僕達の小さくて大きな森(3)

2018-06-30 09:56:19 | 童話
二人は気が付くと、森の中にいた。
『ここはどこなんだろう?』
『どこなのかね。』
『僕達は植木の中に入って行ったんだよ。』
『そうか、植木の中なんだ。』
『少し歩いて行ってみようか?』
『そうだね、サッカーボールと野球のボールを探さなくっちゃ。』
森の中を進んで行くとサッカーボールが有った。ボールはブルブルと震えないし、空気も抜けていなかった。
もっと進んで行くと野球のボールが3個有った。

『ボールが全部有ったので、もう帰ろうよ。』
『そうだね、この先の探検はまた今度にしようね。』
『さっきの所まで帰って来たけれど、どうすればいいのかなぁ?』
『入って来た時と同じように、エンピツを持っていると出られないかなぁ?』
『やってみようよ。』
『うん、やってみようね。』
『うわっ。』
ブルブル。
『うわ~~っ。』

気が付くと二人は家の庭にいた。
サッカーボールも野球のボールも全部有った。
『出られたね。』
『うん、出られたね。』

僕達は植木から森に入る方法が分かったので、次に探検する事を考えた。
森の中にはどんな生き物がいるのかなぁ?』
『カブトムシやクワガタはいるのかなぁ?』
『犬や猫もいるのかなぁ?』
『明日、行ってみようか?』
『そうだね。』

僕達の小さくて大きな森(2)

2018-06-29 05:43:50 | 童話
次の日、宿題が終った時に友達がサッカーボールを持ってやって来た。
『植木のことをおじいちゃんに話したの?』
『ううん、まだ話して無いよ。』
『少しの間二人だけの秘密にしておこうか?』
『そうだね、秘密だよね。』
『今日も植木が置いてあるね。』
『うん、今日もおじいちゃんは植木を片付けないで出掛けたんだ。』
『今日もボールやエンピツが植木の中に入って行くのかなぁ?』
『今日はまだやっていないので分からないよ。』
『この大きなサッカーボールも植木の中に入って行くのかなぁ?』
『やってみようか?』
『でもサッカーボールはこれ一個しかないよ。』
『大丈夫だよ、植木の中へ探しに行けばいいんだよ。』
『探しに行けるかなぁ?』
『やってみようよ。』
『そうだね、やってみようか。』

友達がサッカーボールをソッと植木に近付けた。サッカーボールがブルブルと震えてから小さくなって植木の中に入って行った。
『うわっ。』
『入って行ったね。』
『どうすれば取りに行けるのかなぁ。』
『うん、どうすれば取りに行けるのかね。』
『エンピツを持っていると探しに行けるのかなぁ。』
『エンピツを持って、二人で一緒に探しに行こうか?』
『行けるかなぁ?』
『行けるよ。』

机の上からエンピツを2本持ってきて、1本ずつ持って植木の近くまでやってきた。
『もう少し近付くとブルブルと震えるよ。』
『もうすぐだね。』
二人のエンピツがブルブルと震えだした。
『うわっ。』
『ガンバレ。うわっ。』

僕達の小さくて大きな森(1)

2018-06-28 05:38:52 | 童話


去年、僕の投げたボールがおじいちゃんの大切にしている盆栽という小さな植木に当たり、植木を折ってしまったことがある。
だから、僕が家にいる時にはおじいちゃんは植木を大事にして片付けているが、今日は片付けるのを忘れて出掛けたみたいだ。
僕は友達とボールが植木に当たらないようにキャッチボールをしていたが、僕の投げたボールが植木の方に飛んで行って植木に当たりそうになった。
しかし、その時ボールが見えなくなった。植木には当たらなかったので植木は壊れなかったが、ボールが見つからない。

『危なかったね。』
『うん、危なかったね。』
『だけどボールはどこへ行ったのかなぁ。』
『見つからないね。』
『植木に当たりそうになったのが見えたのに、急にボールが見えなくなったね。』
『ボールが急に小さくなって植木の所にぶつかったみたいに見えたよ。』
『もう一個のボールをそっと投げてみようか?』
『うん、だけど植木が壊れるとおじいちゃんに怒られるからソッと投げてよ。』
『うん、分かった。』

友達が植木に向ってボールをソッと投げた。その時、ボールが小さくなっていき、植木に当たりそうなったが、ボールは見えなくなってしまった。
『やっぱりボールが小さくなったね。』
『うん、そうだね。今度は僕が投げてみるね。』

