲間入りになりかねない。

別の見方をすれば発電の主力を原発に頼ってしまったツケは大きいということにな

る。財界は原発の電気は安いから、これなくしては国際競争に勝てないなどと言って

いる。電気を必要とする工場の大半は国外に移転させてしまっているではないか。

次々と早期退職者を募り、次々と国内の工場を閉鎖させているのは、何処の国の経

営者だ。どこの工場に電気が必要なんだと聞いてみたい。もう一つの毒の要素は『政

官財』の癒着構造は壊さないよう、表紙替えをしながら裏利益が温存され続けるので

はないかという疑い、種々の改革、透明性の説明などあるものの、どれもこれも信頼

に値しないものばかりだ。

そうした構造の払拭にと、目玉商品『原子力規制庁』は早速に『癒着ぶり』をご披露な

さった。やはり毒は毒を以って制することがベストなのか?


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