ぽろろ、ぽろろ。(2)

2019-07-31 06:43:20 | 童話
小川の近くで
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
声は聞こえるけれど、だれが呼んでいるのか判らない。
『だぁれ?』
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『あれっ、川の水君かな?』
『そうだよ、ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『なぁに、川の中で一緒に遊ぶの? 海水パンツを持ってくるから待っててね。』
『海水パンツになったから川に入るよ。』
僕は川の中で水に押してもらった。
『たのしいな、たのしいな。』

僕の足の下の土の中から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
モグラ君かな?
『なぁに、僕は土の中には入れないよ。』
『えっ、モグラ君は昼間は眩しくて外に出られないから、夜になったらジャンケンをして遊うよ、だって。ダメだよ、僕は夜は家に帰らなければいけないんだ。だから今ジャンケンをしようよ。モグラ君は土の中から手だけ出せばいいんだよ。ジャンケンポン、僕はチョキだけどモグラ君はパーだから僕の勝ちだよ。そうか、モグラ君はパーしか出せないんだ。』

空から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
そうか、空の上の雲君だ。
『なぁに、雲君の背中に乗せてくれるの? ダメだよ、僕は重たいから乗れないよ。雲君が空に何か絵を書いてよ。わっ、おいしそうな綿菓子とドーナッツだね。それに、飛行機雲もきれいだね。』

ぽろろ、ぽろろ。(1)

2019-07-30 06:47:43 | 童話
僕のいる窓の外から、
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
風が遠くで僕を呼んでいるのだ。
『なぁに、宿題が終ったら外で遊ぼうよと言っているの? 30分位で宿題が終るので待っててね。』
『宿題が終ったよ、何して遊ぼうか。よしっ、駆けっこをしようよ。だけど、1人だと寂しいから、いつも一緒に遊んでいる友達を呼んで来るね。』
3人の友達と僕の4人で風と競争をした。ヨーイドン 。
『風君は速いなぁ、僕達4人は全然かなわないや。』

公園の木の上から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
小鳥が呼んでいるのだ。
『なぁに、僕は羽根がないから一緒に飛べないよ。えっ、きれいな歌声の競争をするの? 僕は歌がうまくないから、小鳥君が唄ってよ。』
『ピピピピ、チチチチ、ピーピピ、ピーピピ。』
『やっぱり小鳥君は歌が上手いね。だけど、『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』とは鳴かないの? 『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と鳴くのは友達を呼ぶ時だけなのか、だから僕を呼ぶ時はみんな『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と言っているんだね』

キリンのコロと、カピバラのノッポ(2)

2019-07-29 06:45:53 | 童話
そして、2匹で仲良く遊んでいると、飼育係の人がやって来て、
『あれっ、2匹の名札が間違えてかけられているよ。』
と言って、キリンのノッポは茶色の名札、カピバラのコロは黄色の名札に取り替えました。
そこに、女の子がお父さんとお母さんと一緒にキリンとカピバラのオリの前にやって来ました。
『あれっ、さっき来た時は、キリンがコロで、カピバラがノッポの名札だったのに、おかしいわね?』
と言うと、お父さんは
『お客さんが付けた名前が、キリンはノッポで、カピバラがコロだったのだから、これでいいんだよ。』と言いました。

女の子は
『おかしいわね、さっきは反対だったのに。』
と言ってしばらく2匹を見ていました。すると、キリンが座り、カピバラがキリンの首からノッポと書いた名札を取り、自分のコロと書いた名札をキリンに掛けてあげました。そして、キリンの首から取ったノッポと書いた名札を自分の首にかけました。
『お母さん見て、名札を取り替えたわよ。』
『本当ね。』
『本当に取り替えるんだね。カピバラは手を使うのがうまいからね。』

そして、飼育係の人が名札を直しても、飼育係の人がいなくなると、また2匹は自分で名札を取り替えるのです。
毎日毎日これを繰り返していたので、動物園に来た子供達は、キリンの名前がコロで、カピバラの名前がノッポだと思うようになりました。
だけれど、2匹とも大きくなりましたが、キリンのコロはスマートで、カピバラのノッポの背は高くなっていません。
しかし、動物園に来るお客さんは、キリンはコロで、カピバラはノッポだと覚えています。
背の高いコロと、コロコロとしたノッポは、毎日毎日、仲良く遊んでいるのです。