僕は持っている最後のボールをソッと投げたが、やっぱりボールが小さくなって見えなくなってしまった。
『今度はボールが小さくなっていったのがよく見えたね。』
『うん、そうだね。』
『今度はボールではなくエンピツを投げてみようか?』
『そうだね。』

僕は机の上に置いてあるエンピツを持ってきて植木に当たりそうなくらいまで近付けた。その時エンピツがブルブルと震えた。
僕はビックリしてエンピツを離したらエンピツは小さくなって見えなくなってしまった。
『ああ、ビックリした。』
『そのままエンピツを持っていたら、どうなったのかなぁ。』
『僕達も小さくなって、見えなくなってしまうのかなぁ。』
『もうおじいちゃんが帰ってくると思うのでキャッチボールは止めよう。』
『そうだね、ボールも3個無くなってしまったので、キャッチボールもできなくなってしまったしね。』
『僕はもう帰らないといけないので、また明日、学校から帰ったら遊ぼうか。』
『そうだね、3個のボールも明日探そうね。』
僕は植木が気になっていたけれど、ボールは明日探すことにした。

ほんわか村(4)

2018-06-27 05:50:57 | 童話
ある日人間がやってきて、動物全員と相談をしました。
ほんわか村の森は手入れがされていないので、木が倒れたままになっていたり、草が生い茂っている場所が多く、果物があまり多く取れていません。

それを人間が手入れをして果物の木を植える場所と、動物たちの大好きな野菜を植える場所を作るのです。

そして収穫できた果物や野菜を動物たちと人間とで半分ずつにするという計画でした。
 
しかし動物たちは、森の木は大切なので切っては困ると言い、人間も自然は大切なのでそのままにしておき、使えなくなっている所だけを手入れするということで、動物達と人間とが約束しました。

そして手入れした場所に
『ここは、ほんわか村の農場で、動物と人間とが自然を大切にする農場です。お互いに自然を大切にすることを約束します。』
と書いた看板を立てました。

そして、今も動物達と人間が約束を守りながら農場を大切にしています。

      おしまい

ほんわか村(3)

2018-06-26 05:38:02 | 童話
このほんわか村は赤道近くにあり、寒くはありませんが夏は大変暑いのです。しかし、みんな元気で楽しく暮らしています。
毎日、夕方になると夕立でシャワーのような雨が降りまず。雨が降るとゾウさんやキリンさんやカバさんのように大きな動物の背中を、チンパンジーさんとミーアキャットさんが洗ってあげます。
小さな動物達はお互いに体を洗ってあげます。しかし、ナマケモノさんは体を洗いません。どうしてでしょうか。
夕立が終るとまた太陽が現われて、動物達を乾かします。太陽が沈むとそれぞれ自分達の家でグッスリと寝ます。

ほんわか村で困った事がおきた時はみんなで相談して決めます。
暑くて風の強い日に村の森で、山火事が発生するので困っていました。
そして村のみんなで相談して、山火事が発生しそうな時は森の木に水をかける事にしました。その担当はゾウさんに頼みました。

ある日、ミーアキャットさんのお父さんとお母さんが森へ果物を探し行っている時に、ミーアキャットさんの赤ちゃんが居なくなりました。
ミーアキャットさんのお父さんとお母さんが探していると、チンパンジーさんは人間が赤ちゃんを連れて行ってしまったと教えてくれたので、みんなで赤ちゃんを探す事にしました。
キリンさんが長い首で探して歩き、その後をゾウさんがミーアキャットさんのお父さんとお母さんとカピバラさんとチンパンジーさんを背中に乗せて行きました。
やがて、キリンさんが赤ちゃんを連れた人間を見つけて、ゾウさんが人間に向って鼻から水を勢いよく吹き掛けて、赤ちゃんを取り返しました。
ミーアキャットさんのお父さんとお母さんは大変喜びましたが、また人間が来るかも知れないので、村のみんなで相談をしました。
  
いろいろな意見が出ましたが、ナマケモノさんの意見をみんなが賛成したので決めました。
それは、村の入口に高い塀を作る事でした。
まず、ゾウさんが森から枯れて倒れた大木を持ってきて順番に立てました。
その木をチンパンジーさんが森から持ってきたつる草で結び、最後に入口に大きな看板を取り付けました。その看板には
『ここは動物のほんわか村です。人間は入らないで下さい。』
と書きました。