てんから、てんから、てんからてん(2)

2018-07-31 05:45:32 | 童話
そして、しばらくして、また満月の夜に
『てんから、てんから、てんからてん。』、
『てんから、てんから、てんからてん。』
と聞こえてきました。
『これから、学級委員会を始めます。それでは、今やっている活動を話しあいます。』

村の小学校の動物達が
『村では、お米がたくさんできました。農家の人に感謝して、残さないように食べています。』
と発表しました。
都会の小学校のイヌとネコが
『作っている工場の人に感謝して、ドックフードを残さないように食べています。』

『それでは、質問のある方はいますか?』
都会の小学校のイヌとネコが
『僕達の飼い主さんは、スーパーマーケットで透明な袋に入った白いお米を買いますが、お米は全部白いのですか?』
『できた時のお米は、モミガラの中に入っているので黄色に近い薄い茶色で、モミガラを取って、米ヌカも取ると、やっと白くなるんだよ。』
と言ってお米がたくさん実った、刈り取ったばかりの稲穂を月に映して見せました。
『稲穂は重たそうだけれど、たくさんなるんだね。』
『そうだよ、重たいよ。農家の人が大切に育てているので、いっぱいなるんだよ。』

村の小学校の動物達が
『村の小川や池にはザリガニがたくさん住んでいますが、都会にもザリガニはたくさんいるのですか?』
『えっ、ザリガニって何? 都会には、小川も池も無いから、いないよ。』
村の小学校の動物達が
『これがザリガニだよ。』
と言って金魚鉢に入れたザリガニを月に映して見せました。
『エビみたいだけれど、ハサミはカニみたいに大きいんだね。』
『うん、ハサミに挟まれると、すごく痛いんだよ。』
『ザリガニはどうやって捕まえるの?』
『竹の棒に付けた糸にスルメを結び付けて、小川や池の中に入れると、ザリガニがハサミでスルメをつかむので、そっと竹の棒を上げると釣れるんだよ。』
『ふぅ~ん、楽しそうだね。』
『うん、楽しいよ。』
『都会には楽しい生き物はいないの?』
『動物園や水族館にたくさんいるよ。』
『それでは、今日の学級委員会を終ります。また次の満月の夜に学級委員会をします。
バイバ~イ。』
『バイバ~イ。』

てんから、てんから、てんからてん(1)

2018-07-30 05:45:15 | 童話
満月の夜、村の小学校の校庭に動物が集まります。
都会の小学校の校庭にも動物が集まります。
村の小学校には、イヌやネコ以外に、タヌキやキツネやイノシシや、たくさんの動物達が集まります。
都会の小学校には、イヌとネコだけが集まります。タヌキやキツネやイノシシはいませんし、カラスやスズメは、夜は目が見えないので、集まりません。

そして、二つの小学校で、お互いに自分達の姿を月に映して学級委員会をします。
その学級委員会を始める時に、片方の小学校で
『てんから、てんから、てんからてん。』
と言います。
そして、もう片方の小学校でも
『てんから、てんから、てんからてん。』
と言います。そうすると学級委員会が始まるのです。

『これから、学級委員会を始めます。それでは、今やっている活動を話しあいます。』
村の小学校のみんなが
『ホタルが少なくなってしまったので、池や小川をきれいにする活動をやっています。』
と発表しました。
都会の小学校のイヌとネコが
『交通事故にあわないように、信号を守る活動をしています。』
と発表しました。
『それでは、質問のある方はいますか?』
都会の小学校のイヌとネコが
『ホタルというは何なんですか?』
と聞きました。
『えっ、ホタルを知らないの?』
と、村の動物達が、不思議そうに聞きました。
村の小学校の動物達が
『お尻が黄色く光りながらフワフワと飛ぶかわいい虫だよ。』
と、ホタルを月に映して、都会の小学校のイヌとネコに見せてあげました。
『やぁ、きれいな光りだね。』
『うん、きれいだし、かわいいよ。』

そして、また都会のイヌとネコが聞きました。
『村の小学校からゲロゲロ、ゲロゲロと聞こえてきますが、何が鳴いているのですか?』
『えっ、カエルを知らないの?』
『うん、知らないよ。』
『田んぼや小川にいて、みんなで夜通し鳴くんだよ。そして、カエルの子供はオタマジャクシと言うんだよ。』
そう言って、村の小学校の動物達が、カエルと、もう少しでカエルになるオタマジャクシを月に映して、都会の小学校のイヌとネコに見せてあげました。
『オタマジャクシはかわいいねぇ。』
『うん、かわいいよ。もう少し前だと、オタマジャクシは手も足も生えていないんだよ。』
『ふぅ~ん。都会には、田んぼも小川も無いから、カエルもオタマジャクシもいないよ。』
『へぇー、そうなんだ。』
『それでは、今日の学級委員会を終ります。また次の満月の夜に学級委員会をします。バイバ~イ。』
『バイバ~イ。』

