夢の入口(2)

2018-10-23 05:37:38 | 童話
その夜、向うから友達がノートと2本のエンピツを持ってやって来た。
僕も自分の手を見ると、両手にノートと2本のエンピツを持っていた。
『やぁ、また夢の中で会ったね。』
『僕は、家の玄関の夢の入口から入って来たけれど、君はどこから入って来たの?』
『僕は洋服ダンスの中からだよ。』
『よし、二人ともノートに書いておこうよ。』
『うん、そうだね。』
『あれっ、僕のノートは文字がいっぱいで書くところが無いや。』
『僕のノートも文字がいっぱいだ。』
『今度は前の時よりもっと、しっかりと覚えておこうね。』
『ああ、いいよ。君も忘れないでね。』
『君こそ忘れたらダメだよ。』
『二人とも夢の入口を覚えたから、夢から出るよ。』
そして、目がさめたが、二人とも夢の入口は覚えていなかった。

『僕の持っている携帯電話は録音機能があるから、今度はこの携帯電話を持って行って、夢の入口が分かった時に録音しようよ。』
『うん、良い方法だね。』
その夜、向うから友達が携帯電話を持ってやって来た。
『やぁ、また夢の中で会ったね。』
『僕は、物置の夢の入口から入って来たけれど、君はどこから入って来たの?』
『僕は2階に上がる階段の下の夢の入口からだよ。』
『よし、録音するよ。夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。』
『録音できたかどうか聞いてみようよ。』
『そうだね、録音されていないと困るからね。』
「夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。」
「夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。」
「夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。」
『わぁ、録音されている。』
『今度は大丈夫だね。』
『二人とも夢の入口を録音できたのを確かめたので、夢から出るよ。』

そして、目がさめて、携帯電話の録音を聞いてみた。
『グウ~、グウ~、グウ~。』
『あれっ、お父さんのイビキだ。』
『本当だ、おじさんのイビキだ。』
『おかしいなぁ、イビキ以外は、何も聞こえないや。』
『そうだね、何も聞こえないね。』

今は、自分達の家で二人別々に寝て、夢の入口を探している。
夢の入口が見つかったら教えあうことにしているが、二人とも入口はまだ見つかっていない。

     おしまい


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4 コメント

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はじめまして (蒼井 夜生)
2018-10-23 13:00:15
はじめまして。
読者登録させていただきました。

実は、私は 子どもの頃から
手紙を書くことが大好きでした。
絵本や、本を読んだり見たりすることが大好きでした。
絵をみたり 描くことも大好きです。

そんなことから 詩を書いています。

絵本や エッセイ、物語にも 憧れがあります。

楽しく 拝読させていただきます。
どうぞ よろしくお願いします。
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コメントをありがとうございました。 (大熊)
2018-10-23 21:30:51
貴兄(女性の方ですと失礼)のブログを拝見できれば幸いです。
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Unknown (蒼井 夜生)
2018-10-24 06:31:41
再度 失礼いたします。

私は、「空を見上げる 風に吹かれる」
というブログタイトルで 書いています。

機会がありましたらよろしくお願いします。
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綺麗な詩ですね (コン太)
2018-10-25 21:36:56
、「空を見上げる 風に吹かれる」を拝見しました。美しい詩ですね。
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