    おしまい

キリンのコロと、カピバラのノッポ(1)

2019-07-28 07:19:31 | 童話
ある動物園で、キリンに女の赤ちゃんと、カピバラに男の赤ちゃんが産まれました。
動物園では、2匹の名前をお客さんに決めてもらいました。
お客さんは、キリンの赤ちゃんは背が高いのでノッポに決めて、カピバラの赤ちゃんはコロコロしているので、コロに決めました。
動物園はあまり広くないので、キリンとカピバラはいつも同じオリの中で飼われていますから、キリンの子供のノッポと、カピバラの子供のコロも同じオリの中にいます。

動物園では、ノッポとコロの名前をみんなに覚えてもらうために2匹に名札を作ってあげました。
動物園の飼育係の人が、黄色の名札と茶色の名札を選び、首からかけられるようにしました。
飼育係の人が、キリンのノッポは茶色の名札に黒い文字でノッポと書きました。そして、カピバラのコロは黄色の名札に黒い文字でコロと書きました。
ノッポとコロは自分達の名前が気に入って、名札を首につけて仲良く遊んでいました。

しかし、キリンのノッポはお父さんやお母さんの体の色と名札の色が違うことに気が付いたので、お母さんキリンに言いました。
『私の名札の色もお父さんやお母さんと同じ色が良いよ。』
キリンのお母さんは『飼育係の人が作ってくれたのだから我慢しなさい。』

そして、カピバラのコロはお父さんやお母さんの体の色と名札の色が違うことに気が付いたので、お父さんカピバラに言いました。
『僕の名札の色もお父さんやお母さんと同じ色が良いよ。』
カピバラのお父さんは『飼育係の人が作ってくれたのだから我慢しなさい。』と言いました。

ある日、キリンのノッポとカピバラのコロはお話しをしました。
『ねぇ、コロ君、私はあなたの黄色の名札が良いなぁ。』
『ノッポさん、僕は君の名札の茶色が良いなぁ。』
そこで、2匹は名札を取り替えました。
『私の名札は、お父さんやお母さんと同じ色だわ。』
『わ~い、僕の名札は、お父さんやお母さんと同じ色だよ。』

てんから、てんから、てんからてん(7)

2019-07-27 10:43:25 | 童話
そして、しばらくして、また満月の夜に
『てんから、てんから、てんからてん。』、
『てんから、てんから、てんからてん。』
と聞こえてきました。
『これから、学級委員会を始めます。それでは、今やっている活動を話しあいます。』

都会の小学校のイヌとネコが
『暑くなってきたので、熱中症にならないように、汗をかいたらお水をたくさん飲むようにしています。』と発表しました。
村の小学校の動物達が
『僕達も熱中症にならないように、お水をたくさん飲むようにしています。』と発表しました。
『それでは、質問のある方はいますか?』
『ホタルはたくさん増えましたか?』と都会の小学校のイヌとネコが、村の小学校の動物達に聞きました。
『うん、去年、小川や池をきれいにしたので、ホタルは増えたよ。』

『トンボやカエルもたくさんになりましたか?』
『うん、たくさん増えて、去年よりゲロゲロ、ゲロゲロとたくさん鳴いているよ。』と言って、カエルがたくさんゲロゲロと鳴いている池を月に映して見せました。
『本当だ、いっぱいいるね。』
『うん、今年もたくさん鳴いているよ。』
そして、今度は赤トンボがたくさん飛んでいるのを月に映して見せました。
『うわっ、綺麗だね。』
『うん、みんなで池や小川を綺麗にしているからね。』
そう言って池や小川の中を月に映して見せました。

『メダカや鮒やヤゴやゲンゴロウがいっぱいいるんだよ。』
『凄いね。』
『都会の池や小川も水がきれいになるといいのにね。』
『うん、みんなで掃除をやっているよ。』
『それでは、今日の学級委員会を終ります。また次の満月の夜に学級委員会をします。
バイバ~イ。』
『バイバ~イ。』

そして、村の小学校の動物達と都会の小学校のイヌとネコとの学級委員会は、今も続いています。

  おしまい