武器はガチャ、そして(6)

2016-11-04 21:18:52 | SF小説
第五章 黒点の捕獲

翌日、直之が自分の近くに浮遊する黒点を見つけたので、急いでお店の販売機でガチャを買って中身を捨て、ガチャの容器に黒点を捕獲するのに成功した。
そして、自宅に持ち帰って父の新二郎に
「お父さん、捕まえたよ。」
と言って新二郎にガチャの容器を見せた。
ガチャの容器を手にした新二郎は、容器が僅かに振動しているように感じられた。
そして、
『危険だからガチャの容器に触れないように。』
と言って科学推進省に電話をし、ほどなくして訪れた科学推進省の科学者の篠山徹に容器を預けた。

また、大学の宇宙線研究所の学生の筑波新らも浮遊する黒点を密閉容器に捕獲することに成功した。
筑波新らは、仮にこの黒点がブラックホールであっても、密閉された容器に捕獲すれば、ブラックホールが容器を呑み込んでいったとすると、密閉容器の中のブラックホール自身もブラックポーに呑み込まれてしまうので矛盾が生じる。だから密閉容器に捕獲するのが安全だと推理したのであった。
こうして、黒点を密閉容器に捕獲することができるということがネットで伝わり、ガチャの売り上げが倍増していった。

そして、科学推進省に浮遊する黒点をガチャの容器に捕獲したとの情報が多く寄せられ、
科学推進省の科学者がすべての情報の信ぴょう性を確認して現地に赴き、黒点の入ったガチャの容器の提供を受け、ガチャの容器が破損しないように、強度のあるステンレス容器に収納して科学推進省に持ち帰った。

「もし今、このガチャの容器が破損したら、私たちはこの黒点に呑み込まれるのかなあ?」
「この黒点はまだ小さいので人間が呑み込まれることは無いと思うけれど、呑み込まれないということは言えないだろうね。」
「私は、こんな物質に呑み込まれて死んでしまうのはごめんだね。」
「私も同じですよ。とにかく安全に早く持ち帰ることにしよう。」
と、科学推進省の職員は口々につぶやいていた。
そして、捕獲したガチャの容器は科学推進省の厳重な地下倉庫にあるステンレス容器に保管された。
「正体のわからないものが、こんなに集まって来たけれど、気味が悪いですよね。」
「ああっ、気味悪いけれど仕方ないよ。」
と、科学推進省の職員は半ばあきらめ気味な口調で続けた。


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