景気は気、実体はなくても気だから、それにつられて勘違いして上昇機運に乗ればい
い。株取引で『気配』という言葉ある。『売り気配』『買い気配』投資家が買いそうだとか、
売りそうだとかの表現でれっきとした業界用語のようだ。
ここのところ株価が上昇、円安との絡みでこれもコロンブスの卵?
本来ならば企業業績が改善していくと投資家が株を買い、株価が上昇していく。海外
への影響のある輸出企業が好調で、日本が世界から羨ましがられるほどになると円高
になり、市場において外貨との調整が為される。ところが日本は貿易収支でも赤字に
陥るほどの二流国になりかかっているのに、市場とやらは、超一流並みの円の評価だ
った。日本経済は何ら変わっていないのに外国為替は円安方向に向かっている。企
業は輸出に有利と歓迎、輸入価格が原価を圧迫するからと憂慮、私たちの損得はど
っちに転ぶのだろうか。原発に反対、燃料費アップで電気料金値上げ・・・・原発賛成、
これも円高、円安の一コマ。一方の株価も上昇を続けており、どの辺りまで回復するの
か専門家でも意見が分かれている。株が上がっても社員には直接的な恩恵はない。
また最近の企業の姿勢として業績が上がれば株主優先のようにも見える。
昔からよく言われてきた『会社は従業員のものか、株主のものか』のフレーズは『企業は
日本のものか外国のものか』に変わってしまったのではないかと思っている。
人件費が安いからと国内の工場を閉鎖し、中国を始めとする近隣諸国に移転し、日本
企業の製品の中からMade in Japanを探すのは難しい。
私は出来る限り日本企業の製品を使いたいと思っているが、日本企業の製品を買った
ところで儲けたお金が日本国内に還元されない形になっているから、日本企業の製品
を使う理由などないことになった。極論を言えば大手企業は本社の管理部門と国内向
けの販売部門の人間を養うだけの企業になり、雇用の大きな製造部門は排除してしま
った。つまり私に言わせれば、日本企業とは名前ばかりで社会的な責務を持たない無
国籍企業と同じだ。悲しいことではあるが、日本企業の製品を優先的に使うための理由
を模索しなければならないではないか。国内で雇用を生まない大企業の存在意義を、一人の
日本人として見た時、どのような想いが浮かぶのだろうか。