夢の入口(4)

2022-03-05 22:18:42 | 童話
『僕の持っている携帯電話は録音機能があるから、今度はこの携帯電話を持って行って、夢の入口が分かった時に録音しようよ。』
『うん、良い方法だね。』
その夜、向うから友達が携帯電話を持ってやって来た。
『やぁ、また夢の中で会ったね。』
『僕は、物置の夢の入口から入って来たけれど、君はどこから入って来たの?』
『僕は2階に上がる階段の下の夢の入口からだよ。』
『よし、録音するよ。夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。』
『録音できたかどうか聞いてみようよ。』
『そうだね、録音されていないと困るからね。』
『夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。』
『わぁ、録音されている。』
『今度は大丈夫だね。』
『二人とも夢の入口を録音できたのを確かめたので、夢から出るよ。』
そして、目がさめて、携帯電話の録音を聞いてみた。
『グウ~、グウ~、グウ~。』
『あれっ、お父さんのイビキだ。』
『本当だ、おじさんのイビキだ。』
『おかしいなぁ、イビキ以外は、何も聞こえないや。』
『そうだね、何も聞こえないね。』

今は、自分達の家で二人別々に寝て、夢の入口を探している。夢の入口が見つかったら教えあうことにしているが、二人とも入口はまだ見つかっていない。

おしまい


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