僕と、お父さんとボクとの約束(3)

2018-02-28 21:27:25 | 童話
そしてある日、僕は友達とボクの3人で自転車で近くの公園に行った。公園までの道は上り坂だが、ボクが1番で僕が2番で、友達が3番目だった。
今迄は僕は友達にかなわなかったので、友達が『どうしてそんなに速く走れるようになったの。』と言って驚いていた。 
僕を頑張れるようにしてくれたボクはすごいと思う。

ボクは本当に僕のお父さんの子供の頃なのだろうか?

『ねぇお父さん、お父さんは小さな子供の頃は、走るのが速く、鉄棒の逆上がりもできていたの?』
『走るのが遅く、鉄棒の逆上がりも全然できなかったよ。』
『でも、今はできるでしょ?』
『そうだね、逆上がりはできるけれど、今は走るのは遅くなっただろうね。全然運動をしていないからね。』
『でも速かったんでしょ?』
『そうだね、速かったよ。』
『お父さんはだれから教えてもらったの?』
『お父さんのお父さんから教えてもらったのだよ。』

『ふぅ~ん。僕はね、お父さんに教えてもらったんだよ。』
『お父さんは教えていないよ。』
『ううん、お父さんの子供の頃の男の子から教えてもらったんだよ。』

『そうか、お父さんも、お父さんのお父さんの子供の頃の男の子から教えてもらったんだよ。』
『僕と同じだね。』

『これは、お父さんとお前との秘密だよ。』
『うん、僕とお父さんとの秘密だよね。それから、僕はボクとずっと仲良くするからね。』

      終わり

僕と、お父さんとボクとの約束(2)

2018-02-27 21:32:23 | 童話
『よ~い、どん。もっとヒザを高く上げて、もっと高く。そうそう、もっと高く上げて。』
『なんか、速く走ることができそうだ。』
『本当に速く走れているよ。』

僕は、その日から毎日、ヒザを高く上げて走る練習を続けていて、学校の徒競走で5人で走って3番目になった。
『今度は逆上がりをやってみようよ。』
『うん、頑張るよ。』
『分かった、手が伸びてしまっているからできないんだ。鉄棒を回り始める時にヒジを曲げて、体を鉄棒にくっつけるようにするんだよ。ボクがやってみるね。』
『本当だ、すごいね。』
『ボクと一緒にやれば君もできるようになるよ。』
僕は、その日から毎日、ヒジを曲げるようにして練習を続けていて、逆上がりができるようになった。

僕は速く走ることと、逆上がりができるようになる練習を続けていたので、ご飯を食べるのも、学校へ行くのも早くできるようになった。
僕は、ご飯を食べている時に、徒競走で3番になった事と、鉄棒の逆上がりができるようになった事を、お父さんとお母さんに話をした。
お母さんは『すごいわね。』と言ってくれて、お父さんは『どうしてできるようになったんだい?』と聞いたので、僕は『新しい友達が教えてくれたんだよ。』と答えた。

だけれど、ボクの事は話をしなかった。

僕と、お父さんとボクとの約束(1)

2018-02-26 21:52:55 | 童話
僕はご飯を食べるのが遅く、家族みんなが食べ終っても、僕はまだ終らない。
『いつまで食べているの、早く食べなさい。』と、お母さんにいつも注意される。
そして、『早く学校へ行かないと遅刻するわよ。』と、お母さんに毎日注意される。

僕は学校の徒競走では、いくら頑張ってもいつもビリになってしまうし、鉄棒の逆上がりができない。
僕は頑張っているが、できないんだ。

僕が友達と学校へ行っている時、友達が『だれか知らない子が一緒に歩いているけれで、君の友達かい?』
『ううん、知らない子だよ。』
『ランドセルを背負っていないけれで、どこへ行くのかなぁ?』
『そうだね、どこへ行くのかなぁ?』

学校に着くと、その知らない子は居なくなっていた。
次の日も、僕と友達が学校へ行っている時に、その知らない子が一緒に歩いていた。
『ねぇ、君はだれ?』
『ボクの名前はツヨシ。ボクは君をよく知っているよ。』
『なんで君は僕を知っているの?』
『ボクはね、君のお父さんの子供の頃なんだ。』
『でも、お父さんは大人で大きいよ。』
『お父さんも子供の頃があって、それがボクなんだ。』
『ふぅ~ん。だけれど、僕は朝お父さんが会社へ行く時に、行ってらっしゃいと言ったんだよ。』
『それはお父さんで、ボクはお父さんの子供の頃なんだよ。』