石の飛行機(3)

2018-07-29 09:04:20 | 童話
『ねえ、お父さん、なぜ遠い所へはジェット機じゃないと行けないの?』
『高い所は空気が薄く、抵抗が少ないので早く飛べるし、燃料が少なくて済むからだよ。だけれど空気の薄い所はプロペラ飛行機は飛べないのだよ。』
『お父さん、抵抗って何?』
『空気が飛行機を押し戻そうとする力だよ。』
『ふぅ~ん。』

『ねえ、お父さん、火星へはジェット旅客機で行けるの?』
『宇宙には空気が無いからジェットエンジンでは飛べないよ。』
『じゃぁ、何で行くの?』
『燃料と、それを燃やす酸素と両方を積んだロケットで行くんだよ。』
『ふぅ~ん。よし、明日の日曜日はロケットを作って火星へ行こう。』
僕は昼から本でロケットを調べた。大きい燃料タンクが2本付いていて、大きいエンジンが3本付いている。しかし、人間が乗る所は小さくて狭いんだなぁ。

よし、僕は明日、ジェット旅客機の隣りにロケットを作って火星へ行こうと考え、ワクワクしながらロケットをスケッチした。
『そうか、ロケットはコンピュータと宇宙センターで操作するので宇宙飛行士は操縦しないんだ。』

そして明日は朝ご飯を食べたらすぐに川原へ行けるように、明日の宿題も終わらせた。
『ロケット、ロケット、ロケット。』とワクワクしながらお風呂に入って早く寝た。
そして、朝起きると、お母さんがサンドイッチを作ってくれていた。
『今日は火星まで行くんでしょ。でも遅くなったらだめよ。それから、水筒のお水で手を洗ってから食べるのよ。』
『はぁ~い。』
みんなで朝ご飯を食べてから、僕は自転車で川原に来て、昨日のスケッチを見ながら石を並べた。
ジェット旅客機以上に時間がかかった。
『できた、やっとできた。』
『燃料注入完了、酸素の圧力異状無し、宇宙飛行士が乗り込みます。』
『座席のベルトの固定も終わりました。宇宙センターどうぞ。』
『こちらは宇宙センターです、機体も燃料も問題有りません。これから打上げの秒読みを開始します。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射。補助エンジン点火。順調に上昇しています。補助エンジンを切り離しました。』

『地球がだんだん小さくてなっていく。今、月を通り越しました、すごいスピードです。』
『火星が見えてきました。どんどん近付いていきます。宇宙センター、僕は今日、遅くなるとお母さんに怒られるので、火星には着陸しないで、火星を一周したら帰ります。』
『こちらは宇宙センターです、了解しました。気を付けて地球に帰ってきてください。』

地球に近づいてきて、川原が見えてきた。
『宇宙センター、これからロケットを逆噴射して着陸しまします。』
『了解しました。』
ゴーとエンジンが逆噴射した。
『着いたから、さあ帰ろう。』
夕飯の時にお父さんに、
『本物のロケットに乗りたいなぁ。』
と言うと、お父さんが
『宇宙飛行は全部英語を使うので、英語を勉浩しないといけないよ。』
と言ったので、僕は宇宙飛行士になるために英語を勉強している。

   おしまい

石の飛行機(2)

2018-07-28 09:38:07 | 童話

来週もプロペラの石の飛行機に乗ろう。
学校から帰って、宿題をしてから自転車で川原へ行くと僕の石の飛行機は無事だった。
しかし、もう遅いので飛行機には乗らないで見ただけで、すぐに自転車で帰った。
次の日も、その次の日も、僕は川原へ見に行った。
そして、土曜日に宿題を終わらせてから、僕の飛行機に会いに川原へ行ったら飛行機が無事なので操縦席に座った。
『エンジン始動、ブルブル、ブルブル。管制塔、管制塔、こちらはJA123、離陸の許可を下さい。』
『こちら管制塔、離陸を許可します。』
『ブ~ン、離陸します。』
『今日もエンジンは快調だ。よし、今日は川の上流へ行き、山の上を飛ぼう。』
川幅が段々と狭くなってきたので向うに見える山の上を飛ぶことにして操縦かんをいっぱい引いて上昇しだ。
ブイ~ン、山を越えたら湖が見える。あの湖まで行ったら帰ろう。
『管制塔、管制塔、今からかえります。』
『こちらは管制塔、帰るのですね、了解しました。』
飛行機は無事川原に着陸したので、僕は操縦席から降りて自転車で家に帰った。
夕飯の時にお母さんに、僕の飛行機で湖まで行ったよと言うと、お母さんは
『すごいじゃない。』
と言ったが、お父さんは、
『もっと大きな飛行機で外国へ行ってごらん。』
と言った。僕は、明日はもっと大きいジェット旅客機を作ろうと考えて、ワクワクしながら寝た。

