童話のオジサン(1)

2015-06-30 21:27:25 | 童話
僕の町には童話を作るオジサンが住んでいます。

会社がお休みの時はパソコンの前に座って、キーボードをポチポチポチ。

そして、時々『う~ん。』と言って、腕組みをして目を閉じています。
それは、いいアイデァが浮かばない時にいつもやっていることです。

オジサンは童話を作るのが好きですが、賞は貰ったことがありません。

そのオジサンの家には多くの動物が飼われていて、庭には沢山の植木が植わっています。
そして、部屋には鉢植えも置いてあり、全部オジサンの友達です。

オジサンが『う~ん。』と言っている時は、どれかの動物か植物とお話しをします。

あっ、始まった。
『う~ん。犬と猫、集まれ。』

川は水のかけっこ(5)

2015-06-29 21:29:52 | 童話
ぶるっぶるっ。
寒くなってきた。

そうか、空高くなると寒いのだ。
寒いよ、寒いよ、みんなで集まろうよ。
そうすれば少しあたたかくなるかもしれない。
みんなおいでよ。

あっ、少しずつ下がりはじめたよ。
どんどん、どんどん、下がっていく。
みんなで集まったから重くなったのだ。
雨だ、雨になったのだ。

それ、山へ急げ。
山で雨になって川に行き、またみんなでかけっこをしよう。

岩にぶつかって痛かったけれど、今度はうまく岩をよけてみせるよ。
しかし、あの滝はよけられないね。

また、みんなで手をつないでかけっこだ。
みんなが、みんなが一等賞だ。

そして、何度も何度も、海から雲になり、雨になり、川でかけっこだ。
何度も何度も、みんなでかけっこだ。

         おしまい
    

川は水のかけっこ(4)

2015-06-28 08:10:31 | 童話
みんな仲良くかけっこをしてきたが、海ではかけっこができないからね。
海ではゆっくりと大きくゆられるね。
みんなで手をつないで、ゆっくりと、大きくゆられて、川でかけっこしてきた疲れをほぐしている。

だけど、また雨になって山に降り、川でかけっこする時がくるからね。
そのときはみんなに負けないよ。
今回は負けたから、次は絶対勝つよ。

早くこの海から雨にならないかなあ。
暑い暑い、お日様が笑っている。

あれ、ふわふわと身体が浮いてきた。
どんどん高くなってきた。
雲だ雲になったのだ。

川は水のかけっこ(3)

2015-06-27 11:10:10 | 童話
それ急げ、みんな急げ。
あれっ、急に遠くが見えるようになった。
田んぼが見える、野菜を植えている畑も見えている。

だけど急にかけっこが遅くなってしまった。
川が広くなってみんなが遠くになってしまった。
おーい、がんばれ。

あれっ、急に塩からくなってきた。
海に近づいてきたんだ。

大きな船が見え始めた。
ボー、ボー、汽笛が鳴っている。
もうすぐ船が桟橋に到着するのだ。
おおきな船だね。
コンテナーをいっぱい積んでいる。
外国から荷物を運んできたのだね。

あっちの桟橋では沢山の人が船から降りてきている。
手に荷物を一杯持って、船から下りてきている。

僕たちも、あの桟橋でかけっこをおしまいにしよう。

川は水のかけっこ(2)

2015-06-25 21:44:23 | 童話
あれ、魚君が追いかけてきた。
速い速い、もう追い越されてしまった。
なにか食べている魚君を見つけた。
おいしそうにコケを食べている。
食べ終わったら、また追っかけてきた。
速い速い、もう行ってしまった。

あれ、急にふわっと浮かんだと思ったら、みんなが下に落ちていく。
大変だ、これは滝だぞ、みんな気をつけろ。
あっ痛い、滝つぼの岩にぶつかった。
ぶくぶく、ぶくぶく、あぶくだらけだ。
上だか、下だか分からないや。
やっと滝つぼから出られたけれど、苦しかったね。