僕の背中(1)

2017-05-31 21:39:22 | 童話
小学校の運動会の徒競走で、僕は、みんなの背中を見ながら走っていましたが、僕の背中を見ながら走っている友達はいませんでした。
そして、僕はまたビリになってしまったのです。

次の日、お父さんさんが
『テレビで見たんだけれど、ヒザを高く上げて走る練習をすると速く走れるようになれると言っていたよ。』
と言ったので、お父さんと一緒に、公園で練習を始めました。
『もっとヒザを高くあげて! もっともっと、高くあげるんだ!』

そして、1時間くらい練習して僕達はお家に帰りました。
お風呂に入っている時にお父さんが
『じつはね、お父さんも走るのが速くなかったんだ。だから、お前は走るのが速くなってほしいんだ。』
と言いました。
『うん、僕ガンバルよ。』
『よしっ、がんばれば速く走れるようになれるよ。』
そして、普通の日は僕一人で、土曜日と日曜日はお父さんと一緒に公園で走る練習をしました。

僕は少しずつヒザを高くあげて走れるようになってきました。
『その調子だ、ガンバレ。』
家に帰るとお母さんが
『お父さんから聞いたんだけれど、速く走れるようになってきたんだって。』
『そうだよ、僕、がんばっているんだよ。』
『えらいわね、今度の運動会が楽しみだわね。』
『うん、応援してね。』
『ええ、いっぱい応援しますよ。』

しばらくして、町内会で運動会をする案内の回覧板がきたので、僕も徒競走に出ることにしました。
『今までの成果を知ることができるね。』
と、お父さんも楽しみにしていました。

夢の向こう(3)

2017-05-30 21:31:56 | 童話
それからしばらくは、高い空の上を走っているモノレールに乗っている夢や、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで駅から滑って降りてくる夢はみなかった。

ある日、僕はすごく高い空の上を走っているモノレールに乗る駅にいた。
切符を買って待っていると赤い色のモノレールが着いたので、みんなと一緒にモノレールに乗った。
モノレールは速いスピードで、前に乗った時と同じ高い空を走って行った。
そして、モノレールの駅から幅が広くて、高く大きなエスカレーターでみんなと一緒に滑って降り始めましたが、僕だけ途中で別のエスカレーターに乗り換えた。

僕が乗ったエスカレーターが着いた所に学校があった。
教室の中を見ると先生が
『これから勉強を始めますので、みんな寝てください。』
と言って、生徒も先生も寝てしまった。
寝ながら勉強をしているのだった。

チャイムがなると、先生が
『勉強が終りましたので起きて帰りましよう。』
と言ったので、生徒がみんな帰ってしまった。
よく見ると、学校の横に僕の家が有った。
僕がドアを開けて家に入るとお母さんが
『あらっ、おかえり。寝ながら宿題をやりなさい。』
と言った。
寝るのと起きているのが反対なのだと気が付いた。

そして、僕は寝ながら歩いてエスカレーターを乗り換えた所に来たので、夢の出口へ行くエスカレーターに乗り換えた。

『早く起きないと学校に遅れるわよ。』
とお母さんに起こされた。

僕は夢の向うより、夢の中の方が良いなぁと思ったので、今は夢の向うの探検はしていない。

君達が夢の向うの探検で何か見つけたら教えてほしいなぁ。

      おしまい

夢の向こう(2)

2017-05-29 21:22:11 | 童話
またしばらくして、夢の中で友達が向うから歩いて来たので
『夢の向うから帰って来たの?』
と聞いたら
『そうだよ。』
と言ったので、僕は
『夢の向うへ探検に行ってくるよ。』
と言うと、友達は
『うん。』
と言って夢の出口から出て行ってしまった。

僕は一人で、前の探検の時よりもずっと遠くまで夢の中を歩いて行った。
ずっと歩いて行くと遠くに家が見えてきた。
もっと歩いてその家に着くと、家の中から、僕のお父さんとお母さんが出てきて
『おかえり。』
と言った。僕は
『ただいま。だけど、ここは夢の中なの? それとも夢の向うなの?』
と聞くと、お母さんが
『ここは、夢の中よ。夢の向うは、ここからモノレールに乗っていくの。』
と言った。
僕はすごく高い空の上を走っているモノレールに乗って、大きな駅に着いた。
それから、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで、みんなと一緒に駅から滑って降りた。

『早く起きないと学校に遅れるわよ。』
僕はお母さんに起こされた。
大きなエスカレーターは、みんなが学校や会社へ行かないといけないので、みんな夢の出口へ向って行っていたのだ。
僕が大きなエスカレーターに乗っている時に、もう一つのエスカレーターが動いているのが見えた。
そうか、途中で、もう一つのエスカレーターに乗り換えれば、夢の向うに行けたのではないかと思った。

今度、すごく高い空の上を走っているモノレールに乗って、幅が広くて、高く大きなエスカレーターに乗ったら、僕だけエスカレーターを乗り換えようと考えた。

夢の向こう(1)

2017-05-28 09:30:57 | 童話
君達はどんな夢をみるのかなぁ?

僕はね、前にみた夢と同じ場所で、迷子になる夢をみることがあるよ。
それとね、パラグライダーで高い空を飛んでいる夢や、すごく高い空の上を走っているモノレールに乗っている夢や、幅が広くて高い所にある大きなエスカレーターで、みんなが駅から滑って降りてくる夢をみたこともあるよ。

夢って、ふしぎだよね。
君達はどんな夢をみるのかなぁ。

僕はある日、友達が向うから歩いてやって来る夢をみたんだ。
その友達は
『僕は夢の向うから帰って来たんだよ。』
と言って、夢の出口から出て行ってしまった。
次の日、その夢の話をしたが、友達は
『そんな夢はみなかったよ。』
と言った。
僕はもう一度、夢の中でその友達に夢の向うのことを聞いてみることにした。

しばらくして、また夢の中で友達が向うから歩いて来たので
『夢の向うから帰って来たの?』
と聞いたら
『そうだよ。』
と言って、夢の出口から出て行ってしまった。
その友達に、夢の向うのことを聞く前に、その友達は夢から出て行ってしまったので、僕は自分で夢の向うを探検することにした。

そして、夢の中を歩いて行ったけれど、いつまで歩いて行っても、夢は続いていて、夢の向うには行けなかった。
そして、朝になって目がさめた。
『残念だなぁ、夢の向うは、まだ遠いのかなぁ?』

20センチの巨人(6)

2017-05-27 12:52:43 | 童話
そして、みんなが勉強をしている時には、巨人さんは箱の穴から僕達が勉強をしているところを見ていました。

体育の時間は箱から出て体育館でみんなと一緒に体操をし、給食は僕のをわけてあげて、みんなと一緒に食べました。

そして、下校時間になったので、みんなとバイバイしました。
『巨人さん、バイバイ。』
『巨人さん、またね。』
『巨人さん、今度いつ来るの?』
『巨人さん、楽しかったね。バイバイ。』
『みんな、バイバ~イ。』

家に着いて、僕が宿題をしている時に、巨人さんは僕の宿題を見ていました。
そして、巨人さんが本の中に帰る時間になったので、また物干しさおをつたって帰って行きました。
『巨人さん、バイバイ。』
『今日はすごく楽しかったよ。バイバイ。』
『そう、良かったね。バイバ~イ。』

巨人さんは本の中の巨人なので20センチですが、僕は大きいので本の中には入れません。
だから、巨人さんが本の中から出て来た時に一緒に遊びます。

おしまい