第二章 日常生活での出来事
直之の食べていたご飯粒が、お箸からこぼれたのを見た母親の裕子が、
「こぼしたわよ。ご飯を粗末にしてはダメだから拾いなさい。」
と言って注意した。
直之は
「わかっているよ。」
と言ってテーブルの下を探したがご飯粒は見つからなかった。
「ちゃんと拾ったの?」
「見つからないんだよ。」
「じぁ、後で拾うからいいわ。」
と母親の裕子が言った。
「ごちそうさま。」
と言って直之は席を立った後で、母親の裕子がテーブルの下を探したが、やはり御飯粒は見つからなかった。
「そういえば、私も昨日こぼしたイクラが見当たらないんだ。」
と新二郎も続けて言った。
そして、テーブルに戻って来た直之が、
「昨日、グラウンドで野球をやっていて、ショートゴロを捕ろうとしたらボールが無くなってしまい、ランナーをアウトにできなかったんだ。そしてみんなからは
『なにやってんだよ!』
『へたくそだなぁ』
と言われたんだ。だけれど、全員でボールを探したが見つからなかったんだよ。」
と話した。
それをじっと聞いていた父親の新二郎が
「そうか、直之がこぼしたご飯粒も、私がこぼしたイクラも見当たらなかったのは、テーブルの下からどこか異次元につながっているのだろうか? 落としてからすぐに探したのだからゴキブリに食べられたのではないからなぁ。メビウスの輪のように空間の歪でもできているのかなぁ? 宇宙空間ではブラックホールが呑み込む可能性はあるが、地球上でブラックホールの存在はあり得ないしなぁ。それにしても、野球のボールを呑み込むくらいのブラックホールだと大きくて危険だなぁ。」
と一人で納得するようにつぶやいた。
「お母さん、僕のペンケースが無いんだけれど、知らない?」
「知らないわよ。ランドセルの中や机の引き出しに無いの? ちゃんと片づけていないからいけないのよ。無くなったらすぐ買うというのはダメよ。ちゃんと探しなさい。」
「分かっているから大事にしているんだけれど、どこを探しても無いんだよ。」
「ねえお父さん、僕のペンケースも宇宙にあるブラックホールが呑み込んだのかなあ?」
と、宇宙に興味のある直之が冗談半分に言った。
「あんな大きいペンケースが呑み込まれるブラックホールだと相当大きいし、そんな大きなブラックホールだと危険だよ。それに、そもそも、地球上ではブラックホールは存在していないよ。」
と父親の新二郎は否定したが、内心では可能性を感じていた。
「お父さん、思い出したよ。教科書とノートはカバンに入れたけれど、ペンケースはカバンに入れるのを忘れて、学校においてきたんだった。」
「そうだろう、ペンケースを呑み込むブラックホールなら、もっといろいろな物を呑み込んで危険な状態になっているよ。」
と父親の新二郎は言ったが、感覚的に可能性を感じるものが有った。
直之の食べていたご飯粒が、お箸からこぼれたのを見た母親の裕子が、
「こぼしたわよ。ご飯を粗末にしてはダメだから拾いなさい。」
と言って注意した。
直之は
「わかっているよ。」
と言ってテーブルの下を探したがご飯粒は見つからなかった。
「ちゃんと拾ったの?」
「見つからないんだよ。」
「じぁ、後で拾うからいいわ。」
と母親の裕子が言った。
「ごちそうさま。」
と言って直之は席を立った後で、母親の裕子がテーブルの下を探したが、やはり御飯粒は見つからなかった。
「そういえば、私も昨日こぼしたイクラが見当たらないんだ。」
と新二郎も続けて言った。
そして、テーブルに戻って来た直之が、
「昨日、グラウンドで野球をやっていて、ショートゴロを捕ろうとしたらボールが無くなってしまい、ランナーをアウトにできなかったんだ。そしてみんなからは
『なにやってんだよ!』
『へたくそだなぁ』
と言われたんだ。だけれど、全員でボールを探したが見つからなかったんだよ。」
と話した。
それをじっと聞いていた父親の新二郎が
「そうか、直之がこぼしたご飯粒も、私がこぼしたイクラも見当たらなかったのは、テーブルの下からどこか異次元につながっているのだろうか? 落としてからすぐに探したのだからゴキブリに食べられたのではないからなぁ。メビウスの輪のように空間の歪でもできているのかなぁ? 宇宙空間ではブラックホールが呑み込む可能性はあるが、地球上でブラックホールの存在はあり得ないしなぁ。それにしても、野球のボールを呑み込むくらいのブラックホールだと大きくて危険だなぁ。」
と一人で納得するようにつぶやいた。
「お母さん、僕のペンケースが無いんだけれど、知らない?」
「知らないわよ。ランドセルの中や机の引き出しに無いの? ちゃんと片づけていないからいけないのよ。無くなったらすぐ買うというのはダメよ。ちゃんと探しなさい。」
「分かっているから大事にしているんだけれど、どこを探しても無いんだよ。」
「ねえお父さん、僕のペンケースも宇宙にあるブラックホールが呑み込んだのかなあ?」
と、宇宙に興味のある直之が冗談半分に言った。
「あんな大きいペンケースが呑み込まれるブラックホールだと相当大きいし、そんな大きなブラックホールだと危険だよ。それに、そもそも、地球上ではブラックホールは存在していないよ。」
と父親の新二郎は否定したが、内心では可能性を感じていた。
「お父さん、思い出したよ。教科書とノートはカバンに入れたけれど、ペンケースはカバンに入れるのを忘れて、学校においてきたんだった。」
「そうだろう、ペンケースを呑み込むブラックホールなら、もっといろいろな物を呑み込んで危険な状態になっているよ。」
と父親の新二郎は言ったが、感覚的に可能性を感じるものが有った。