『ふぅ~ん。だけれど君はなぜ、いつも僕の所にいるの?』
『ボクは君が頑張っているのは知っているけれど、ボクと一緒にもっと頑張れるようにしようよ。』
『どうやってやるの?』
『ボクと同じ事をするだけだよ。』
『最初は走る練習をしようか?』
『うん、いいよ。』
『走る時はね、ヒザを高く上げるようにするんだよ。一緒にやってみようよ。』
『うん、だけれど速く走れるようになれるのかぁ?』
『なれるよ、ボクと一緒に頑張ればできるよ。』
『うん、頑張る。』

20センチの巨人(4)

2018-02-25 09:32:17 | 童話
『ねえお母さん、この物干しさおはこのままにしていていいでしょ?』
『何に使うの?』
『巨人さんが、また僕の所に来る時に使うんだよ。』
『ええ、いいわよ。』
『巨人さん、この物干しさおはこのままにしておくから、次に来る時に使ってね。』
『ああ、ありがとうよ。』
四月になって僕は小学生になり、毎日ランドセルを背負って、黄色いぼうしをかぶって学校へ行っています。

ある日、巨人さんが
『わしも学校へ行ってみたいなあ。』
と言ったので、箱の中に入ってもらって連れて行ってあげることにして、箱に穴を開けて外が見えるようにしました。、
『巨人さん、学校へ行く用意ができたよ。』
と教えてあげましたと、巨人さんは物干しさおを伝わって上がって来ました。
『この箱の中に入るのかい?』
『そうだよ。』

そして、僕は巨人さんの入った箱を持って学校に行きました。
すると友達がみんなで
『それは何なの?』
『巨人さんなのに小さいんだね。』
『どこから来たの?』
『へえ~、いつもは本の中にいるんだ。』
『もう大きくならないの?』
『巨人さんの学校はどこに有るの?』
と言いました。

そして、みんなが勉強をしている時には、巨人さんは箱の穴から僕達が勉強をしているところを見ていました。
体育の時間は箱から出て体育館でみんなと一緒に体操をし、給食は僕のを、わけてあげて、みんなと一緒に食べました。

そして、下校時間になったので、みんなとバイバイしました。
『巨人さん、バイバイ。』
『巨人さん、またね。』
『巨人さん、今度いつ来るの?』
『巨人さん、楽しかったね。バイバイ。』
『みんな、バイバ~イ。』

家に着いて、僕が宿題をしている時に、巨人さんは僕の宿題を見ていました。
そして、巨人さんが本の中に帰る時間になったので、また物干しさおをつたって帰って行きました。
『巨人さん、バイバイ。』
『今日はすごく楽しかったよ。バイバイ。』
『そう、良かったね。バイバ~イ。』

巨人さんは本の中の巨人なので20センチですが、僕は大きいので本の中には入れません。
だから、巨人さんが本の中から出て来た時に一緒に遊びます。

   おしまい

20センチの巨人(3)

2018-02-24 14:12:55 | 童話
『ありがとう。これから返すね、ほれっ。』
だけれど、巨人さんは黄色いぼうしのヒモをランドセルに結ばないで、ランドセルの上に置いて投げたので、ランドセルは届いたのですが、軽いぼうしは僕の所へ飛んで来ませんでした。
そして、巨人さんがぼうしを何度投げても、僕の所には飛んで来ませんでした。
『困ったね。』
『うん、困ったね。』
『僕がお母さんに頼んでみるよ。』
『ああ、そうしておくれ。それまで黄色いぼうしは大切持っているからね。』
『うん。』
『お母さん、僕の黄色いぼうしが絵本の中に入ってしまって取れないんだ。お母さん取ってみて。』
『あらっ、本当に絵本の中に入って、巨人が持っているわね。』
『巨人が投げても外まで届かないんだ。』
『それでは、物干しさおを巨人に渡しましょ。そして、物干しさおの先に黄色いぼうしを載せて高く上げてもらうのよ。』

『物干しさおを僕が巨人さんに渡してあげるよ。』
と言って、お母さんに長いさおの後を持ってもらって、トンと本の上に置きました。すると長いさおは本の中に入って行き、巨人さんに届きました。
『ありがとう、届いたよ。これから黄色いぼうしをさおの上に載せて持ち上げるよ。』

そして、巨人さんがさおを持ち上げましたが、高い所は風が吹いていて、黄色いぼうしが飛ばされました。
『だめだね、うまくいかないね。』
『そうだね、うまくいかないね。よしっ、わしが持って上がって行くよ。』

そう言って、巨人さんが黄色いぼうしをかぶって、両手で物干しさおを掴んで僕の所まで持って来てくれました。
『ほいっ、黄色いぼうしだよ。わしはもう帰るからね。』
『巨人さん、ありがとう。』
『ああ、良かったね。』