時間の番人(2)

2016-09-30 21:30:29 | 童話
学校でお昼ごはんを食べている時に急に暗くなって、その次に明るくなったので、気が付いたら僕は家でお昼ごはんを食べていた。

『あれっ、ここは学校じゃないんだ。時間が進んだのか後戻りしたのかなぁ?』
『ねぇお母さん、今日は何曜日なの?』
『何言っているの、日曜日だから、お昼の12時に、あんたが家にいるでしょ。』

『そうか、時間が進んだんだ。だけれど、夜の12時でないのに、どうして急に時間が進んだのかなぁ。そうか、日にちが変わるのは、夜の12時だけれど、時間はずっと続いているので、夜の12時でなくても、時間は変わっているんだ。』

時間は何時なのかには関係なく、いつも変わっているので、時間を探すのは、いつでもできるのが分かったので、今度は、どこで探すのかを考えた。

『時計の有る部屋では、何も変わらなかったので、今度は時計の無い部屋で探そう。』
僕は時計の有る部屋で時計を見てから、時計の無い部屋に行ってから、また時計の有る部屋に戻って時計を見た。すると、隣りの部屋なのに、時計は5分進んでいた。
『あれっ、 おかしいなぁ、もう5分間もたっている。』
もう一度、隣りの部屋へ行って戻って来ると1分しかたっていなかった。
『どうして同じでないのだろう? 時計がこわれているのかなぁ?』
だけれど、そのあと何度やっても1分だった。
僕は外で時間を試してみることにした。
家を出る時に時計を見て、公園に行って帰って来た時に時計を見たら10分たっていた。何回同じ事をしても、9分から11分の間だった。

時間の番人(1)

2016-09-29 21:02:27 | 童話
紙に書いた線は長さだけの世界で、写真や絵は 縦と横の世界。
そして、メロンや家や山は縦と横と高さのある世界だよね。
僕達の体もそうだよね。
今年の身体検査の身長は、去年の身体検査の身長より高くなっているよね。

あれっ、去年と今年の身長はどうして変ったのかなぁ?
たくさんご飯を食べて、たくさん運動をしたからかな?
だけれど、今年の身体検査は去年の身体検査から1年たったよね。
だから1年たったから身長が高くなったのもあるんだよ。

去年と今年の間の1年間が時間なんだ。
そう、昨日と今日の間の1日も時間なんだよ。
だけれど、時間は進むだけで後戻りしないんだ。

『だれが、そう決めたのかなぁ。本当にそうなのかなぁ?』
『時間が後戻りして昔に戻れるとしたら、何が楽しいかなぁ。
その時でないと分からないよね。』
『よしっ、僕が時間を探しに行こう、時間を見つけに行こう。』僕はそう決めた。
『どこへ行くと見えるのかなぁ。時間はどんな形をしているのかなぁ。』

僕は、昨日と今日の境目は夜の12時なので、眠くてもがまんして起きていて、家の中で何が変わるのか、部屋中を見ていた。
だけれど、僕は寝てしまって、何が変わったのか分らなかった。

『残念だなぁ。今晩、もう一度12時まで起きていて、何が変わるのか見てみよう。』
そして、12時まで起きていたけれど、家の中は何も変わらなかった。

『家の中には、時間が変わるのは時計だけだなぁ。』
だけれど、12時まで家の外にいる事ができないので、他を探す事にした。

ドッコイショ(3)

2016-09-28 21:28:55 | 童話
これから、おじいちゃんと一緒の時は、おじいちゃんとドッコイショとヨイショと言う競争をしようと思いました。

だけれど、僕が中学生になった時におじいちゃんとドッコイショとヨイショの競争ができなくなりました。

僕は時々、おじいちゃんのいる空に向って大きい声で
『ドッコイショ』、
『ヨイショ』と言っています。

いつかおじいちゃんが高い空から、僕と競争するみたいに、もっともっと大きな声で
『ドッコイショ』、
『ヨイショ』と言ってくれると思っています。

おじいちゃんのドッコイショやヨイショが聞こえるのはいつなのかなぁ。

おしまい

ドッコイショ(2)

2016-09-27 21:21:13 | 童話
だけれど、お父さんもお母さんもおばあちゃんもドッコイショやヨイショとは言いません。
どうして、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言うのかなぁ?

ある日、おじいちゃんが
『なんでおじいちゃんだけが、ドッコイショやヨイショと言うのかだって? それはね、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言っても良い年だからだよ。』
と教えてくれました。

『ねぇおじいちゃん、ドッコイショやヨイショと言っても良いのは何才からなの?』
『決まりは無いけれど、おじいちゃんの年から良いんだよ。』
『ふぅ~ん。』
『ねぇおじいちゃん、僕もドッコイショやヨイショと言っても良いのかなぁ。』
『ああ、おじいちゃんと一緒の時だけドッコイショやヨイショと言って良いよ。』
『わぁ、うれしいなぁ。』
『だけれど、おじいちゃんと一緒ではない時は、ドッコイショもヨイショも言ってはいけないよ。』
『うん、わかったよ。』

僕はおじいちゃんから、おじいちゃんと一緒の時は、ドッコイショやヨイショと言っても良いと言ってくれたのでうれしかったです。

ドッコイショ(1)

2016-09-26 21:22:10 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時にドッコイショ』と言いますが、
座る時も『ドッコイショ』と言います。

僕はおじいちゃんに『なんでドッコイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』
と言いました。

だけれど、座っていて立ち上がる時に『ヨイショ』と言う時があります。
その時は、座る時も『ヨイショ』と言います。

僕はおじいちゃんに『なんでヨイショと言うの?』と聞きましたが、
『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』と言いました。

ドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。

ある日、おじいちゃんが『みんなが居る場所で立ち上がる時は、
みんなに「これから立ち上がるよ。」と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ、でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』と教えてくれました。

『ふぅ~ん、そうなんだ。』

僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。