古森病院@福岡市博多区です。
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確認せずに死亡診断書作成 医師法違反容疑で書類送検
記事:共同通信社
提供:共同通信社
16/02/05
No:16/02/05
実際に確認をせずに死亡診断書を交付したとして、三重県警生活環境課は5日、医師法違反の疑いで、同県名張市の男性医師(73)ら3人を書類送検した。
同課によると、医師は社会福祉法人東海宏和福祉会が名張市で運営する特別養護老人ホーム「名張もみじ山荘」の嘱託医。同じ施設で働く36歳と48歳の女性看護師も書類送検した。医師は「体力が衰え、夜間の診察ができなくなったため、事前に診断書を作成し、家族に渡していた」と供述している。
書類送検容疑は昨年3月に90代の女性、同年6月に80代の男性の死亡診断書を死亡時の診察をしないまま家族に交付していた疑い。
看護師は医師の指示を受け、診断書に日時を記入していた。「死亡診断に医師が立ち会わないのは違法だと分かっていたが、施設の存続のためにやった」と話している。
医師は2011年5月にもみじ山荘が開設して以来、嘱託医を務めていた。県警は、もみじ山荘は診断書交付に関わっていないと判断した。
もみじ山荘の田中慎二(たなか・しんじ)施設長は「詳しいことが分からないため、コメントできない」と話している。
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白衣で医師装い、臨終立ち会う…死亡診断書問題
その他 2016年4月29日 (金)配信読売新聞
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埼玉県春日部市の特別養護老人ホーム施設「あすなろの郷」で医師の不在時に死亡診断書が作成されていた問題で、施設職員が白衣を着て医師を装い、女性入居者(当時101歳)の臨終に立ち会っていたことが28日、県などへの取材でわかった。
県は「遺族をだます行為。常態化していたら、大きな問題だ」として、経緯を詳しく調べ、厚生労働省に報告する。
県によると、3月18日から危篤状態だった女性が同20日に死亡した時、施設に勤務する介護福祉士が白衣を着て、最期をみとっていたことを、県や春日部保健所が今月26日に行った聞き取り調査で施設側が認めた。
施設を運営する社会福祉法人「あすなろ会」の斎藤美嗣専務理事は、読売新聞の取材に「職員が遺族の前で女性に聴診器をあて、脈を測るなどして死亡を確認する医師を装った」と説明。その場に立ち会っていた看護師は遺族に「(担当の嘱託医と)別の医者を呼んだ」とウソを説明しており、施設長が報告を受けたのは、翌21日だったという。
女性の死亡を巡っては、施設の嘱託医が3月18日、日付を空欄にした死亡診断書を施設に渡しており、女性が死亡した後、この看護師が死亡年月日と発行年月日を記入していたことが、県などの立ち入り検査で判明。医師法では、死亡診断書の作成は、医師以外できないと定められており、県は、嘱託医から事情を聞くことも検討している。
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個人的にはこの医師と看護師が今後どのような刑事処分になるのかが興味があります。
こういう事例は今でも存在していると思われること(おそらく今回明るみに出たのは
内部告発によるものでしょう)、今後増えることが予想されます。
当院は医師が常駐しているので 今のところ関係ない話ですが、
死亡診断書は、死亡時に必ずしもリアルタイムに作成される必要はありません。
医師は死亡「確認」の時間を記入すればよいからです。
実際の死亡時間は看護記録に記載しておけば済むことです。ご家族には入所時に了承を取っておくことが必要でしょう。
翌朝まで待てばよかったのではないか(次の日が休日とか連休中とか正月休みとか盆休みとか真夏とかいう可能性はあるものの)、
一晩くらいならそうご遺体も痛まないでしょう。
仕方がないので警察に介入してもらえばよかったのではないか(施設側も警察も嫌がるでしょうけど、結局違法行為に走ったら
警察の出番になるわけですから・・・)
という気がしないでもありませんが・・・。
こういう場合に 苦肉の策で、危篤の際は看取り希望対象者であっても
救急車で救急病院に搬送している例もまったく珍しくありません。ただ、救急病院に搬送する以上
治療を行う必要があり、駆けつけたご家族が「治療は希望しない」と言われた場合
「じゃあなんでうちの病院に来るんだ!!搬送を断れ!!」と過労している救急医に怒鳴りつけられたという例も
よく聞きます。救急医の言い分はご尤もです。一方で嘱託医は常勤医ではないのにも拘わらず、いかなる時も呼ばれるとなると
24時間365日縛られることになり、引き受け手がいなくなるものと思われます。
こういう場合、一体だれが悪いんでしょう?
一方で、死亡診断書は死因の統計資料として使われること、
死因が外因死か内因死か 犯罪の有無にかかわる重要なことであり、
内部で勝手に処理することが好ましくないことは確かです。
今回は施設ですが、今後 在宅でも同様の事例が報道されるように
なることは想像に難くありません。
その辺の制度設計をどうつけていくのかも今後の課題と思われます。
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