程無く、ドアが開いて白衣の医者が入って来たので、横顔生夫と縦顔死郎は、
「やあ。」と言って手を挙げた。
白衣の医者は、
「ああっ、ビックリした。あなた方は生きているのですか? それでは死亡診断書を取り消しますので、会計を済ませて帰って下さい。」
と言って部屋から出ていった。
「これで私は生き返りました。」と、横顔生夫。
「これで私は生き返ってしまいました。」と、縦顔死郎。
「これで、二人で毎日ビールを飲めますね。」
「今度、ソプラノ歌手のコンサートに一緒に行きましょう。」と、横顔生夫。
「いいですね。クラシック演奏会も一緒に行きましょう。」と、縦顔死郎。
「そうしましょうか。」
「そうそう、ディズニーシーへも行きましょう。」
「そうですね。」
「それから、私は仕事を探しますね。」
「いやいや、私が働いているので、急ぎませんよ。少しゆっくりしてください。」
「ところで、ディズニーランドに行くときに、お兄さんの縦顔生郎さんを呼びたいのですが、いい方法が有りませんかね?」
「テレパシーで呼んでみますね。」
そして、縦顔死郎がテレパシーを使って兄の縦顔生郎との連絡を試みたが、二つの世界が既に完全分離された今はテレパシーも通じなくなっていた。
「ダメですね、兄とは連絡がつきません。」
「そうですか、入口が閉じられてしまったからね。」
「兄とは、私が死んでから会うようにします。」
「そうですね。私の童話の読み聞かせもできなくなりましたが、私も死んでから読み聞かせるようにしますから、今の世界に居る時にたくさん作っておきますよ。」
「そうしましょうか。」
それから、横顔生夫と縦顔死郎は、今いる世界で生活を楽しむとともに、死んでからの生活の計画を立てて、人生を二倍楽しむつもりである。
この二人が死んだときは、縦顔死郎たちの元住んでいた世界に戻るので、懐かしくてホッとするであろう。
完
「やあ。」と言って手を挙げた。
白衣の医者は、
「ああっ、ビックリした。あなた方は生きているのですか? それでは死亡診断書を取り消しますので、会計を済ませて帰って下さい。」
と言って部屋から出ていった。
「これで私は生き返りました。」と、横顔生夫。
「これで私は生き返ってしまいました。」と、縦顔死郎。
「これで、二人で毎日ビールを飲めますね。」
「今度、ソプラノ歌手のコンサートに一緒に行きましょう。」と、横顔生夫。
「いいですね。クラシック演奏会も一緒に行きましょう。」と、縦顔死郎。
「そうしましょうか。」
「そうそう、ディズニーシーへも行きましょう。」
「そうですね。」
「それから、私は仕事を探しますね。」
「いやいや、私が働いているので、急ぎませんよ。少しゆっくりしてください。」
「ところで、ディズニーランドに行くときに、お兄さんの縦顔生郎さんを呼びたいのですが、いい方法が有りませんかね?」
「テレパシーで呼んでみますね。」
そして、縦顔死郎がテレパシーを使って兄の縦顔生郎との連絡を試みたが、二つの世界が既に完全分離された今はテレパシーも通じなくなっていた。
「ダメですね、兄とは連絡がつきません。」
「そうですか、入口が閉じられてしまったからね。」
「兄とは、私が死んでから会うようにします。」
「そうですね。私の童話の読み聞かせもできなくなりましたが、私も死んでから読み聞かせるようにしますから、今の世界に居る時にたくさん作っておきますよ。」
「そうしましょうか。」
それから、横顔生夫と縦顔死郎は、今いる世界で生活を楽しむとともに、死んでからの生活の計画を立てて、人生を二倍楽しむつもりである。
この二人が死んだときは、縦顔死郎たちの元住んでいた世界に戻るので、懐かしくてホッとするであろう。
完