僕は朝ご飯を食べたらすぐに川原へ行った。宿題は昨日終わらせたので、朝から行けたのだ。川原の石をたくさん集めて、僕の飛行機の隣りにジェット旅客機を作り始めた。小型のプロペラ飛行機より、ずっとずっと多くの石が必要だった。
どうして大きなジェット旅客機でないと外国へ行けないのかぁ、帰ったらお父さんに聞いてみよう。
やっと大きなジェット旅客機ができた。
僕は早く飛ばないと遠い外国へ行けないと考え、すぐに操縦席に乗り込んだ。
『エンジン始動、管制塔、こちらはJA123です、離陸の許可を下さい。』
『こちら管制塔です、離陸を許可します。』
『出発。』
ゴーとエンジン音がして僕はスラストレバーを引いた。キーンというジェットエンジンの音がして走り始めた。続いて操縦かんを引いて上昇した。グングン上空に飛んで行き、富士山が段々小さくなっていった。
『やあ、雲の上に出たから天気がいいや。』そして、水平飛行となったので、エンジンはゴーという音になった。『下はずっと海だね。大きな船が走っている、自動車運搬船かな。ここから自動操縦にしておやつを食べよう。』
おやつを食べている間にハワイが見えてきた。『よし、ハワイをぐる~と回ったら家に帰ろう。』
そして、ハワイを回った後、しばらく飛んでいると日本が見えてきた。
『管制塔、管制塔、こちらはJA123です。着陸の許可を下さい。』
『こちらは管制塔です、着陸を許可します。』着陸してから僕は自転車で帰った。お母さんが、『とっくにお昼ご飯の時間が過ぎているでしょ、早く帰ってこないとダメじゃないの。』と言ったので、『ごめんなさい、ハワイまで行ったら遅くなっちゃった。』と謝った。

石の飛行機(1)

2018-07-27 05:32:40 | 童話
小学生の僕は乗り物が大好きだ。
自動車、電車、船、飛行機、全部好きだ。
自動車に乗れば、助手席で運転している様子をずっと見ている。
電車では、一番前の車両に行き、運転手さんのスピードを上げる方法や、ブレーキを掛ける方法を真剣に見ている。
児童公園に置いてある蒸気機関車や電車や消防自動車の運転席で運転手になっている。
しかし、飛行機は僕の住んでいる町の近くの公園に無いし、本物は操縦席に入れない。僕は、今は写真を見て操縦を想像して楽しんでいる。

ある日曜日に、僕は自転車で近くの大きな川に行き、石を並べて飛行機を書いた。
そして、操縦席に座りエンジンをかけた。ブルブルブルブル、エンジンがかかったので、次はスラストレバーを引いた。
ブ~~ン、とプロペラが高速で回転し始めた。そして、車輪のブレーキを戻すと機体が走り始めた。
どんどんスピードが上がってきたので操縦かんを引くと機体がフワッと浮いた。
やった、離陸したのだ。あとは上空に向って一直線。離陸に成功したので、今日はもう帰ることにして自転車に乗った。

次の土曜日に、また自転車で川原へ行き、石の飛行機のエンジンをかけた。今日もエンジンは快調に回転し始めたので、ブレーキを戻し離陸の準備ができた。
今日も快調にスピードが上がり、操縦かんを引くと離陸した。今日は前回より上空まで行こう。
『管制塔、管制塔、こちらはJA123です、応答願います。』
『こちら管制塔、どうぞ。』
『僕はこれから家の上を飛びます。』
『了解、気を付けて飛んでください。』
『はぁ~い。』
僕の家が見える。お父さんが自動車を洗っている。
お母さんは家の中だから見えないや。
どんどん上空になって、僕の住んでいる町全体が見えてきた。校庭では野球部のみんなが練習をしている。

もっと高く上がってみよう。駅が見えてきた。大勢の人が乗り降りしている。
今日は土曜日だから会社の行き帰りしている人より買い物をしている人の方が多いなあ。
あっ、もう帰る時間のチャイムが鳴り始めた。
今日は随分上空まできたなあ。これより上の方は明日の日曜日にしよう。
僕は川原から自転車で家に向った。

日曜日の今日は雨が降っているので石の飛行機には乗れない。
僕は仕方が無いので飛行機の本を見ている。遠くまで行くときの旅客機や貨物専用機、そして、スピードの速い戦闘機、いろいろな種類があるんだね。ほとんどがジェットエンジンだけれど、僕の石の飛行機はプロペラだ。
僕はプロペラの飛行機の方がカッコいいと思う。家にあるゴム動力の飛行機もプロペラだ。