なぜだろう(4)

2021-03-31 09:55:48 | 童話
僕は友達に聞いてみた。
「ねぇ、君んちのお花やテーブルは話をするの? 僕んちのお花やテーブルはお話しをするんだよ。」
「うん、お話しするよ。」
「いつから?」
「この前の雷が落ちた時からだよ。」
「ふぅ~ん。僕んちと同じだね。」
「そうだね。」
「どうしてなのかなぁ。」
「どうしてなのかね。」
「だれかに聞いてみようか?」
「ねぇお母さん お花やテーブルはしゃべれるの?」
「えっ、人間じゃないのに、しゃべれるハズが無いでしょ。」
「僕んちのお花やテーブルもお話しするよ。」
「そう、不思議ね。」
「どうしてなのかなぁ?」
「お母さんも分からないわ。」

「ねぇお母さん、このテーブルとお話しをしてみて。」
「もしもしテーブルさん、お話しができますか?」
「僕には話しかけるのに、お母さんには返事しないね。」
「そうだね。今度はお花に話しかけてよ。」
「お花さん、お花さん、返事をしてね。」
「やっぱり大人には話しかけないんだ。」
「そうだね。」

なぜだろう(3)

2021-03-30 09:31:00 | 童話
電車に乗っていると、窓に映った僕が話しかけてくる。
「気を付けていないと、電車が揺れた時に転ぶよ。」
「うん、わかった。」

どうしてみんなが話しかけてくるのだろうか?
何時ごろから話しかけてくるようになったのだろうか?

夏休みのある日の夕立で、近くの大きな杉の木に雷が落ちた事が有る。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ピカッ、ドド~ン。
「ビックリしたね。」
僕がおもわずつぶやいた時に、部屋の中に置いて有るサボテンが
「そうだね、ビックリしたね。」と返事をした。
「えっ、だれ?」
「僕だよ。サボテンだよ。」
「サボテン君はしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるけれど、今迄黙っていたんだよ。」
「君以外にしゃべれる植物がいるの?」
「みんなしゃべれるよ。」

僕は玄関に飾っている花瓶の花に話しかけた。
「君もしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるよ。」
「机の僕もしゃべれるよ。」
「テーブルの私もしゃべれるわよ。」
「植物以外もしゃべれるんだ。」
「犬や猫もしゃべれるよ。」
「わぁ、楽しいなぁ。みんなでお話しをしようよ。」
「ワイワイ、ガヤガヤ。」
僕以外にも、みんなとお話しができる子がいるのかなぁ?

なぜだろう(2)

2021-03-29 09:15:53 | 童話
家に帰って手を洗っていると、水道の蛇口から声が聞こえる。
「今日も楽しかった? せっけんをよく付けてゴシゴシと洗ってね。」
「うん、わかった。」

お母さんが用意してくれていたオヤツのケーキを食べようとするとフォークが話しかけてくる。
「今日のケーキはね、高いケーキだから特別おいしいよ。」
「そうだね、いつものケーキよりおいしいね。」
「終ったら片付けてね。」
「うん、わかった。」
「これから、どこへ行くの?」
「これからお母さんとお買い物に行くんだよ。」
「何を買いに行くの?」
「スニーカーを買ってもらうんだよ。」
「カッコいいのを買ってもらうの?」
「ううん、普通のだよ。走りやすいのがいいんだ。」
「お母さんが来たよ、行ってらっしゃい。」
「うん、行ってくるからね。」

なぜだろう(1)

2021-03-28 08:41:47 | 童話
「おはよう。忘れ物は無~い? 教科書とノートは全部持ったの? 宿題のプリントも持ったの?」
「おはよう。全部持ったよ。」

僕に毎朝、玄関の花瓶の花が話し掛けてくる。
「おかえり。学校は今日も楽しかった? 宿題は有るの?」
「ただいま。宿題はね、プリントが2枚だよ。」

僕は玄関の花瓶の花に話し掛ける。
僕が宿題をしていると、机が話しかけてくる。
「今日も学校で頑張ったね。」
「うん、勉強も運動会の練習も頑張ったよ。」

「宿題が終ったらどこへ行くの?」
「友達とグラウンドで野球をするんだよ。」
「ケガをしないでね。」
「うん、わかったよ。」
「宿題が終ったからグラウンドへ行ってくるからね。」
「行ってらっしゃい。」
僕は机に行ってきますを言ってグラウンドへ向った。

100才の小学生(5)

2021-03-27 10:00:11 | 童話
そして、一週間くらい過ぎた頃に、キュウリが「コンコンコン、コンコンコン。」と言って、トマトが「ポンポンポン、ポンポンポン。』と言いました。
みんなが古川ゴン作さんに『キュウリが「コンコンコン、コンコンコン。」と言って、トマトが「ポンポンポン、ポンポンポン。」と言っているよ』と言うと、古川ゴン作さんが『キュウリとトマトが、もう食べていいよ。』と言っているんだよと言いながら、みんなにキュウリを一本とトマトを一個採ってくれました。
みんなは小川の中で冷やしてから食べながら、
『キュウリはおいしいねえ。』
『トマトもすごくおいしいよ。』
と言ってみんなで仲良く食べました。

『古川ゴン作さん、次は何を植えるの?』
『そうだね、お米を育てておにぎりを作り、小麦を育ててパンを作ろうか?』
『うん、お米を育てよう。』
『小麦も育てようよ。』
『そうだね、お米と小麦の両方育てようよ。』

みんなで、おいしいおにぎりとパンができるのを楽しみにして、古川ゴン作さんのお手伝いをしています。

村の小さな小学校に、次はどんなⅠ00才の人が入って来るのか、みんなが楽しみにしています。

おしまい